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『クラスに舞い降りた小悪魔と交わす契約(冬原interval23)』

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『クラスに舞い降りた小悪魔と交わす契約(冬原interval23)』

年頃でもあるし、バイブの存在くらいは知っていてもおかしくはないが。

商品名まで知っているとはどういう事だろう。

性にあけすけな事といい、こんなモノまで知っているといい……。

もしやご実家はアダルトショップを経営されているとか?

いや、それは発想が突飛すぎるか。

私がそんな事を考えていると、宮城がかわいい疑問を投げかけてきた。

「先生。その、使いまわしとか、不衛生じゃないですか?」
「さすがにそのまま使わないぞ? 先輩もそうだが私だってコレの世話になるときは毎回コンドームを使っていた」

懐かしいな。

あの頃はいかにして山崎のジイさんの目を盗むかで必死だったものだが……。

「……時効だから言うがな」

アレも今なら笑い話になるだろう。

「コレもそうだがコンドームだって数を使うとなると安いものじゃない。学生の小遣いなんぞはしれたものだし、消耗品に使うくらいならエロ本を買う」
「はぁ」

男にはわからんか。

限られた小遣いをどうやって効率よくエロいものに変えていくかという苦悩を。

「当時、私は山崎先生の目を盗んでは保健室の戸棚からコンドームをパチっていた」

宮城が驚いている。

まさか立派な教師である私がそんな事を!? みたいな顔だ。

「見つからなかったんですか?」
「数が減っているのは山崎先生も把握していたからな。山崎先生が隠れて見張っていた時、手を出した犯人は捕まったよ」

さすがに山﨑も保健室でイスを温めているだけじゃない。

備品や消耗品の管理はシッカリしていた。

当然、不自然に減っている避妊具にたいして盗難を疑い、隠れて見張っていた所をお縄になった。

「先生が?」
「いや、先輩だ。捕まった先輩は廊下で正座で三時間説教をされ、さらし者になっていたよ」

いたましい事件だった。

それでも先輩は単独犯だと言い張り、共犯者である私や、他の仲間の名は最後まで出さなかった。

はたから見れば晒しものだが、事情を知る者や察しのいい者からは、英雄と称えられていた。

懐かしい。

ずいぶんと昔の事なのに、昨日の事のように思い出せる。

などと郷愁に浸っていると。

「けれど先生。道具を使って処女ではない、というのはどうなんでしょうか?」

何を言いだすかと思えば。

膜がなければ、もしくは男を抱いた時に血が出なければ、処女ではあるまいに。

それとも宮城からすると。

「……男に抱かれなければ処女のままだと言いたいのか?」
「ボクの感覚ではそうなんですが」

ふーむ。

それは今よりも男の数が多かったころの古い考え方で、昨今の男女比事情からしても現実的じゃない。

「男に処女を散らしてもらう、というのは全ての女の夢だろうが現実はそんなに甘くない。だいたいコレかお野菜が相手だ」

そりゃあ、私だって本心からすればおチンチンで破瓜を迎えたかったさ。

だが宮城はなおも食い下がる。

「んー、けれど、やっぱりそれはノーウカントでは? 先生の処女はボクが頂いたかなって思いますけど」

自身の信条を曲げたくないのか。

それとも。

私に対する優しさか? いや、きっとそうなんだろう。

優しさが目に染みて、つい涙があふれた。

「宮城いわく、つまり私は処女を男で卒業したわけか……?」
「詳しく言えば、犬のように腰を振る教え子のおチンチンに後ろから処女を奪われましたね」
「お、おおっ、おふっ」

わりといい話だったと思うのに、こいつはいちいちヤらしい言い方をしてくるな。

そうこうしていると素肌をさらしたままの宮城が。

「先生、少し冷えてきましたね」
「そうだな、汗も引いたし……そろそろいい時間か」

本人いわく、三回でもという話だったが、ちょっとしんみりした話もしてしまったしな。

今日の所はこれでお開きか。

いや、不満なんかないぞ。

実際、もうこれ以上は私の体が持たないし、ものすごく充実した時間だった。

今日はきっといい夢がみられるたろう。

ちなみに宮城は泊っていってくれるんだろうか?

モーニングコーヒーなんかもやってみたいんだが。

などと、翌朝の事を考えていたら。

「そろそろ三回目、始めましょうか」
「……え?」

私は自分でも間の抜けた声で耳を疑った。
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