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『夏木、墓穴を掘る』
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『夏木、墓穴を掘る』
次の日。
朝、教室に入り、すれ違う子たちに挨拶をしつつ一番後ろの自分の席につく。
最後方の左端。絶好の場所だ。
その右隣の夏木さんは不良のわりにいつもオレより早くきて机で寝ている。
だが。
「……もしかして休みかな?」
今日は夏木さんの姿がない。
昨日のアレのせいかと思いきや、よくよく見ればカバンは机の横にかかっている。
登校はしているみたいだ。
トイレだろうか? そう思っていたら夏木さんが教室に入ってきた。
皆が避けるようにする中、いつものように肩で風を切るように歩いてくるが……。
オレの顔を見た瞬間、立ち止まって硬直した。
「……み、宮城」
「やあ、おはよう。夏木さん」
周囲がざわめく。
よく考えたら、オレが教室で夏木さんとまともに話すのはこれが初めてか?
なるほど。
前世で言えばクラスに一人しかいない女の子が、不良と仲良さげにするというのは目立つだろう。
そして今のオレはその美少女ポジションだ。
「座ったら?」
「お、おう……」
夏木さんは落ち着かない様子で席に座る。
いつものように机に伏せて寝始める事はなく、チラチラとオレの様子をうかがっていた。
「ん? どうしたの?」
「べ……別になんでもねぇよ」
いつもより口調が荒い。
いや、もともとこういうふうだったっけ。
クラスの中では以前同様の振る舞いを続けるようだ。
オレとしては彼女に変な恥をかせるつもりは毛頭ない。
むしろ、彼女を立てるつもりだ。
怖い不良だけど美少年から好意を寄せられているっていうのはリア充っぽいし、硬派を尊ぶ夏木さんとしても悪い気はしないだろう。
「そっか。ごめんね」
泣きそうな顔を演じてあやまるオレに慌てた夏木さんだが、すぐにフンと鼻を鳴らしていつのように居眠りを始めた。
そして一限目が始まる。
オレは今日の予定を考える。
昨日のように放課後に夏木さんを呼び出して少しずつステップアップして楽しむか。
しかし、いつまでも校舎裏であんな事をしているといずれは誰かに見つかるだろう。
色々とできる場所を確保したいところだが……んー。
無難なのはラブホテルだろうが資金的にもなかなか厳しい。
仕送りもギリギリの苦学生なのは、前世からの引継ぎ条件だった。
神様も金銭面のフォローまではしてくれていない。
そもそもラブホなんて制服では入れないだろうし、わざわざ着替えてというのも面倒。
さらに言えば、せっかく制服を着ている女の子を着替えさせるなんて神への冒涜だ。
というわけで、できれば校内。
校内で人気のない場所か。
例えば特別教室や使っていない部室などだろうか?
「んー……」
オレがうなっていたのが耳に入ったのか寝ていた夏木さんが、いつの間にかこちらをじっと見ていた。
「ん? どうしたの?」
「……今度はアタシに何させる気だよ……?」
小声で抗議のような問いかけをしてくる。
なるほど。
次第にエスカレートしてくオレの要求におびえているわけか。
ギロリとにらみつけてくる目が……かわいい。
なら、その期待に答えないとね。
次の日。
朝、教室に入り、すれ違う子たちに挨拶をしつつ一番後ろの自分の席につく。
最後方の左端。絶好の場所だ。
その右隣の夏木さんは不良のわりにいつもオレより早くきて机で寝ている。
だが。
「……もしかして休みかな?」
今日は夏木さんの姿がない。
昨日のアレのせいかと思いきや、よくよく見ればカバンは机の横にかかっている。
登校はしているみたいだ。
トイレだろうか? そう思っていたら夏木さんが教室に入ってきた。
皆が避けるようにする中、いつものように肩で風を切るように歩いてくるが……。
オレの顔を見た瞬間、立ち止まって硬直した。
「……み、宮城」
「やあ、おはよう。夏木さん」
周囲がざわめく。
よく考えたら、オレが教室で夏木さんとまともに話すのはこれが初めてか?
なるほど。
前世で言えばクラスに一人しかいない女の子が、不良と仲良さげにするというのは目立つだろう。
そして今のオレはその美少女ポジションだ。
「座ったら?」
「お、おう……」
夏木さんは落ち着かない様子で席に座る。
いつものように机に伏せて寝始める事はなく、チラチラとオレの様子をうかがっていた。
「ん? どうしたの?」
「べ……別になんでもねぇよ」
いつもより口調が荒い。
いや、もともとこういうふうだったっけ。
クラスの中では以前同様の振る舞いを続けるようだ。
オレとしては彼女に変な恥をかせるつもりは毛頭ない。
むしろ、彼女を立てるつもりだ。
怖い不良だけど美少年から好意を寄せられているっていうのはリア充っぽいし、硬派を尊ぶ夏木さんとしても悪い気はしないだろう。
「そっか。ごめんね」
泣きそうな顔を演じてあやまるオレに慌てた夏木さんだが、すぐにフンと鼻を鳴らしていつのように居眠りを始めた。
そして一限目が始まる。
オレは今日の予定を考える。
昨日のように放課後に夏木さんを呼び出して少しずつステップアップして楽しむか。
しかし、いつまでも校舎裏であんな事をしているといずれは誰かに見つかるだろう。
色々とできる場所を確保したいところだが……んー。
無難なのはラブホテルだろうが資金的にもなかなか厳しい。
仕送りもギリギリの苦学生なのは、前世からの引継ぎ条件だった。
神様も金銭面のフォローまではしてくれていない。
そもそもラブホなんて制服では入れないだろうし、わざわざ着替えてというのも面倒。
さらに言えば、せっかく制服を着ている女の子を着替えさせるなんて神への冒涜だ。
というわけで、できれば校内。
校内で人気のない場所か。
例えば特別教室や使っていない部室などだろうか?
「んー……」
オレがうなっていたのが耳に入ったのか寝ていた夏木さんが、いつの間にかこちらをじっと見ていた。
「ん? どうしたの?」
「……今度はアタシに何させる気だよ……?」
小声で抗議のような問いかけをしてくる。
なるほど。
次第にエスカレートしてくオレの要求におびえているわけか。
ギロリとにらみつけてくる目が……かわいい。
なら、その期待に答えないとね。
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