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番外編 聖者の取説
聖者の取説②
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人心地付いたナナセが暖炉の前で身体の前面と背面を交互に焙りながらそう零したが、吃驚したのは私の方だ。
心臓に悪いので余り驚かせないで欲しい。
私にはナナセより大切なものなどないというに、分かっているのだろうか。
ナナセが空になったグリューワインのゴブレットを名残惜しそうに覗き込んでいるのを見て、メイドにグリューワインのおかわりを持ってくるように言い付け、まだ温かいとは言い難いナナセの手をさする。
恐らくナナセの祖国は温暖な気候で、余り寒さに慣れていないのだろう。
前回、ナナセを連れてこの地を訪れたのは初夏だったし、十二月の今はまだ冬の序盤で本格的に寒さが厳しくなるのは二月頃なので私も高を括っていたのに加え、転移門は屋外にあるが、すぐに城内に入るから防寒具は必要ないだろうと甘く見ていたのがいけなかった。
「今日はまだ暖かいほうで、防寒着を着出すのは寒さが本格的になる年明けからなんだ」
「マジかよ! 真冬に半袖で外歩いてる外人か! グッピーだったら死んでたぜ!」
ナナセ曰く、私のような寒冷地出身で体格がよく筋肉量も多い白人は、寒冷刺激で熱生産性を有するベージュ脂肪細胞というものを持っていて、体内で熱を作り出すことが出来るため寒さに強いが、ナナセの民族の特徴としてベージュ脂肪細胞をほとんど持っていない上、小柄で筋肉量も少ないため寒さに弱いのだそうだ。
「そういうことだったのか。それに恐らく、ナナセには精霊の加護がないのも影響しているだろう。東の宇宙ルヴァでは火の精霊の加護を受けている者が多いが、ここ辺境伯領では特に多い」
「ちぇっ、また精霊の加護かよ……」
ナナセには火、水、風、土の四大精霊のどの精霊の加護もないばかりか、四大精霊魔法も一切使えない。
その理由は、ナナセは幼少時に元いた世界であるアルビオンでそうとは知らずに、こちらの世界には存在しない金属の精霊「ちぃたん」にほとんど騙し打ちのような形で契約させられてしまっていたため、この世界の四大精霊と不可侵条約のようなものが発生していて、四大精霊がナナセに力を貸したくとも貸せないという状況に陥っているためである。
ナナセはなまじ強力な闇魔法士で治癒術と転移魔法を行使できるため、精霊の力を借りられないことに焦りや憤りを抱いているらしいのだ。
この世界には「魔法」、「魔術」、「妖術」の三種があり、場合によってはそれに「呪術」を加えて四種類と数えることもあるが、これらを総称して「魔導」と呼ぶ。
この分類はアルビオンでの一般的な認識ともほぼ相違ないらしい。
心臓に悪いので余り驚かせないで欲しい。
私にはナナセより大切なものなどないというに、分かっているのだろうか。
ナナセが空になったグリューワインのゴブレットを名残惜しそうに覗き込んでいるのを見て、メイドにグリューワインのおかわりを持ってくるように言い付け、まだ温かいとは言い難いナナセの手をさする。
恐らくナナセの祖国は温暖な気候で、余り寒さに慣れていないのだろう。
前回、ナナセを連れてこの地を訪れたのは初夏だったし、十二月の今はまだ冬の序盤で本格的に寒さが厳しくなるのは二月頃なので私も高を括っていたのに加え、転移門は屋外にあるが、すぐに城内に入るから防寒具は必要ないだろうと甘く見ていたのがいけなかった。
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「そういうことだったのか。それに恐らく、ナナセには精霊の加護がないのも影響しているだろう。東の宇宙ルヴァでは火の精霊の加護を受けている者が多いが、ここ辺境伯領では特に多い」
「ちぇっ、また精霊の加護かよ……」
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この世界には「魔法」、「魔術」、「妖術」の三種があり、場合によってはそれに「呪術」を加えて四種類と数えることもあるが、これらを総称して「魔導」と呼ぶ。
この分類はアルビオンでの一般的な認識ともほぼ相違ないらしい。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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