【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

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『夏木、イメチェンする』

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『夏木、イメチェンする』

翌日。

登校そうそう、オレは歓喜に震えた。

「夏木さん、それって……」
「ん? ああ、最近誰かさんが乱暴に扱うせいで髪が痛んでるんだよ」

朝の挨拶もせず、オレは珍しく起きていた夏木さんに問いかけた。

夏木さんの髪型が変わっていた。

昨日までのストレートロングが……ポニーテールになっている。

究極と至高の髪型があるとすれば、そのどちらかがコレだ。

異論は認めない、誰であろうと拳で黙らせるぐらいの覚悟がオレにはある。

「……」
「フン。アタシには似合わないってか?」
「そんな事ないよ? すごく良いよ。いいなぁ、それって今日だけ? 明日もそうしない? いや、ずっとそのままでいようよ!」
「な、なんだよ、こっち来んな、顔が怖いんだよ!」

つい魂の慟哭が漏れてしまった。

夏木さんは顔を背けながらも。

「……お前がお願いするってんなら……別に構わねぇけどさ」
「ふふ。このお願いは、アッチのお願いとは違うけど、いいのかな?」
「バッ! ……バカ野郎……」

つい大声をあげようとした夏木さんが浮かしかけた腰を椅子に戻し、恨めし気な目でオレをにらむ。

周囲が妙に騒がしい。

「え、なんで宮城君と夏木が仲いいの?」
「隣の席ってだけで? ずるくない? 席替え早くしてほしい」
「脅されてるとか?」

オレと夏木さんが親しくしているというのが納得いかないというか、理解できないという声がちらほら。

んー。

昨日は恋人と勘違いされてもいいと思って手をつないでブラブラしていたけど、夏木さんとしても陰口を向けられるのは面白くないだろう。

やっぱりクラス内ではあまり仲よくしない方がいいか?

ただ、周囲のざわめきは別の内容もあった。

「聞いた? 宮城君、ポニーテール好きっぽい!」
「私も明日からそうしてくる!」

こちらはドンドンやって欲しい。

なんならツインテールもドンと来いだ!

……いや、むしろ?

夏木さん見る。

「な、なんだよ?」

ロングのツインテは非常に難しいスタイルだ。

小学生くらいであればともかく、高校生ともなって腰まで届くようなツインテールにすると……なんちゃってロリータというか、いかがわしいコスプレのようになってしまうおそれがある。

しかし。

捨てがたい。

特に夏木さんがツインテールをするという所が非常にポイントか高い。

「お、おい、いつまで黙って見てるつもりだよ、お前の獲物を見るような目つき、怖いんだよ……」

自分の腕で自分を抱きしめるようにしながら、小声で抗議してくる夏木さん。

しかし微妙に嬉しそうにしているあたり、硬派な夏木さんも自分の容姿が異性にほめられるというのは気分がいいんだろう。

「ホームルームを始めるぞ、皆、席につけー」

チャイムが鳴って担任が入ってくる。

ウチの担任の冬原先生は体育教師で、いつも白いティーシャツの上にジャージという格好だ。

前世ではむさいおっさん体育教師がやっていたテンプレなビジュアルだが、若い女の先生がやっているとこうも違うものかと感動すら覚える。

ファスナーをしめずにジャージの前をガッツリと開けているので、大きく襟首のあいたシャツが丸見えなのだが。

(悲しいまでに大平原なんだよなー)

あれで夏木さんの半分もあれば眼福だったのに。

実に惜しい人材だ。

「……なんだ、宮城?」

最後方の席からとはいえ、冬原先生の胸をガッツリ見すぎていたかもしれない。

名指しで声をかけられた。

「いえ、なんでありません。おはようございます、冬原先生」
「ああ、おはよう。では本日の予定だが――」

ホームルームが始まった。

「……チッ」

隣の夏木さんが舌打ちをした。

「どうしたの?」

小声で問いかけるものの。

「……フン」

そっぽを向かれてしまった。

さっきまで機嫌が良かったはずなのに、なんでだろう?

結局、その後も夏木さんは口を聞いてくれなかった。
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