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番外編 シュノー・ブリューテ
聖者の聖水③ 【完】
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ナナセの尻穴を指で押し広げ、子種で膨らんだ腹を片腕で抱き締めるように押すと、中に溜まっていた大量の子種がブシャッと勢いよく床に放出される。
「うっ! ああっ……! あっ、あっ、ああああっ!」
それから何度かに分けてブピューッブピューッと腹の中の子種を床の上に粗方出し切るとナナセは放心してくたりと私に体重を預けた。
寝室には昼間の執務室以上の惨状が広がっている。
だがこれで聖水が人手に渡ることはないだろう。
「……聖水って……なんつーか、エリーだもんな。エリーらしいっつーか……でも俺はまだ許したわけじゃねえからな」
恨みがましそうに口を尖らせて憎まれ口を利いているが、その実、もう殆ど許していて、諦めの境地に達しているようにも見えた。
しかし私は次の瞬間に、咄嗟に口を滑らせる。
「いっそ許さないでくれ」
そうだ。ナナセは私を許してはいけない。
先程の背徳的な官能が許されてしまえば、すべてが台無しになる予感がした。
「えっ?」
「決して許さず、私を罰してくれ」
身勝手にも私は罰を望んだ。
ナナセが私を振り仰いだが、今度は私の方が目を合わせられず、細い肩口に顔を埋める。
「お願いだ」
私の懇願に、ナナセは何も訊かず、幾許かの猶予の後、静かに口を開いた。
「……わかった。絶対に許さねえから」
ナナセが何を思ってそうしてくれたのかは、きっと私には一生理解できないだろう。
ただ、ナナセが許さない限り、あの官能は恒久的に私のものなのだということだけは私にも分かった。
しな垂れかかってくる身体を抱き上げて浴室へ連れて行こうとして、不図、床に一輪の白い花が落ちているのが目に留まった。
ナナセを片腕で抱え直しながら空いている方の手を伸ばして拾い上げる。
ついさっきまでナナセの陰茎に挿していたあの花だ。
「……雪の花」
手に取って知らず花の名前を呟くと、ナナセが怪訝そうに私の手元の花を覗き込む。
しかしすぐに昨日の花だと気付いたのか、あからさまに動揺している。
「何?」
「この花の名前だ。『雪の花』と言う」
「へえ。それ、食える?」
「食べたことはないが、どうかな。今度訊いておく。食べたいのか?」
「ううん――」
興味というものが微塵も感じられない気のない相槌が返される。
ナナセが興味を持つのは主に金属と食べ物だ。
金属で出来た花か食べて美味しい花なら反応もまた少しは違ったのだろう。
そういえば婚礼衣装を飾る花の候補は、この雪の花の他にもう一つあり、そちらは星の花という星型の花だったことを思い出す。
――決めた。
婚礼衣装を飾るのは、この雪の花にしよう。
他の星など必要ない。
私の星はここにあるのだから。
番外編 シュノー・ブリューテ【完】
「うっ! ああっ……! あっ、あっ、ああああっ!」
それから何度かに分けてブピューッブピューッと腹の中の子種を床の上に粗方出し切るとナナセは放心してくたりと私に体重を預けた。
寝室には昼間の執務室以上の惨状が広がっている。
だがこれで聖水が人手に渡ることはないだろう。
「……聖水って……なんつーか、エリーだもんな。エリーらしいっつーか……でも俺はまだ許したわけじゃねえからな」
恨みがましそうに口を尖らせて憎まれ口を利いているが、その実、もう殆ど許していて、諦めの境地に達しているようにも見えた。
しかし私は次の瞬間に、咄嗟に口を滑らせる。
「いっそ許さないでくれ」
そうだ。ナナセは私を許してはいけない。
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「えっ?」
「決して許さず、私を罰してくれ」
身勝手にも私は罰を望んだ。
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「……わかった。絶対に許さねえから」
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ただ、ナナセが許さない限り、あの官能は恒久的に私のものなのだということだけは私にも分かった。
しな垂れかかってくる身体を抱き上げて浴室へ連れて行こうとして、不図、床に一輪の白い花が落ちているのが目に留まった。
ナナセを片腕で抱え直しながら空いている方の手を伸ばして拾い上げる。
ついさっきまでナナセの陰茎に挿していたあの花だ。
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手に取って知らず花の名前を呟くと、ナナセが怪訝そうに私の手元の花を覗き込む。
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「何?」
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「食べたことはないが、どうかな。今度訊いておく。食べたいのか?」
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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Thanks for uplifting everyone’s morale, for pushing the boundaries and lifting everyone during the difficult times. You’re an irreplaceable asset to your own work.https://www.ox369.com/..
連載終了お疲れ様でした(*^-^*)そしてとても楽しい時間をありがとうございました(*^▽^*)!
「絶対に許さねぇ」って言ったナナセ君は、エリアスの内心を見抜いてその発言をしたのかな? 鋭い人ですからね……。
そう言えば昔ちょっとブームになった「空(から)の境界(奈須きのこ氏著)」って小説で、人を殺したヒロインに主人公が「絶対に許さない」って言ったシーンを思い出しました。シチュエーション、違っていたのに?
で、ご指摘頂き前の章を読み返してハッ! と気づきました。あ、してたわアソコにぶっさし……。
―――タシカニ、ソンナシーンガアリマシタネ……。
まぁあの時のナナセ君は重要な「目玉商品」でしかなく、エリアスの「命より大切な人」ではなかったので、お清めセックスで良い思い出に昇華出来たって事で、うんめでたいめでたい×∞。
エリアスの星(ナナセ君)とエリアスに幸あれ♪
本当にありがとうございました~♪
無事連載終了出来ました。
楽しんで頂けたなら何よりです。
もう感想頂けなくなると思うと寂しいですが、これまでたくさんの感想ありがとうございました。
常日頃から多面的な視野を持ちたいと思っていても、自分一人では限界があるので、みけのさんから色々な感想を伺えて毎回「なるほどそういう読み方もあるのか!」と視野が広がる思いでした。
内覧会のアレ、思い出して頂けましたか。
毎回お清めセックスまでがワンセットなところを踏まえて読み返して頂くと「このときもあのときもそのときも、色々されてたんかな……」と感慨深いと思います。
絶許発言は「果たしてこれは読者に受け入れられるんだろうか?」と疑問に思いながら、元々読む人を選ぶ作品だし、ここまで読んでくれた方なら理解してくれるはずと信じて攻めてみました。
結果、信じてよかったと思っています。
エリアス視点だとナナセが何考えてるか分からないし、逆も然りなんですが、でも基本的に仲良しなので上手くいってますね。
どうか二人が駆け抜けた一万年後の未来へ空想を飛ばして貰えたらと思います。
ありがとうございました。
「脇が火を吹く」の意味がよう――やく、分かってきたところで、次はコレですか……。エリアス、どんどん扉を開けられていますね(@_@。
治癒力がある分、かなりマニアックなプレイが出来るようですね……。一輪挿しの辺りとか想像だけで痛そう……いや、闇魔法っぽいです。
ナナセ君、自称「フツメンの擬人化」なのに知識と度胸だけはあるからドンと来い! ですね。
うん、無茶だけはしないでね……とか、思ってしまいました。
思い出してください。
ナナセは一輪挿しの花瓶を最終章の競売の内覧会で一度やってるんです。花ではなかったですが。
それから、一章の「頑張りましたね」と、二章の「真・お清めセックス本番」でエリアスはナナセが他の男にされたことを詳細に聞き出して自分も同じことして上書きしてたことも思い出してください。
以上を踏まえて、これは本編に書かれていないことなんですが、最終章でも同様に、エリアスが上書きしていたと推測されます。
ナナセは環境適応能力が高いのできっともう一輪挿しも慣れちゃったんじゃないでしょうか。
ちなみにナナセの感覚では挿入なしなら全部軽いプレイだと思っているようです。
あと1話、今夜の更新で完結ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。