【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

文字の大きさ
上 下
152 / 415

『GW編・初日 かつての闘技場は様変わりしていた(2)』

しおりを挟む
『GW編・初日 かつての闘技場は様変わりしていた(2)』

対戦代の向こうに座っていた子は、顔も背も手も、あきらかに小さい。

「……小学生か」

こういうのはあちらさんとも不思議と目が合うもので、視線が合ったお子様は一瞬、きょとんとする。

小学生がゲームセンターのビデオコーナーに出入りするというはどうなんだと思うが、自分だってなけなしの小遣いを持って連続技の練習をしたりしていたものだ。

それはともかく。

少女は固まったまま動かない。

フ、このイケメンフェイスに言葉を失ったか。

さもあらん。

オレだって、かつて美人のお姉さんと対戦した時は緊張したものだ。

だが。

相手の小学生(推定四年生)はオレが今ボッコボコにした対戦相手と悟った瞬間、クスクスと笑い出し、あげくこう言い放った。

「よわーい!」

と。

別にイケメンに驚いたわけではなく、対戦相手が男だったから驚いただけのようだ。

ふむ、このお年頃はまだ色気より、やんちゃな頃か。

まー、実際、弱かったわけで敗者が何を言ってもそれは負け惜しみでしかない。

「ざーこざーこ!」

しかし、それは言い過ぎじゃないでしょうか。

お兄さん、泣くぞ?

だがリアルで、ざーこざーこと言われるのは貴重な経験だ。

せっかくなので、もう少し味わっていこう。

オレは笑顔でお嬢ちゃんに近づき、声をかける。

「お嬢ちゃんは強いねー」
「でしょー! お兄さんはよわよわだね!」

褒めると自慢気に笑う。反応が素直でかわいい。

「横で見てていい?」
「いーよー!」

観戦者ができてますます機嫌をよくするお嬢ちゃん。

プレイの邪魔にならないよう、少し離れて横に立ち観戦するオレ。

十分ほど眺めていただろうか。

数人の対戦者が現れたが、ほぼ一方的に勝利をおさめていた。

対戦者は中学から高校生らしき年頃のお嬢さんたちだが、それらをなぎ倒すとは間違いなく本物だろう。

少なくとも後ろで見ていたオレではさっぱりついていけないレベルだった。

そりゃ勝てんわ。

「いやー、すごいね、いいもの見たよ」
「ふふーん!」
「良かったら教えてくれない?」
「えぇ、めんどくさーい」

おい。おいおい。

オレがガキの頃ならキレーなお姉さんにそんなふうに言われたらホイホイついていくというのに、このお嬢ちゃんはガチでゲーマーか。

「あ」

そんなお嬢ちゃんのドヤ顔マックスな表情が、一瞬で蒼白に切り替わった。

「失礼。こちらの子とお知り合いですか?」

急に背後から声をかけられ、振り返ればスーツの女性が立っていた。

年は五十近いだろうか? おばあちゃんと呼ぶには失礼だが、おばさんというには微妙なお年でもある。

「うわ、先生」

そのつぶやきで、大人しくなったお嬢ちゃんとの関係性を理解した。

ところどころ白髪混じりの髪を後ろにひっつめた女性の腕には腕章がありそこには『防犯巡回中』の文字が。

どうやら少女の学校の先生らしい。

オレが黙っていると、先生はお嬢ちゃんに話しかける。

「遊んではいけないと言いませんが、宿題は進んでいますか?」
「う、えっと……はい」

これは進んでいませんなぁ。

「帰りなさい、とは言いませんが、提出が遅れれば”また”宿題が追加されますよ? 知っていますね?」
「は、はい」

これは前科もありますねぇ。

「……それで、まだ遊んでいくのですか?」
「か、帰ります」

先生のこの言い方はちょっと意地悪な気がするが、オレとしても小学生の頃からゲームセンターに入り浸るというのはあまり良くないと思う。

先生だって好きでこんなキツく言いたくないだろう。

仕事だろうがなんだろうが、子供の笑顔が曇るのを見て喜ぶ大人はいない。

「お、お兄ちゃん、これ、やっていいよ」

プレイの途中だったため、捨てゲー(プレイを放棄して席を立つ事)は気がとがめたのか、オレに席をすすめる。

「そっか。じゃ、お金」
「あ、うん、でも」

プレイ途中の交代では受け取れないと思ったのだろうが、この年頃の百円玉の重さをオレはよく知っている。

「いいよいいよ。勉強がんばってね」
「……また今度あったらゲーム教えてあげる」
「本当? 嬉しいなぁ」

デレました。

そうして先生に見送られるようにして、幼い修羅は立ち去った。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...