【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『今、なんでもって言った？』

『今、なんでもって言った？』

夢の言葉を聞いた気がした。

幻聴？

いや、確かに聞いたのだ。

リピート。

プリーズワンモアリピート。

「おう、なんでもだ。もちろん、駄賃はもらうけどな」
「あ……あの、ボ、ボク、お金はないです……」

ついボクと言ってしまうのは、イジメられていた高校時代のクセだ。

「金？　あ、いやいや、違う違う、そうじゃなくて……」

ヤンキーが慌てた。

そこへ。

「夏木さん！　何やってるの！」
「チッ……」
「聞こえていたわよ！　お金の話をしていたわね？」
「テメェにゃ関係ないだろうが！　あと金の話なんてしてねぇよ！」

夏木さんに突然くってかかった女の子がいた。

「宮城君。大丈夫？　夏木さんに何か言われたの？　お金か何かとられたの？」
「ええと……」
「やっぱり！　言いにくい事でも、私がちゃんと」
「いえ。君の名前をまだ……覚えてなくて」

名前がわからん。

「ああ。そうね。私はクラス委員長の春日井陽子。転入してきたばかりの宮城君にはわからない事が多いと思うから、何かあれば私に聞いてね」
「あ、うん。ありがとう、春日井さん」

……転入？

はて？

そう言えば、さきほどの夏木さんの挨拶？　も何やら妙だった。

というかこの世界でのオレの立ち位置というのはどうなってるんだ？

『テステス。聞こえますか？　私は今、貴方の頭に直接語り掛けています』
「……神様」
「え？」
「あ、ごめん。ちょっと……トイレ！」
「あ、あ、う、うん、どうぞ」

トイレダッシュで個室へ。

「神様？　あの、これは？」
『男女比の違いからそういう設定で段取りしておきました』
「ありがとうございます、助かります。あの、具体的には？」
『二年に進級したタイミングで転入してきた事になっています。ですから一年生の頃の同級生などもいませんよ。好きにこれからの自分を作っていってくださいね』　
「あ、ありがとうございます」

それはありがたい。

三年間イジメられていた過去はなくなった。

というか、そもそも山田君がいない時点でオレをイジメていた不良どもがいなくなってるか。

「けど、それならそうと、最初に教えてくれていれば」
『……神は全てを語らぬものです』
「……忘れてました？」
『それでは良い人生を』
「あ、神様？　他に言い忘れとか……返事なくなった」

というわけでオレは転入生というポジションで新しい生活を始める事になった。