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最終章 砂漠の薔薇
〇二五 「国宝級のオマケ」① ※エリアス視点
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一年の終わりの日、私とナナセは晴れて伴侶となった。
ナナセの希望で私の誕生日に挙式したのだが、こんなに素晴らしい誕生日を迎えたのは初めてだ。
なにしろナナセが名実ともに私のものになり、私はナナセのものになったのだ。
エルフ領で織られたオーロラのような光沢を放つ婚礼衣装に身を包んだナナセは例えようもないほど美しかった。
この人が私のものになったのかと思うと感慨一入だ。
式が終わり橇で領内を一周した後、城に戻るや否や、新婚初夜の前のまだ明るいうちから早急に繋がって性交へ縺れ込んでしまっても致し方ない。
初夜に備えて早々に切り上げたはいいが、一度燃え上ってしまった火はなかなか収まるものではない。
未だ燻るこの熱をどうしようかと考えていると、不意にナナセから誕生日プレゼントだと言って、ナナセの髪の毛を編んで作ったお守りを贈られた。
昼寝と称して私に膝枕をして寝かしつけてからこっそりと作っていたのはこれだったのかと思わず笑みが零れる。
紙に包んであったので知らずに開けてしまったら本来開けずに持っているものらしく、「髪の毛が入っているなんて分かったら気持ち悪いだろ!」と怒られたが、ナナセの髪はナナセの中で私が特に好きな部分なので気持ち悪いなどと思うはずがない。
プレゼントを用意してくれているなんて知らなかったと驚いて見せるとナナセは途端に得意げな顔になり、ずっと一緒にいるから見付からないように作るのが大変だったと微笑んだ後に、涙壺の中に入れて持ち歩いていたナナセの陰毛を解呪のために私が差し出したことを気にしていて、それの代わりだと言われた。
お守りは毛先を蝋で固めて編んだ髪を直径二センチほどの輪にしたもので、これを作る為にナナセの艶やかで美しい黒髪を一房切り取らせてしまったと思うと胸が痛む。
しかし、自然に抜けてしまった髪には魔力はないが、生えている髪には魔力が宿っている。
聖者ナナセの髪ともなれば、そこに宿る魔力は膨大だろう。
更にそれを使用してナナセが手ずから編んだお守りとなれば、その効力は計り知れない。
ナナセ本人がそれを分かって作ったかどうかは怪しいが。
兎に角これは身に着けていれば何かとんでもない効果を発揮する代物だろう。
稀少価値で言っても性能で言っても恐らく国宝級。
ルートヴィヒ陛下やフリードリヒ陛下ですら持っていない、唯一無二の秘宝だ。
誰にも知られないように白騎士隊の隊長の徽章の中に仕込むとしよう。
「ありがとうナナセ。こんなに素晴らしい贈り物、私は貰ったことがない。大切にする」
「大袈裟だな。実はそれはオマケなんだ。そっちを後から出したらショボく見えるからな。だからホントのプレゼントはこっち」
これがオマケ……。
国宝級のオマケ……。
私は耳を疑ったが、ナナセは私たちに贈られたプレゼントの山の中からリボンの掛かった大きくて平たい化粧箱を引っ張り出してきた。
何時どうやったのかは分からないが、どうやらナナセはそこに自分が贈る私へのプレゼントを隠しておいたようだ。
木を隠すなら森の中と言うが、なるほどそこに隠しておいたなら絶対にバレない。
だが次は一体何が出てくるんだ。
ナナセの希望で私の誕生日に挙式したのだが、こんなに素晴らしい誕生日を迎えたのは初めてだ。
なにしろナナセが名実ともに私のものになり、私はナナセのものになったのだ。
エルフ領で織られたオーロラのような光沢を放つ婚礼衣装に身を包んだナナセは例えようもないほど美しかった。
この人が私のものになったのかと思うと感慨一入だ。
式が終わり橇で領内を一周した後、城に戻るや否や、新婚初夜の前のまだ明るいうちから早急に繋がって性交へ縺れ込んでしまっても致し方ない。
初夜に備えて早々に切り上げたはいいが、一度燃え上ってしまった火はなかなか収まるものではない。
未だ燻るこの熱をどうしようかと考えていると、不意にナナセから誕生日プレゼントだと言って、ナナセの髪の毛を編んで作ったお守りを贈られた。
昼寝と称して私に膝枕をして寝かしつけてからこっそりと作っていたのはこれだったのかと思わず笑みが零れる。
紙に包んであったので知らずに開けてしまったら本来開けずに持っているものらしく、「髪の毛が入っているなんて分かったら気持ち悪いだろ!」と怒られたが、ナナセの髪はナナセの中で私が特に好きな部分なので気持ち悪いなどと思うはずがない。
プレゼントを用意してくれているなんて知らなかったと驚いて見せるとナナセは途端に得意げな顔になり、ずっと一緒にいるから見付からないように作るのが大変だったと微笑んだ後に、涙壺の中に入れて持ち歩いていたナナセの陰毛を解呪のために私が差し出したことを気にしていて、それの代わりだと言われた。
お守りは毛先を蝋で固めて編んだ髪を直径二センチほどの輪にしたもので、これを作る為にナナセの艶やかで美しい黒髪を一房切り取らせてしまったと思うと胸が痛む。
しかし、自然に抜けてしまった髪には魔力はないが、生えている髪には魔力が宿っている。
聖者ナナセの髪ともなれば、そこに宿る魔力は膨大だろう。
更にそれを使用してナナセが手ずから編んだお守りとなれば、その効力は計り知れない。
ナナセ本人がそれを分かって作ったかどうかは怪しいが。
兎に角これは身に着けていれば何かとんでもない効果を発揮する代物だろう。
稀少価値で言っても性能で言っても恐らく国宝級。
ルートヴィヒ陛下やフリードリヒ陛下ですら持っていない、唯一無二の秘宝だ。
誰にも知られないように白騎士隊の隊長の徽章の中に仕込むとしよう。
「ありがとうナナセ。こんなに素晴らしい贈り物、私は貰ったことがない。大切にする」
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これがオマケ……。
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木を隠すなら森の中と言うが、なるほどそこに隠しておいたなら絶対にバレない。
だが次は一体何が出てくるんだ。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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