241 / 266
最終章 砂漠の薔薇
〇二四 涎が垂れているぞ②
しおりを挟む
その後、領地の人へのお披露目のために外に出たんだが、寒いのが苦手だと言った俺のためにエリアスが用意してくれた、襟と袖口と裾と内側が銀色のファーで覆われたコートと揃いの帽子と耳当てグローブとブーツを身に着けていたから全然寒くないどころか暑いくらいだ。
領内の泉の畔を象くらいのデカさの真っ白なヘラジカの牽く橇で一周したんだが、ヘラジカのデカさにビビッて近寄れない俺氏をエリアスが抱き上げて橇に乗せてくれた。
別に怖かった訳じゃないんだぜ?
ただちょっと大きさにビビッてただけだからな?
だが、座らされたのは橇の座面ではなくエリアスの膝の上で、姫君扱いは未だ続行中だ。
しかも俺が母性を指摘した後で心境の変化があったのか軌道修正して、今のエリアスは貴公子然としている。
どうやら俺のBボタン連打が間に合ってエリアスの進化を阻止できたらしい。
辺り一面雪と氷に覆われた白銀の谷で見るエリアスに母性は感じられず、どこからどう見ても勇者様だった。
今、エリアスのそれは最早育児でも介護でもなくエスコート。
そう、完璧なエスコートだ。
爪先から頭の天辺まで完璧な勇者様にエスコートされてみろよ。
こんなん惚れるだろ。
それにエリアスは雪が恐ろしく似合う。
白が似合わない奴はいないと言うが、エリアスの似合う白は白騎士隊の制服の白よりもこの雪の白だったんだと知る。
振り仰げば雪帽子を被ったギュンター城をバックに、エリアスが微笑む。
神々しくて目が潰れるんじゃないかと思ったが、それでも見るのを止めることなんて出来ない。
この目と心に永遠に焼き付けておきたい光景だった。
お陰で周りの景色なんて目に入らず、ずっとエリアスの首っ玉にしがみついてエリアスだけをうっとり眺めていたから俺たちの結婚を祝福して泉の畔に詰め掛けていた辺境伯領の人たちに手を振るも忘れていたんだが、自信に満ち溢れ誇らしそうなエリアスの格好良かったことといったら口元が緩くなってしまっても致し方ない。
「ナナセ、涎が垂れているぞ」
おっと、いけない。
橇の上はエリアスが何か魔法を使ったのか、冷たい風に吹かれることはなく涎が凍ることはなかったが、エリアスの隣に立つ者として俺がだらしない格好をしていたんじゃエリアスの威信に関わる。
エリアスに指摘されて慌てて自分の口の端をぺろりと舐めたら、顔を近付けてきたエリアスの唇まで一緒に舐めちまった。
それをどう勘違いしたのか、エリアスは急に頬を赤らめたかと思うときょろきょろと視線を彷徨わせて動揺しだす。
「……誘っているのか? 嬉しいが、ここではまずい。せめてこれで我慢してくれ」
「ひゃっ!?」
レザーのグローブを付けたままのエリアスの手が俺のコートの合わせを割って器用に婚礼衣装の下に入り込んでくる。
「んっ……く! エリーッ!」
エリアスの手なのにエリアスの手じゃないレザーの肌触りにぞわぞわしていると慣れた手つきで乳首を指で挟んできゅっきゅっと何度か転がすように愛撫され、俺は瞬く間にメスイキしてしまった。
領内の泉の畔を象くらいのデカさの真っ白なヘラジカの牽く橇で一周したんだが、ヘラジカのデカさにビビッて近寄れない俺氏をエリアスが抱き上げて橇に乗せてくれた。
別に怖かった訳じゃないんだぜ?
ただちょっと大きさにビビッてただけだからな?
だが、座らされたのは橇の座面ではなくエリアスの膝の上で、姫君扱いは未だ続行中だ。
しかも俺が母性を指摘した後で心境の変化があったのか軌道修正して、今のエリアスは貴公子然としている。
どうやら俺のBボタン連打が間に合ってエリアスの進化を阻止できたらしい。
辺り一面雪と氷に覆われた白銀の谷で見るエリアスに母性は感じられず、どこからどう見ても勇者様だった。
今、エリアスのそれは最早育児でも介護でもなくエスコート。
そう、完璧なエスコートだ。
爪先から頭の天辺まで完璧な勇者様にエスコートされてみろよ。
こんなん惚れるだろ。
それにエリアスは雪が恐ろしく似合う。
白が似合わない奴はいないと言うが、エリアスの似合う白は白騎士隊の制服の白よりもこの雪の白だったんだと知る。
振り仰げば雪帽子を被ったギュンター城をバックに、エリアスが微笑む。
神々しくて目が潰れるんじゃないかと思ったが、それでも見るのを止めることなんて出来ない。
この目と心に永遠に焼き付けておきたい光景だった。
お陰で周りの景色なんて目に入らず、ずっとエリアスの首っ玉にしがみついてエリアスだけをうっとり眺めていたから俺たちの結婚を祝福して泉の畔に詰め掛けていた辺境伯領の人たちに手を振るも忘れていたんだが、自信に満ち溢れ誇らしそうなエリアスの格好良かったことといったら口元が緩くなってしまっても致し方ない。
「ナナセ、涎が垂れているぞ」
おっと、いけない。
橇の上はエリアスが何か魔法を使ったのか、冷たい風に吹かれることはなく涎が凍ることはなかったが、エリアスの隣に立つ者として俺がだらしない格好をしていたんじゃエリアスの威信に関わる。
エリアスに指摘されて慌てて自分の口の端をぺろりと舐めたら、顔を近付けてきたエリアスの唇まで一緒に舐めちまった。
それをどう勘違いしたのか、エリアスは急に頬を赤らめたかと思うときょろきょろと視線を彷徨わせて動揺しだす。
「……誘っているのか? 嬉しいが、ここではまずい。せめてこれで我慢してくれ」
「ひゃっ!?」
レザーのグローブを付けたままのエリアスの手が俺のコートの合わせを割って器用に婚礼衣装の下に入り込んでくる。
「んっ……く! エリーッ!」
エリアスの手なのにエリアスの手じゃないレザーの肌触りにぞわぞわしていると慣れた手つきで乳首を指で挟んできゅっきゅっと何度か転がすように愛撫され、俺は瞬く間にメスイキしてしまった。
0
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
お気に入りに追加
1,326
あなたにおすすめの小説


身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる