69 / 415
『男の少ない社会での暗黙』
しおりを挟む
『男の少ない社会での暗黙』
要するに不用意にやらかす前に、やる事やってからヤレという話だ。
冬原先生がさらに言葉を足す。
「女子からすれば社会に出る前の学校生活という期間は、おおかたの人生で男性と接触できる最も長い時間でもあるからな。積極的な女子も多い。無論、無理強いなどは言語道断だが」
言われてみればそうかもしれない。
男女比が三十倍の世界では自然と女職場ばかりだろう。
職場にまったく男がいないというのも珍しい話ではなかろうし、逆にクラスに一人か二人と言えど、毎日男と接触できる機会があるというのは学生時代だけという女性も出てくるわけか。
夏木さんも自分が男とあんな事こんな事をするとは思ってもいなかったと言っていたし。
最初の駄賃うんぬんだって、手をつなぐ、だったくらいだからなぁ。
オレは自分の価値と立ち位置というのもう少し理解する必要がありそうだ。
いい事ばかりではないだろうし、何かやらかす前に色々と確認しておこう。
「ゆえに男子生徒に過剰にかまおうとする女子も多い。それが原因でクラスの雰囲気が険悪になるという事はめずらしくないし、男子も女性嫌悪や蔑視意識などが強くなってしまう事もある」
この世界の男子はモテモテだぜヤッターとはならないようだ。
言われてみればオレも毎日クラスの女子には構われている。
確かにスキンシップとはまでは言わないが、グイグイくる子もいるし、一緒に写真を撮ってと言ってくる子もいる。
前世は自分の写真など大嫌いだったが、イケメンになってみると自分に対しての余裕というものがすごい。
さぁ、好きなだけお撮りなさい、という心持ちになる。
請われればセクシーポーズもサービスする心積もりだが今の所そういった要望は受けた事はない。
せいぜい肩を密着させるほどに寄って写真をとるくらいだ。
そう考えると冬原先生からすれば、オレは女子と問題をおこさない扱いやすい生徒というわけか。
「宮城はクラスの誰に対しても人当りがいいし、女子との関係も良好のようだ。今年はどんな男女間トラブルが起きるかと思っていたからな。担任としても非常にありがたいし、助かっているよ……あ」
つい本音が出たという顔の冬原先生が、すぐにしまったという顔でおじいちゃん先生をおそるおそる見る。
「冬原先生。後で少しお時間をもらえますか」
「は、はい」
どうやら冬原先生はおじいちゃん先生に頭があがらないようだ。
「ともかく今日の話はそういう事だ。避妊具に関しては保健室に来ればワシが用意する事もできる。その際に何か悩みがあれば手助けしよう」
「――はい。ありがとうございます」
すごいな、この世界。
保健室で生理用ナプキンを用意するというのは前世では聞いた事があったが、男子生徒に避妊具を用意する、というのは予想外だった。
それだけ男性に対して過保護なのか、少ない男性を少しでも多くの女性に割り当てる為の配慮なのかはわからない。多分どっちもだろうが、これはこれでオレにとってもありがたい話だ。
夏木さんがいつも口に欲しいと言っていたのも、この辺りが原因かもしれない。
お口のエッチな娘さんに育ってくれましたと喜んでいたが、実際は現実的な配慮をしてくれていただけの可能性もある。
後で確認しておこう。
「では本日はこれにて解散としよう。繰り返すが冊子に目を通しておくように。不明な点な質問があればワシか担任の冬原先生に質問しなさい」
「うむ。宮城。一人で悩む事はないからな。恥ずかしがらず、何かあれば大人に頼れ」
キリっとした顔の冬原先生。
失言の失点をカバーするようにその薄い胸をドンと叩いた。
「はい。その時はよろしくお願いします、今日はありがとうございました」
「ああ、放課後に悪かったな。では私も一緒に戻ろう」
席を立ちあがり、退室しようとしたオレに冬原先生が続くが。
「冬原先生は少しお待ちを」
「……はい」
上手い事逃げようとしていた冬原先生がつかまった。
冬原先生は案外、面白い人かもしれない。
要するに不用意にやらかす前に、やる事やってからヤレという話だ。
冬原先生がさらに言葉を足す。
「女子からすれば社会に出る前の学校生活という期間は、おおかたの人生で男性と接触できる最も長い時間でもあるからな。積極的な女子も多い。無論、無理強いなどは言語道断だが」
言われてみればそうかもしれない。
男女比が三十倍の世界では自然と女職場ばかりだろう。
職場にまったく男がいないというのも珍しい話ではなかろうし、逆にクラスに一人か二人と言えど、毎日男と接触できる機会があるというのは学生時代だけという女性も出てくるわけか。
夏木さんも自分が男とあんな事こんな事をするとは思ってもいなかったと言っていたし。
最初の駄賃うんぬんだって、手をつなぐ、だったくらいだからなぁ。
オレは自分の価値と立ち位置というのもう少し理解する必要がありそうだ。
いい事ばかりではないだろうし、何かやらかす前に色々と確認しておこう。
「ゆえに男子生徒に過剰にかまおうとする女子も多い。それが原因でクラスの雰囲気が険悪になるという事はめずらしくないし、男子も女性嫌悪や蔑視意識などが強くなってしまう事もある」
この世界の男子はモテモテだぜヤッターとはならないようだ。
言われてみればオレも毎日クラスの女子には構われている。
確かにスキンシップとはまでは言わないが、グイグイくる子もいるし、一緒に写真を撮ってと言ってくる子もいる。
前世は自分の写真など大嫌いだったが、イケメンになってみると自分に対しての余裕というものがすごい。
さぁ、好きなだけお撮りなさい、という心持ちになる。
請われればセクシーポーズもサービスする心積もりだが今の所そういった要望は受けた事はない。
せいぜい肩を密着させるほどに寄って写真をとるくらいだ。
そう考えると冬原先生からすれば、オレは女子と問題をおこさない扱いやすい生徒というわけか。
「宮城はクラスの誰に対しても人当りがいいし、女子との関係も良好のようだ。今年はどんな男女間トラブルが起きるかと思っていたからな。担任としても非常にありがたいし、助かっているよ……あ」
つい本音が出たという顔の冬原先生が、すぐにしまったという顔でおじいちゃん先生をおそるおそる見る。
「冬原先生。後で少しお時間をもらえますか」
「は、はい」
どうやら冬原先生はおじいちゃん先生に頭があがらないようだ。
「ともかく今日の話はそういう事だ。避妊具に関しては保健室に来ればワシが用意する事もできる。その際に何か悩みがあれば手助けしよう」
「――はい。ありがとうございます」
すごいな、この世界。
保健室で生理用ナプキンを用意するというのは前世では聞いた事があったが、男子生徒に避妊具を用意する、というのは予想外だった。
それだけ男性に対して過保護なのか、少ない男性を少しでも多くの女性に割り当てる為の配慮なのかはわからない。多分どっちもだろうが、これはこれでオレにとってもありがたい話だ。
夏木さんがいつも口に欲しいと言っていたのも、この辺りが原因かもしれない。
お口のエッチな娘さんに育ってくれましたと喜んでいたが、実際は現実的な配慮をしてくれていただけの可能性もある。
後で確認しておこう。
「では本日はこれにて解散としよう。繰り返すが冊子に目を通しておくように。不明な点な質問があればワシか担任の冬原先生に質問しなさい」
「うむ。宮城。一人で悩む事はないからな。恥ずかしがらず、何かあれば大人に頼れ」
キリっとした顔の冬原先生。
失言の失点をカバーするようにその薄い胸をドンと叩いた。
「はい。その時はよろしくお願いします、今日はありがとうございました」
「ああ、放課後に悪かったな。では私も一緒に戻ろう」
席を立ちあがり、退室しようとしたオレに冬原先生が続くが。
「冬原先生は少しお待ちを」
「……はい」
上手い事逃げようとしていた冬原先生がつかまった。
冬原先生は案外、面白い人かもしれない。
31
お気に入りに追加
893
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる