【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

文字の大きさ
上 下
156 / 415

『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』

しおりを挟む
『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』

衝撃の事実に青葉が固まっていたので、その尻をひっぱたく。

「痛い!」
「そんな昔の事はどうでもいい、いまは未来を考える時だよ!」

私は今、どれだけのチャンスが降ってわいたかを理解していない愚娘をさとす。

「私らみたいな目に見える恋愛弱者が手段を選んでられるほど世の中甘くないんだよ!」
「え、アタシ、説教されてる?」
「ほら、トーストサンドとコーヒー。あとアンタのカフェオレだ。コーヒーぶっかけるのが出来ないってんなら、ちょっとお話しませんかって言って同席ゴリ押してきな!」
「……そんな事してたら、もう二度来ないんじゃないの?」
「そんな事しなくても二度来ないかもしれないんだから、初回から攻めるんだよ!」

ウチの娘は甘すぎる。

あんな極上のイケメン少年で、胸の大きさを嫌悪しないとか絶対に二度現れない奇跡だ。

悲しいかな、それを理解していない娘の人生経験の浅さよ。

ヤッてしまえばどうにかなるし、ヤラなきゃ次のステージには進めないんだよ!

出来上がったトースト、コーヒー、カフェオレを娘に持たせる。

「アンタは顔は悪くないんだから、あとはイケイケドンドンで押せばワンチャンあるんだよ!」

胸さえなければ私に似て見られる顔なんだ。強みを押し付けていくしかない。

「……母さんに似て美人って事?」
「もうちょっと私に似てればと思うけどねぇ」
「冗談でもその自信だけは尊敬するよ」

もちろん本音だ。

あの人は優しかったけど、あんまりイケメンじゃなかったからね。血の混じりってのは結果に正直だ。

「さ、行ってきな。閉店時間なんか気にしなくていいからね」
「……わかったよ」

しぶしぶという顔で、イケメンの座るボックス席に料理を運んでいく。

そして配膳をしつつ、一言二言と交わして……さらっと娘も席についた。

やるじゃないか! よくやった! と心の中で叫びながらキッチンの中で隠れてガッツポーズをとる。

マジで孫の顔チャンス? 青葉がこの年で産んでくれれば、夢のひ孫チャンスまで視野に入る。

オイオイ、私の人生勝ち組まっしぐらか?

サンドイッチを注文していたが、なんならこの場で親子丼をごちそうしてやってもかまわんぞ!? と一人で盛り上がってしまう私の鼓動をおさえこみ、二人を見守る。

こちらに背を向けている少年の表情はうかがえないが、青葉もまんざらじゃなさそうだ。

時折、笑い声があがったりもして、娘は本当に凄腕のナンパ師じゃないかと感心した。

しばらくすると互いに体を乗り出すほどに会話も盛り上がってきた。

私、今日はこのままマンガ喫茶にでもいって帰ってこない方がいいんじゃないかと思うくらいに和気あいあいだ。

しかし、イケメンは閉店時間五分前になると立ち上がった。

そしてレシートを手にカウンターに立っている私の所へやってくる。

青葉ァ! アンタなにやってんだよ、そこは今日はおごりですからまた寄ってくださいねって言う所だろう!?

そんな胸中を隠し、私はレジへと移動してイケメン君を接客用スマイルで迎える。

彼もまたレシートを差し出しながら、私に向かってニコリと微笑んだ。

え、何、この子、私に気があるの? ホントに親子丼食べていく?

「御馳走様でした。すみません、長居してしまって」

しかも礼儀正しすぎるんですけど。

天然記念物レベルの絶滅危惧種なんですけど。

「こちらこそすみません、おくつろぎの所、ウチのがお邪魔してしまったみたいで」
「いえ、とんでもないです。夏木さん……青葉さんには学校でもとてもお世話になっていまして」
「は?」

娘と知り合い? だと?

「申し遅れました。ボク、宮城京と言います。青葉さんとはクラスメートで席が隣です」
「あら、そうでしたか。青葉がご迷惑おかけしていなければいいんですが……」

私は青葉を見る。

すると目をそらした。

こんな男と知り合いって事を私に内緒にしていた理由は……あとで問い詰めてやるとして。

ふーむ。

すると、だ。

娘のベッドシーツに残っているうっすらとした染み。

まさか青葉に限ってと思っていた者の、やっぱりアレは……血の染みか!

この子とクラスメート、しかも隣の席、さらにこんなに関係良好。

そうなると答えは一つしかない。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...