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『幕間・アダルトショップに行ってみよう!(後)』
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『幕間・アダルトショップに行ってみよう!(後)』
それはともかく、オレの目的のブツはどこだろうか。
キョロキョロと見回していると、ようやくオレの存在に気づいたバイブソムリエのおばさんと視線があった。
偉大な先人に対して頭を下げると、あちらさんも手に名機ブラックサンダーを持ったまま、微妙な顔で会釈を返してきた。
ソムリエ先輩の背を通り抜け、さにらに奥へ進む。
途中、ウチの学校も含めた、多数の中古の学生服も売られていた。
中古だというのに、なかなかいいお値段がする。
いや、中古だからいいお値段がするわけだ。
過去にもあったよね、ブルセラ。
たくさんの制服がビニールに包まれて、天井から吊り下げられている。
そのうちの一つの値札を見ると、パッと見いくらかわからない。
「いち、じゅう、ひゃく、せん……まん……じゅ……え? マジで? 」
その学生服には写真がついていた。
手で目元を隠している写真だ。
この制服を着ていたのはボクです、みたいな写真だ。
お野菜をつくっている農家の方の顔写真みたいものだ。いや、一緒にするのはさすがに失礼すぎるんだが、あんなカンジのアレだ。
ちなみに実際着ていたかどうかわからないが、それは言わないお約束だろう。
「困ったらオレも売ろうかな」
販売値がこれなら買い取り額もそれなりだろう。
今着ている制服を売って、新品を買っても利鞘でいけそうだ。
結構、遠くに離れていた店員のおばちゃんと目があった。
ニコリとされた。買ってもらえるっぽい。
それはそれとして。
店内をさまよっていたオレは、ついにお目当てを発見した。
「あった」
小さな振動を伝える為の機械。
いわゆるピンクローターだ。
価格帯もオレの小遣い(生活費)でも十分にチョイスできる幅がある。
何に使うかって?
今は無限の可能性を探るとしか言えないけど夢は広がるよね。
「けっこう届くんだなー」
ローターと無線リモコンのセットが主流のようで、その操作範囲も十メートルほどあるらしい。
「……教室内ならどこでも余裕か」
広がった夢が収束して、とある人物にロックされる。
「けど、教室でそんな事バレたら流石になぁ」
教室内ではやめておこう。
とは言え、夏木さんのベッドの上で使うというのはオレが求める夢の欠片とは違う。
「……んー。じゃあ、夏木さんに普段と違う恰好をしてもらって、お散歩デートで使ってみよう」
何でも言う事を聞いてくれるセフレ改め、だいたいなんでも言う事を聞いてくれるセフレの夏木さんなら、これくらいは大丈夫なはずだ。
快諾とはいかないが、バカだのクソだの変態だのと悪しざまに罵ったあと、不承不承とうなずきながらオレのお願いを聞いてくれる姿が目に浮かぶ。
「お値段的にこの二つか。んー、ギルティとユリアーノ。どっちがいいかな」
あとはどれを買うかだが、あんまり違いもわからない。
形状も似たり寄ったりで、せいぜい操作リモコンの形が違う位か。
「リモコンがペン型のこっちにしよっかな」
校内で使う事に未練があったオレは、胸ポケットにも差せるペン型リモコンのローターを購入する事にした。
おばちゃん店員がそれを見て、あらあら、と言いながら、ファンシーな紙袋に包んでくれた。
店名などもないしパッと見は文房具でも購入したかのような袋に、通販の盛んなこの時代でも個人店ながら生き残っている気遣いを感じ取れる。
特に未成年とわかっているだろうに御目こぼしをしてもらえるというのは、若いリピーターを生み出す大きなポイントだ。
ぜひまた来ようと思い、オレは退店ぎわにもう一度頭を下げた。
「いい買い物ができた」
オレは少し疲れた足をやすめるべく、大きなガラス張りのコーヒーショップに立ち寄った。
昔はオシャレなカフェというのは気おくれしていたし、時間と金のムダと思って利用する事はなかったが、自分が他人の注目を集めるほどの美少年ともなると、人の集まるところでムダに顔を出すというのが中々に快感だ。
盗み見どころか、スマホを向けて盗み撮りするような女性客もチラホラいるが、気づかないフリをしておく。
「この商店街でデートも面白そう、かな?」
学校も近いが、それもまた刺激的だ。
夏木さんと一目でわからない恰好なら問題ないだろうし、服などはオレが用意しよう。
高価なおパンツを何着も買わせてしまって申し訳ないとも思ってたし、お詫びも込めてプレゼントだ。
「もちろん、このローターも一緒にね」
夏木さんとのデートが今から楽しみだ。
それはともかく、オレの目的のブツはどこだろうか。
キョロキョロと見回していると、ようやくオレの存在に気づいたバイブソムリエのおばさんと視線があった。
偉大な先人に対して頭を下げると、あちらさんも手に名機ブラックサンダーを持ったまま、微妙な顔で会釈を返してきた。
ソムリエ先輩の背を通り抜け、さにらに奥へ進む。
途中、ウチの学校も含めた、多数の中古の学生服も売られていた。
中古だというのに、なかなかいいお値段がする。
いや、中古だからいいお値段がするわけだ。
過去にもあったよね、ブルセラ。
たくさんの制服がビニールに包まれて、天井から吊り下げられている。
そのうちの一つの値札を見ると、パッと見いくらかわからない。
「いち、じゅう、ひゃく、せん……まん……じゅ……え? マジで? 」
その学生服には写真がついていた。
手で目元を隠している写真だ。
この制服を着ていたのはボクです、みたいな写真だ。
お野菜をつくっている農家の方の顔写真みたいものだ。いや、一緒にするのはさすがに失礼すぎるんだが、あんなカンジのアレだ。
ちなみに実際着ていたかどうかわからないが、それは言わないお約束だろう。
「困ったらオレも売ろうかな」
販売値がこれなら買い取り額もそれなりだろう。
今着ている制服を売って、新品を買っても利鞘でいけそうだ。
結構、遠くに離れていた店員のおばちゃんと目があった。
ニコリとされた。買ってもらえるっぽい。
それはそれとして。
店内をさまよっていたオレは、ついにお目当てを発見した。
「あった」
小さな振動を伝える為の機械。
いわゆるピンクローターだ。
価格帯もオレの小遣い(生活費)でも十分にチョイスできる幅がある。
何に使うかって?
今は無限の可能性を探るとしか言えないけど夢は広がるよね。
「けっこう届くんだなー」
ローターと無線リモコンのセットが主流のようで、その操作範囲も十メートルほどあるらしい。
「……教室内ならどこでも余裕か」
広がった夢が収束して、とある人物にロックされる。
「けど、教室でそんな事バレたら流石になぁ」
教室内ではやめておこう。
とは言え、夏木さんのベッドの上で使うというのはオレが求める夢の欠片とは違う。
「……んー。じゃあ、夏木さんに普段と違う恰好をしてもらって、お散歩デートで使ってみよう」
何でも言う事を聞いてくれるセフレ改め、だいたいなんでも言う事を聞いてくれるセフレの夏木さんなら、これくらいは大丈夫なはずだ。
快諾とはいかないが、バカだのクソだの変態だのと悪しざまに罵ったあと、不承不承とうなずきながらオレのお願いを聞いてくれる姿が目に浮かぶ。
「お値段的にこの二つか。んー、ギルティとユリアーノ。どっちがいいかな」
あとはどれを買うかだが、あんまり違いもわからない。
形状も似たり寄ったりで、せいぜい操作リモコンの形が違う位か。
「リモコンがペン型のこっちにしよっかな」
校内で使う事に未練があったオレは、胸ポケットにも差せるペン型リモコンのローターを購入する事にした。
おばちゃん店員がそれを見て、あらあら、と言いながら、ファンシーな紙袋に包んでくれた。
店名などもないしパッと見は文房具でも購入したかのような袋に、通販の盛んなこの時代でも個人店ながら生き残っている気遣いを感じ取れる。
特に未成年とわかっているだろうに御目こぼしをしてもらえるというのは、若いリピーターを生み出す大きなポイントだ。
ぜひまた来ようと思い、オレは退店ぎわにもう一度頭を下げた。
「いい買い物ができた」
オレは少し疲れた足をやすめるべく、大きなガラス張りのコーヒーショップに立ち寄った。
昔はオシャレなカフェというのは気おくれしていたし、時間と金のムダと思って利用する事はなかったが、自分が他人の注目を集めるほどの美少年ともなると、人の集まるところでムダに顔を出すというのが中々に快感だ。
盗み見どころか、スマホを向けて盗み撮りするような女性客もチラホラいるが、気づかないフリをしておく。
「この商店街でデートも面白そう、かな?」
学校も近いが、それもまた刺激的だ。
夏木さんと一目でわからない恰好なら問題ないだろうし、服などはオレが用意しよう。
高価なおパンツを何着も買わせてしまって申し訳ないとも思ってたし、お詫びも込めてプレゼントだ。
「もちろん、このローターも一緒にね」
夏木さんとのデートが今から楽しみだ。
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