【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

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『夏木青葉』

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『夏木青葉』

朝。

目覚めると一人だった。

結局、あの後、ずっと待っていたが目を覚ます事のなかった夏木さん。

さすがに夏木さんをそのままにして帰るわけにもいかず、オレはそのままベッドで添い寝をしていた。

夏木さんが目覚め次第、帰宅するつもりだったが、ついつい寝てしまったようだ。

「八時? 多分、寝たのは十九時か二十時くらいだろうけど……一回も目覚めなかったのか」

絶倫射精で体力を消耗していたせいもあってか、ずいぶんと深く寝入っていたようだ。

他人のベッド、慣れない枕、という環境でよくもまぁグッスリだったものだ。

「で……夏木さんはどこ行ったんだろ?」

ベッドから降りようとすると、ちょうど部屋のドアが開いた。

夏木さんが手に銀色のトレイを持って入ってきたのだ。

「ああ、起きたか。声をかけてもゆすっても起きないから、ちょっと心配したんだぞ?」

やばい。

「……夏木さん、それなに?」
「これか? 朝メシだよ。トーストの野菜サンドとスクランブルエッグと……」

違う、そうじゃない。

「違う、そうじゃない」

声にも出てた。

「なにが?」
「その格好」
「ああ……これか?」

つけていたエプロンをめくる夏木さん。

そう。

彼女は今、エプロン姿だった。

今朝もポニーテール姿な上、そこにエプロンときたものだ。

かわいいがさらに加速している。

昨晩の回数が四回だったら、押し倒したかもしれない。

などと、よこしまな視線を受けているとも気づかない夏木さんは、少し照れながら。

「店で使ってるヤツだよ」
「え? 夏木さん、お店を手伝ってるんだ?」
「注文をきくのと簡単な調理ぐらいはな。もちろんメインは母さんがやってる」
「へぇ、すごいね」
「それくらいはな。それに男に手料理を食わせるのも夢だったし。まさかこんなに早くかなうと思わなかったな」

ベッドの上にトレイを置く夏木さん。

暖かいトーストからふわっとバターが香る。

「お前さ、ちょっと前にアタシの頼みを聞いてくれるって言ったろ? ならコレ食ってさ。アタシの夢、かえなてくれよ」

確かにちょっと前、オレにできる事ならとは言った。

けど、これはないだろう。

「夏木さん」
「な、なんだよ」

一瞬でも断られると思ったのか、夏木さんが不安げな声になった。

オレはすぐさまそれを払拭させる。

「こんなのボクからお願いしたいくらいだよ? ボクへのお願いはまた別のモノにして? いただきます!」

それ以上、夏木さんに何もいわせる事なく、サンドイッチにかぶりつく。

マスタードがきいていておいしい。

スクランブルエッグも卵に下味がついているのか、いかにも喫茶店の味ってヤツだ。

「あんまり急いで食うとつまるぞ?」

氷の浮いたアイスコーヒーをオレに差し出してくれる夏木さん。

それを受け取りつつ、サンドイッチをまた味わう。

おいしい。

夏木さん、すごいな、こんなの作れるんだ。

「う、うまいか?」

夏木さんが聞いてくるが、無視して次のサンドイッチに手をのばす。

「あ……ふふ」

夏木さんが安心したように笑った。

その後、夏木さんの分まで食べてしまい怒られる事になるんだが、それでも夏木さんはずっと笑顔だった。

だって、食べ始めたら体が空腹だったのを思い出して止まらなくなってしまったのだ。

「お代は?」
「バカ言うなって」
「じゃあ、体で返すね?」
「……バーカ」

食べ終えた後も、ベッドの上でダラダラとくつろいだ。





***





「じゃあ、また日曜日。学校でね」
「おう、悪いな、追い出すみたいになってよ」
「ううん。あと、ごちそうさま。おいしかった」

昼頃になって、玄関まで見送ってくれた夏木さんに別れの挨拶をする。

夏木さんも色々と忙しい身だ。

お母さんの所へは毎日必要なものを持ってお見舞いに行っているらしい。

あとは、シーツの洗濯とかもあると本人が自慢げに言ってきた。

自分の血がついたシーツだが、恥ずかしいという意識はないらしく、むしろドヤってきたので反応に困ってしまった。

玄関でクツをはき、ドアを開けようとして。

「夏木さん」
「ん?」
「はい」
「なんだよ?」

オレが夏木さんに顔をよせて目を閉じる。

いわゆるキス待ち顔だ。

美女、美少女の特権であり……今ならオレにも許される奥義。

うっすらと目をあけて眼前の夏木さんを見ると、ようやくそうと気づいたらしく少し戸惑ったようにして。

「……ん」

羽根で触れるようなキスをしてくれた。

「な、なんか照れるな」

白い肌のほっぺを今日も赤くして、夏木さんがはにかんだ。

「じゃ、お邪魔しました」
「おう。またな」

そうしてオレは玄関から出て、まぶしい太陽の下に歩みだす。

「夏木さん、かわいかったなー」

別れて一分と経っていないのに、すでに月曜日が待ち遠しくてたまらない。

「夏木さんとは今後も仲良くしていくのは当然として」

脳裏に浮かぶのは別の女性。

「冬原先生、か」

担任の女教師。

体育教師でいつもジャージ姿の大人の女性だ。

「さて、どうやって仲良くなろうかなー」

オレは踊る様な気持ちで帰宅し、足りてなかった栄養分を補充すべくドカ食いをした後に爆睡した。





***





そうして月曜日。

「夏木さん、おはよう」

いつものように先に登校していた夏木さんは机にふせって居眠りしていた。

以前は足を机に投げ出していたが最近はちょっと落ち着いている。

……オレのせいかな? そうなら少し嬉しい。

あんまりトゲトゲしているより、夏木さんはクールな方が似合うと思う。

「おう……おはよーさん」

オレが席につくと、小声で挨拶を返してくれる夏木さん。

クラスの中であまり仲良くすると目立ってしまうので、オレにだけ聞こえるような小声だ。

いつも通りの光景。

つい一昨日、二人で溶け合うようになっていたのがウソみたいだ。

夏木さんは事の最中は情熱的だが、普段はやっぱりドライである。

そんなドライな仮面をはがしたい、意地悪したいと思うのがオレだ。

「今日も、ね?」
「……ああ」

今日も放課後の校舎裏で待ち合わせの約束をした。

やがてすべての授業が終わった後、先に教室を出たオレが校舎裏で待っていると、夏木さんがいつものように周囲を見回しながらやってきた。

オレは待ちきれずに早足で駆け寄ると、夏木さんも嬉しそうにオレを迎えた。

「ワリイ、待たせたか?」
「ううん。それよりもさ?」
「な、なんだよ。今日も……ウチにくるのか?」

オレがいつもより食い気味だったせいか、夏木さんも開幕からウエルカムモードだ。

お気持ちは嬉しい。

だがその前にオレは次なる提案をしてみた。

「お尻って……興味ある?」

今まで夏木さんは変態を見るような目でオレを何度も見てきた。

おっぱいでして欲しいと言った時は正気を疑われた。

けれど今回は。

「……い、いやだ。いくらお前のお願いでも、それだけはイヤだよぉ」

泣かれた。

処女の痛みに貫かれていた時ですら、涙をみせまいとしていた夏木さんがガン泣きだ。

言ってみただけ、とは言えない空気になってしまった。

オレはすぐさま撤回し、夏木さんに謝り倒したのだった。
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