異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが

マハラメリノ

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番外編 シュノー・ブリューテ

雄っぱい揉む?①

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⚠️結婚式前、辺境伯領での話です。

結婚式の会場として私の実家であるブルーメンタール辺境伯領のギュンター城を使用させて貰うに当たって、ナナセは迷惑ではなかっただろうかと変に気を回して心配していたが、勇者と聖者の結婚式という歴史に残る一大式典を自分の城で挙げることが出来るとなれば、ヴェイラ王国北部の防衛の要であるのと同時に、北部最大の貿易都市でもあるこの地に齎される経済効果と恩恵は計り知れない。
何処の領主でも迷惑どころか金を払ってでも誘致したいと思うだろう。

現に、身内だけの非公開の式だと告知はしているのにも拘わらず、既に祝賀ムードのお祭り騒ぎで目抜き通りは露店で埋め尽くされている。
この地は例年冬の間は寒さが厳しいため、客足が遠退くものなのだが、今冬は聖者の治癒を受けに来る者や、商機を見出した商人などが続々と集まって来ているのだ。
寒さに弱いナナセを城の外に出すのは心配だが、この分ではお披露目しない訳にはいかないかも知れない。

ナナセは露店を見て回るのが好きだから街の様子を知ればきっと喜ぶに違いないが、外に出すわけにはいかないので黙っていようと思う。
ナナセもここの寒さが余程堪えたのか室内に引き籠ったきりで、今は暖炉の前の長椅子カウチソファーで健やかな寝息を立てている。
今日の治癒も終えた後で、疲れて眠っているのだ。
尤も、疲労の原因は治癒を施したからではなくその後、闇魔法の代償として子種を捧げる行為によるものなのだが。

今は私が式の準備に掛かり切りでナナセをほったらかしにしてしまっている状態なので、暇を持て余してご機嫌斜めになられるよりは、こうして近くで大人しく眠っていてくれる方が私としても安心ではあった。
しかし本音を言うと構って貰えなくてつまらない。
ナナセは眠っていても美しいが起きていた方が断然面白いと思う。

私は書き物机の前から立ち上がり、結婚式で使う花の見本が詰められた平たい木箱を持ってナナセが寝そべっている長椅子カウチソファーの端に腰かけた。

黒い鞣革の紐を解くと、箱の中には格子状に仕切りが付いていて各々、冬の花が標本のように収められている。状態保存の魔法が掛けられているので、水をやらずに温かい室内に置いておいても萎れる心配はない。

今は冬で、外は雪と氷に閉ざされてはいるが、この地は花咲く谷ブルーメンタールの名の通り、一年を通して様々な花が咲く。
私とナナセの婚礼に相応しい、私たち二人を象徴する花と言えば春から初夏にかけて咲く林檎の花だろう。
なにしろ私がナナセに最初に贈った指輪は、恥ずかしながら林檎の花で編んだおもちゃのような拙いものだったのだ。
それでもナナセはとても喜んでくれて、指輪をそのままドライフラワーにして今だにとても大事にしてくれている。

季節外の花でも専門の魔法士に依頼すればどうにか都合できるので、当初はブルーメンタール家の威信を賭けて城中を飾れるほどの林檎の花を手配するつもりでいた。
ところが、ナナセが「式はエリーの誕生日なんだからこの谷に咲いてる冬の花が良い」なんて可愛らしいことを言うものだから、こうして花咲く谷ブルーメンタールの冬の花の見本を取り寄せてみたのだ。

そういう訳で、この冬の花の中からナナセの婚礼衣装を飾る花を選ぶつもりでいる。
数種類を組み合わせるのもいいが、やはりナナセの黒髪には白い花が一番似合うので一種類で纏めるほうがいいと思う。

候補として挙げられる白い花は二種類。
五枚の花弁が星型に見える花「星の花シュテルンブリューテ」と、雪の結晶を幾つも重ね合わせたような八重咲の花「雪の花シュノーブリューテ」だ。

華やかさで選ぶのであれば「雪の花シュノーブリューテ」だが、ナナセの名前は「七つの星」という意味だそうだから、「星の花シュテルンブリューテ」も捨てがたい。
試しに、眠るナナセの髪に二種類の花を飾ってみたが、ナナセは眠っていても美しいという既に知っていることしか分からなかった。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨


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次章続巻も順次刊行予定
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