葬送士

りふる

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白い雲

十三

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「もう時間がない。伝えたいことは伝えたほうがいい」 


「え…」 


少女はそう言うと
一輪の花を片手で作り出し、光に向かってそれを投げた


「…!…」 


光は花の力を借りるように再び輝き出して
一人の人物へと変化する


「母さん…!」 


「_____」 


それは、三ヶ月前に他界した母の姿だった 


「母さん…母さん…!」 


生前と変わらず、優しい顔で微笑んでくれる母


「…俺を護っていてくれたの…?…今まで…ずっと…」 


「_____」 


母は声を出さずに目を閉じた 


「…心配かけてばかりだね…俺…」 


「______」 


「でも…もう大丈夫だよ。母さんびっくりするくらい強くなって、今みたいな事も自分で対処する…。
だから安心して欲しい」 


「______」 


「俺、母さんの子供に産まれて幸せでした。これからも大好きだよ」 


「____っ」 


母親は或の言葉に涙を溢し


「____私もよ」


そう、一言だけ言うと


「…!」 


椿の花と共に空へと昇っていった




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