異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが

マハラメリノ

文字の大きさ
上 下
237 / 266
最終章 砂漠の薔薇

〇二二 「至極光栄」③ ※エリアス視点

しおりを挟む
生理的な涙を零しているナナセの目元に口付け、涙を唇で拭いながら私もナナセの中で達し、種付けした。

「あ……エリーの、子種……いっぱ、い……」

ビュルビュルと終わりがないように放出された子種で、ナナセの腹ははちきれそうなほど膨らんでいる。
尿道に残った最後の一滴まで搾り取るようにナナセの中に出し切って、漸く人心地付いた。
先程の治癒の贄としては充分過ぎる量だろう。
そろそろまた掻き出して綺麗にしたほうがいいかも知れない。
風呂に行こうと提案すると「まだ繋がっていたい」などと可愛いことを言うものだから、向かい合わせで挿入したまま抱え上げると、動いた拍子に腹が押されるのと中でナナセの良いところを抉ってしまったのとで風呂に到着するまでナナセは善がり狂って喘ぎ通しだった。

「エリーのチンコ、気持ち良い……抜かないでくれ、まだもうちょっと……」

そんなお願いをされて断れる男がいるだろうか。
ついでに軌道修正にももってこいなシチュエーションだ。
愛おしくて風呂の中でもナナセを存分に可愛がった。

風呂上がりも解放してやることなど出来ず、姫君扱いはどこへ行ったという勢いでまずは母性を払拭すべくガツガツと犯していると、不意にナナセがぽつりと呟く。

「……結婚式っ、の、やり直しっ、エリーの誕生日にしないっか……?」

意外だった。
ナナセはこれまで結婚式についてあまり自分から意見を述べたことがなく、打ち合わせや相談のときはニコニコ笑ってなんでもいいようにやってくれという様子だったのだ。
ある意味、考えるのを止めているようにも見えた。
なのに希望日があると言う。

「三箇月後か。少し忙しいな」

私の誕生日は年の瀬も押し迫った十二月三十一日だ。
翌日には参加しなければならない宮廷の新年行事もあるし、忙しいというか無理がある。
前回の結婚式があれほど早く実現したのは、求婚前から私がナナセの婚礼衣装など手間暇の掛かるものをあれやこれやと勝手に準備していたのと、即位して間もないルートヴィヒ陛下が政権を固める上での利害が一致して式場に王宮を使用させて貰うことが出来たので貴賓に振舞う料理や警備の手配なども丸投げだったし、謂わば王家の権力の賜物だった。

故に次はもう前回のように準備していたものもないし、一からやり直しとなると私たちの結婚式はかなり先延ばしにせざるを得ないと考えていたのだ。

だが、ナナセたっての希望なら出来る限り叶えてやりたい。
一旦腰の動きを止め、資材や人員の調達から貴賓の招待や警備の手配などを考えていると、更にナナセが畳みかけてくる。

「エリーの実家を使わせて貰えないかな。あんなことがあった後だし、親族だけでやれば準備期間もそんなに必要ないだろ」
「実家を使うのは問題ないし、親族だけなら準備期間も然程必要なくなるが……ナナセはそれでいいのか?」

ナナセは獣人領の王の命を救い、魔王を弱体化させ討伐に大いに貢献したし、魔導書を編纂しこの世界に均衡を齎した。
更には東の宇宙ルヴァのみならず、ギャレットを再び表舞台に立たせることで間接的にはあるが北の宇宙ウルソナの危機までも救っている。
その功績に相応しく盛大に執り行うべきではないのか。

「俺はエリーだけいればいい。他はなんにもいらない。本当は今すぐにでもエリーと結婚したいんだ」

ナナセは一体どれだけ私を幸福にすれば気が済むのだ。

実家は喜んでギュンター城を提供してくれるだろう。
必要な物はエルフ領で調達すればいい。
エルフ族ならどんな無茶振りでも間に合わせてくれる技術があるだろう。
新年の行事など知るものか!
それが私の姫君のたったひとつの願いならば、私は何が何でも今年中にナナセと結婚する!
私の誕生日にナナセと結婚するのだ!
そして脱母性する!

それから程なくして、北の宇宙ウルソナで政権交代があったと報じられた。
ギャレットが遣り遂げたのだ。
これからは彼も新王の元で治政を安定させるために忙しくなるだろう。
しおりを挟む
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨


📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)

次章続巻も順次刊行予定
OLOLON

※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
感想 21

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...