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『GW編・二日目 夏木青葉の隠し事(2)』
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『GW編・二日目 夏木青葉の隠し事(2)』
宮城は怒鳴ったアタシに対して、ニッコリと笑う。
くそ、やっぱり顔はいい。
「かわいい! やっぱり美人だよね、夏木さん」
「……う」
性格はドS、性癖は変態、だっていうのに見た目だけは本当にイケメンだから、そんな風に褒められるとつい嬉しくなる。
アタシも我ながらチョロすぎると思うが……心だけじゃなく体もとっくにモノにされている上、さらに好意を上乗せされるとつい心地よくて抗えない。
そんな事、絶対にコイツには絶対に言わないが。もっと調子に乗るからな。
「で? 本当に何しに来たんだよ」
「本当に夏木さんを眺めにきただけだよ? あとゴハン食べに」
「昼食にしちゃ遅いし、晩飯にしちゃ早いだろ?」
「昨晩は遅くまでテレビ見てたから、お昼すぎに起きたんだ」
「優雅な生活だな。で、何にするんだ?」
すでにオーダーは決まっていたのか、メニューを見ずに。
「トーストサンドとコーヒーで」
「はいよ」
「夏木さんが作ってくれるのかな?」
「言っただろ? 客に出せるほどじゃないって。ちゃんと母さんが作るよ」
「残念」
「仕事なんだから当たり前だ。お金をもらう以上、素人の料理なんか出せないんだよ」
さほど難しい調理じゃないし、アタシが作ってもそれほど母さんと差があると思っていない。
けれどオーナー店長が作った料理というのは、飲食店として責任をもって提供しているという事。
手伝いの娘が作ったものとは、意味合いが違う。
「夏木さんのそういう真面目な所、ボクは好きだな」
「……うるさい。ちょっと待ってろ」
「はーい」
こんな所で好き好き言うな。
他に客がいないからいいものの、顔が熱くなってるのは自分でもわかる。
母さんにオーダーを伝えるまでに、アタシは顔の火照りをなんとか静める。
「……ミックスサンド、トーストで。あとコーヒー」
「この臆病者が」
「は? なによ?」
いきなり意味不明にディスられた。
その上。
「アンタにナンパの素質があったとはね」
「……ナンパなんかしてない」
「あんなに楽しそうに話してたじゃないか」
怒鳴っていらっしゃいませって言ったのに、ここまで聞こえてなかったか?
「別にアタシは楽しくなかったし」
「強がったってしょーがいなだろ……いや、あれ、そうだったか?」
実際、アタシは楽し気にはしてなかったはずだ。
別にアイツの事は嫌いじゃないし、その、顔を見に来てくれたってのも、悪い気はしない。
確かにが店に来るなとは言ってなかったさ。
ほんのわずかだけど、来てくれるかもって期待もあったし、実際そうなってうれしい気持ちだってある。
だけど、実際そうなると、母さんの前で何かしでかしそうで不安になってきたんだよ。
今は一分一秒でも早く帰らせたい。
「男に免疫がないってのはこうも臆病者になるのか。アンタね、こんなチャンス二度とないよ? せっかくアッチに気があるんだから、マジで連絡先だけでも確保しな!」
だと言うのに、母さんは無茶苦茶言い出した。
喫茶店で、その従業員が客をナンパなんてダメだろう!?
そんな噂が流れたら、客足に響くって!
「チャンスが二度訪れると思うんじゃないよ? 今は私のいう事を聞いておきな、絶対に後悔するから!」
だがそんな事はおかまいなしとばかりに、アタシに迫る母さんの顔はマジだった。
「どうしろって?」
つい、たずねかえしてしまったのをすぐに後悔する。
「コーヒーでもぶちまけてクリーニング代を渡しながら、後日、ちゃんとお詫びしたいからって住所とか連絡先を聞くんだよ!」
「そんな無茶な! うまく行くわけないって、そんなの!?」
本当に無茶を言い出した。
そんなもの相手が怒るだけだし、普通の男なら簡単に住所なんか教えるばずがない!
なのに母さんは自信満々という顔でアタシを指さす。
な、なによ?
「な、なに?」
「私はそれでアンタを産みました」
……は?
……。
はぁッッッ!?
宮城は怒鳴ったアタシに対して、ニッコリと笑う。
くそ、やっぱり顔はいい。
「かわいい! やっぱり美人だよね、夏木さん」
「……う」
性格はドS、性癖は変態、だっていうのに見た目だけは本当にイケメンだから、そんな風に褒められるとつい嬉しくなる。
アタシも我ながらチョロすぎると思うが……心だけじゃなく体もとっくにモノにされている上、さらに好意を上乗せされるとつい心地よくて抗えない。
そんな事、絶対にコイツには絶対に言わないが。もっと調子に乗るからな。
「で? 本当に何しに来たんだよ」
「本当に夏木さんを眺めにきただけだよ? あとゴハン食べに」
「昼食にしちゃ遅いし、晩飯にしちゃ早いだろ?」
「昨晩は遅くまでテレビ見てたから、お昼すぎに起きたんだ」
「優雅な生活だな。で、何にするんだ?」
すでにオーダーは決まっていたのか、メニューを見ずに。
「トーストサンドとコーヒーで」
「はいよ」
「夏木さんが作ってくれるのかな?」
「言っただろ? 客に出せるほどじゃないって。ちゃんと母さんが作るよ」
「残念」
「仕事なんだから当たり前だ。お金をもらう以上、素人の料理なんか出せないんだよ」
さほど難しい調理じゃないし、アタシが作ってもそれほど母さんと差があると思っていない。
けれどオーナー店長が作った料理というのは、飲食店として責任をもって提供しているという事。
手伝いの娘が作ったものとは、意味合いが違う。
「夏木さんのそういう真面目な所、ボクは好きだな」
「……うるさい。ちょっと待ってろ」
「はーい」
こんな所で好き好き言うな。
他に客がいないからいいものの、顔が熱くなってるのは自分でもわかる。
母さんにオーダーを伝えるまでに、アタシは顔の火照りをなんとか静める。
「……ミックスサンド、トーストで。あとコーヒー」
「この臆病者が」
「は? なによ?」
いきなり意味不明にディスられた。
その上。
「アンタにナンパの素質があったとはね」
「……ナンパなんかしてない」
「あんなに楽しそうに話してたじゃないか」
怒鳴っていらっしゃいませって言ったのに、ここまで聞こえてなかったか?
「別にアタシは楽しくなかったし」
「強がったってしょーがいなだろ……いや、あれ、そうだったか?」
実際、アタシは楽し気にはしてなかったはずだ。
別にアイツの事は嫌いじゃないし、その、顔を見に来てくれたってのも、悪い気はしない。
確かにが店に来るなとは言ってなかったさ。
ほんのわずかだけど、来てくれるかもって期待もあったし、実際そうなってうれしい気持ちだってある。
だけど、実際そうなると、母さんの前で何かしでかしそうで不安になってきたんだよ。
今は一分一秒でも早く帰らせたい。
「男に免疫がないってのはこうも臆病者になるのか。アンタね、こんなチャンス二度とないよ? せっかくアッチに気があるんだから、マジで連絡先だけでも確保しな!」
だと言うのに、母さんは無茶苦茶言い出した。
喫茶店で、その従業員が客をナンパなんてダメだろう!?
そんな噂が流れたら、客足に響くって!
「チャンスが二度訪れると思うんじゃないよ? 今は私のいう事を聞いておきな、絶対に後悔するから!」
だがそんな事はおかまいなしとばかりに、アタシに迫る母さんの顔はマジだった。
「どうしろって?」
つい、たずねかえしてしまったのをすぐに後悔する。
「コーヒーでもぶちまけてクリーニング代を渡しながら、後日、ちゃんとお詫びしたいからって住所とか連絡先を聞くんだよ!」
「そんな無茶な! うまく行くわけないって、そんなの!?」
本当に無茶を言い出した。
そんなもの相手が怒るだけだし、普通の男なら簡単に住所なんか教えるばずがない!
なのに母さんは自信満々という顔でアタシを指さす。
な、なによ?
「な、なに?」
「私はそれでアンタを産みました」
……は?
……。
はぁッッッ!?
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