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『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(2)』
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『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(2)』
初手からうるさいってクレームつけられて出ていかれたら意味がないぞと思っていたものの、すぐに客の美少年と会話を始めた。
しかも食いついているのはどうにもイケメン君の方だ。
……はて。
胸の大きさを少しでも隠そうといつもエプロンをきつく結んでいる娘だが、今は慌てていたのかゆるく結んでいる為、ムダな贅肉の大きさを隠せていない。
男がまず視線を向ける場所であるし、イケメン君だって青葉のアレを見れば引くかもと思っていたが。
まったくそんな様子もなく、ずっと楽し気に会話をしていた。
オイオイ、ウチの娘はいつから凄腕のナンパ師になったんだ?
本当に連絡先とスリーサイズを聞き出すかもしれないぞ、と私は事の展開を熱く見守る。
なんならそのままソファに押し倒してしまえ。
そうしたら私は愛娘とまだ見ぬ孫の為、すぐに店のドアにクローズの札をかけて鍵をかけてやるぞと、病み上がりの足にムチ打っていつでも動けるようにしていたというのに。
「……ミックスサンド、トーストで。あとコーヒー」
「この臆病者が」
「は? なによ?」
フツーに注文だけとって帰って来やがった。
私は食パンをトースターにぶち込み、野菜を刻みながら、しかし青葉をほめる。
「アンタにナンパの素質があったとはね」
「……ナンパなんかしてない」
「あんなに楽しそうに話してたじゃないか」
「別にアタシは楽しくなかったし」
「強がったってしょーがいなだろ……いや、あれ、そうだったか?」
言われてみて思い出すと。
楽し気な声だったのは相手の方で、青葉はすぐに逃げようとしていたような?
「男に免疫がないってのはこうも臆病者になるのか。アンタね、こんなチャンス二度とないよ? せっかくアッチに気があるんだから、マジで連絡先だけでも確保しな!」
胸がデカい。
それだけで世界は厳しいハンデを強要してくる。
私や娘のような三桁センチ越えは、日々このウエイトをどう隠すかどう誤魔化すかと苦心している事か。
だというのに、あの少年は気にした風でもなく青葉とお話していた。
少年は座っていたし、青葉はその横で立って注文をとっていたわけで、巨大な丸二つが視界に入らないはずがないのだから。
ああ、だから青葉は逃げ出したかったわけか。イケメンにデカい胸を見られ続けたくないからと。
「チャンスが二度訪れると思うんじゃないよ? 今は私のいう事を聞いておきな、絶対に後悔するから!」
「……どうしろって?」
「コーヒーでもぶちまけて、クリーニング代を渡しながら、後日、ちゃんとお詫びしたいからって住所とか連絡先を聞くんだよ!」
「そんな無茶な! うまく行くわけないって、そんなの!?」
青葉が頭から無理だなんだと言ってくる。
やる前からダメと決めつける、その精神が気に入らん。
それでもお前は私の娘かと、そう思うに至る理由がある。
私は無言で青葉の顔を指さす。
「な、なに?」
「私はそれでアンタを産みました」
目の前に実績があるんだからね!
「……マジで? 父さんって襲われたの?」
「人聞きの悪い! キッカケはともかく最後は恋愛妊娠だ、安心しな!」
あの人が最後に会いに来てくれたのは二年前だが、元気にしてくれてればそれでいいさ。
気が弱いし控えめだら今もどこかで別の女に種付けさせられてるかもしれないけど、私にはもう青葉がいてくれるから束縛する気も無い。
初手からうるさいってクレームつけられて出ていかれたら意味がないぞと思っていたものの、すぐに客の美少年と会話を始めた。
しかも食いついているのはどうにもイケメン君の方だ。
……はて。
胸の大きさを少しでも隠そうといつもエプロンをきつく結んでいる娘だが、今は慌てていたのかゆるく結んでいる為、ムダな贅肉の大きさを隠せていない。
男がまず視線を向ける場所であるし、イケメン君だって青葉のアレを見れば引くかもと思っていたが。
まったくそんな様子もなく、ずっと楽し気に会話をしていた。
オイオイ、ウチの娘はいつから凄腕のナンパ師になったんだ?
本当に連絡先とスリーサイズを聞き出すかもしれないぞ、と私は事の展開を熱く見守る。
なんならそのままソファに押し倒してしまえ。
そうしたら私は愛娘とまだ見ぬ孫の為、すぐに店のドアにクローズの札をかけて鍵をかけてやるぞと、病み上がりの足にムチ打っていつでも動けるようにしていたというのに。
「……ミックスサンド、トーストで。あとコーヒー」
「この臆病者が」
「は? なによ?」
フツーに注文だけとって帰って来やがった。
私は食パンをトースターにぶち込み、野菜を刻みながら、しかし青葉をほめる。
「アンタにナンパの素質があったとはね」
「……ナンパなんかしてない」
「あんなに楽しそうに話してたじゃないか」
「別にアタシは楽しくなかったし」
「強がったってしょーがいなだろ……いや、あれ、そうだったか?」
言われてみて思い出すと。
楽し気な声だったのは相手の方で、青葉はすぐに逃げようとしていたような?
「男に免疫がないってのはこうも臆病者になるのか。アンタね、こんなチャンス二度とないよ? せっかくアッチに気があるんだから、マジで連絡先だけでも確保しな!」
胸がデカい。
それだけで世界は厳しいハンデを強要してくる。
私や娘のような三桁センチ越えは、日々このウエイトをどう隠すかどう誤魔化すかと苦心している事か。
だというのに、あの少年は気にした風でもなく青葉とお話していた。
少年は座っていたし、青葉はその横で立って注文をとっていたわけで、巨大な丸二つが視界に入らないはずがないのだから。
ああ、だから青葉は逃げ出したかったわけか。イケメンにデカい胸を見られ続けたくないからと。
「チャンスが二度訪れると思うんじゃないよ? 今は私のいう事を聞いておきな、絶対に後悔するから!」
「……どうしろって?」
「コーヒーでもぶちまけて、クリーニング代を渡しながら、後日、ちゃんとお詫びしたいからって住所とか連絡先を聞くんだよ!」
「そんな無茶な! うまく行くわけないって、そんなの!?」
青葉が頭から無理だなんだと言ってくる。
やる前からダメと決めつける、その精神が気に入らん。
それでもお前は私の娘かと、そう思うに至る理由がある。
私は無言で青葉の顔を指さす。
「な、なに?」
「私はそれでアンタを産みました」
目の前に実績があるんだからね!
「……マジで? 父さんって襲われたの?」
「人聞きの悪い! キッカケはともかく最後は恋愛妊娠だ、安心しな!」
あの人が最後に会いに来てくれたのは二年前だが、元気にしてくれてればそれでいいさ。
気が弱いし控えめだら今もどこかで別の女に種付けさせられてるかもしれないけど、私にはもう青葉がいてくれるから束縛する気も無い。
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