異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが

マハラメリノ

文字の大きさ
上 下
258 / 266
番外編 シュノー・ブリューテ

美しい一輪挿しの花瓶①

しおりを挟む
後で聞いた話だが、これはナナセの祖国で妻が疲れた夫を癒すときの常套手段とのことだった。

しかしこのときの私はまだそれを知らない。
何故揉ませてくれるのか分からないが、揉ませて貰えるのであれば揉まないという選択肢はない。
なにしろナナセの乳嘴を好きなだけ愛撫できる機会は初めてなのだ。
この機を逃せば次があるかどうかも分からない。躊躇いは打ち捨てよう。

「じゃあどうぞ」

長椅子カウチソファーの上で上体を起こしたナナセが着衣をたくし上げると象牙色の胸板で薄紅色の乳嘴が外気に触れてぷつんと存在を主張していた。
思わずごくりと喉が鳴る。

「い、いいのか?」
「いいも何も何時も揉んでるだろ。ほら、好きなだけ堪能しろよ」

薄紅に色付いた乳嘴は小さいが感度が良くて、どんな些細な刺激でも性感として拾ってしまうし、強すぎる刺激は痛みとして感受してしまうらしい。
だからそこに触れる際はいつも細心の注意を払って殊更優しく愛撫する必要がある。
閨の最中でも己の欲望のまま無闇矢鱈に触れたことはない。ナナセの様子を窺いながら、最も効果的なタイミングを見計らって触れていた。

だから恐らくいつも私が遠慮がちに触れていることに気付いていたのだろう。
ナナセの中で一体どのような経緯があったのかは分からないが、今は兎に角そこを好きなだけ堪能していいと言うのだ。

「感謝する……」

私は逸る気持ちを抑えて居住まいを糺し、まずはそっと掌全体で包み込むように触れてみる。
ナナセは瞼を閉じて感じ入ったように「は」と息を吐く。
その反応に気を良くした私は、吸い付く様な素肌の滑らかな手触りを存分に楽しみながら揉み拉き、いよいよ乳嘴に取り掛かった。

親指で円を描くように乳嘴を転がし、摘まんだり圧し潰したりして好みの硬さになったところで満を持して吸い付く。

「……っひうっ……!」

ナナセは仰け反って背凭れに身体を預けようとしたが、こちらに身体を向けて斜めにソファーに腰掛けていたため叶わず、背に腕を添えてやると胸を突き出したままずるずると座面に倒れ込んだ。

「あっ……! エリッ……エリー……、俺っ、は、いいから好きっ、なだけっ……ひんっ! あっ、ああっ……!」

いじらしいことを言いながらナナセはたくし上げた着衣の裾を噛み締めて快感を遣り過ごそうとしていたが、失敗して呆気なく達したようだ。
射精を伴わない絶頂なのでキュロットの中で己を主張している陰茎がとても窮屈そうだ。

甘酸っぱい乳嘴だけでなく乳輪ごと口に含んで、溢れ出る唾液ごときつく吸い上げながら、下半身の着衣も寛げてやると、下生えのないつるりとした陰茎が百合の蕾のごとく頭をもたげて顔を出す。

アルビオン人は皆そうだというが、ナナセは一度の吐精量がとても少ない上に、二度目に吐精するまでにかなり時間が掛かり、その間は達したいのに達せない状態が続くようでいつも酷くつらそうで、それを押して三度目の吐精ともなると水のように薄い子種しか出て来ない。
おまけに射精するとすぐに疲れて寝てしまうので、可哀想だが陰茎に直接的な刺激を与えないよう、極力そこには触れず、挿入して奥で絶頂を迎えさせるようにしている。
眠っているナナセとの性交もそれはそれで悪くはないけれど、やはり起きているときのナナセとの性交の方がずっと良い。
しおりを挟む
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨


📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)

次章続巻も順次刊行予定
OLOLON

※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
感想 21

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...