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『夏木と放課後』
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『夏木と放課後』
なんでもしてくれるというので、その日に早速誘ってみた。
放課後、少し経った校舎裏に夏木を呼び出した。
時間五分前に向かったが、すでに夏木さんは校舎の壁に背をもたれかけて待っていた。
「ごめんね、時間とらせちゃって」
「……おう。確かになんでもしてやるって言ったけどよ?」
脅したつもりだったのに、まさか本気でとられると思ってなかったのだろう。
夏木さんが頭をポリポリとかきつつも、オレに話の先をうながした。
「まぁいいや。女に二言はない。それにアタシなんかをこんな所に呼び出したんだ。マジで困り事があるんだろ? デカい声じゃ話せない事か?」
さっきのように脅す雰囲気はなくなっていた。
というよりも、心配げな表情でオレを見ている。
壁から背を放してオレに近寄る夏木さん。
周囲にも目をやって、野次馬がいないかを確認している。
盗撮が当たり前の世界だからなぁ。
用心している今だってどこかで撮られているかもだけど、気にしていたら何もできない。
オレも一応、尾行されてないか確認しながらここまでやってきた。
「ありがとう。お願いがあるのは本当だよ。けど、その前に教えて? お礼代わりに駄賃をもらうっていうのは、何の事? ボク、お金は本当にないんだ……」
実際、生活費などはわりとギリギリな額が両親から送られてきている。
食べるに事かくことはないが、ゲーム代やらケータイ代やらを考えると余裕はない。
前世は友達もいなかったしそれでもよかったが、この世界では生活内容が変わるだろうから、バイトも考えている。
まぁ、その話は今はともかく。
夏木は駄賃という言葉に反応して、あわてて否定し始めた。
「……あ、あれは言葉のあやっていうかな。冗談だ、ジョーダン」
「ううん、お願いをする以上、ボクにできる事なら……なんでもするよ?」
意識して”なんでもするよ”攻撃をしてみる。
男女逆転の世界とはいえ、男が言ったところで本当に効果があるのか?
「な、なんでも……?」
効果はバツグンだ。
「うん。夏木さんだってなんでもしてくれるって言ってくれたから。だけどボク、鈍くさいからさ。お昼にパンを買いに行くとか、掃除当番を変わるとかくらいしかできないかもしれないけど」
「い、いや、そんなパシリとかじゃなくて、その、さ……」
あえて、夏木さんが考えている事とは違う事を提示し、本人の口から望みを言わせるように誘導する。
「ん? 何? ごめん、よく聞こえない」
急に小声になった夏木さんに近寄る。
「う」
あとじさった夏木さんが、校舎の壁に背をぶつけた。
「ボクは何をすればいいのかな?」
「……あ、あのよ」
「うん」
「手……」
「手?」
「手をつないで……くれないか?」
なんて?
なんでもしてくれるというので、その日に早速誘ってみた。
放課後、少し経った校舎裏に夏木を呼び出した。
時間五分前に向かったが、すでに夏木さんは校舎の壁に背をもたれかけて待っていた。
「ごめんね、時間とらせちゃって」
「……おう。確かになんでもしてやるって言ったけどよ?」
脅したつもりだったのに、まさか本気でとられると思ってなかったのだろう。
夏木さんが頭をポリポリとかきつつも、オレに話の先をうながした。
「まぁいいや。女に二言はない。それにアタシなんかをこんな所に呼び出したんだ。マジで困り事があるんだろ? デカい声じゃ話せない事か?」
さっきのように脅す雰囲気はなくなっていた。
というよりも、心配げな表情でオレを見ている。
壁から背を放してオレに近寄る夏木さん。
周囲にも目をやって、野次馬がいないかを確認している。
盗撮が当たり前の世界だからなぁ。
用心している今だってどこかで撮られているかもだけど、気にしていたら何もできない。
オレも一応、尾行されてないか確認しながらここまでやってきた。
「ありがとう。お願いがあるのは本当だよ。けど、その前に教えて? お礼代わりに駄賃をもらうっていうのは、何の事? ボク、お金は本当にないんだ……」
実際、生活費などはわりとギリギリな額が両親から送られてきている。
食べるに事かくことはないが、ゲーム代やらケータイ代やらを考えると余裕はない。
前世は友達もいなかったしそれでもよかったが、この世界では生活内容が変わるだろうから、バイトも考えている。
まぁ、その話は今はともかく。
夏木は駄賃という言葉に反応して、あわてて否定し始めた。
「……あ、あれは言葉のあやっていうかな。冗談だ、ジョーダン」
「ううん、お願いをする以上、ボクにできる事なら……なんでもするよ?」
意識して”なんでもするよ”攻撃をしてみる。
男女逆転の世界とはいえ、男が言ったところで本当に効果があるのか?
「な、なんでも……?」
効果はバツグンだ。
「うん。夏木さんだってなんでもしてくれるって言ってくれたから。だけどボク、鈍くさいからさ。お昼にパンを買いに行くとか、掃除当番を変わるとかくらいしかできないかもしれないけど」
「い、いや、そんなパシリとかじゃなくて、その、さ……」
あえて、夏木さんが考えている事とは違う事を提示し、本人の口から望みを言わせるように誘導する。
「ん? 何? ごめん、よく聞こえない」
急に小声になった夏木さんに近寄る。
「う」
あとじさった夏木さんが、校舎の壁に背をぶつけた。
「ボクは何をすればいいのかな?」
「……あ、あのよ」
「うん」
「手……」
「手?」
「手をつないで……くれないか?」
なんて?
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