236 / 266
最終章 砂漠の薔薇
〇二二 「至極光栄」② ※エリアス視点
しおりを挟む
だが、こうして私の腕の中に戻って来たからには、ナナセを思い切り甘やかしてやろう。
つらいことなど夢だったのかと思うくらいに甘い現実を見せてやるのだ。
もう遠慮も手加減もしない。
覚悟していろよ、ナナセ。
私はナナセを一国の姫君のように扱うと決意した。
記憶のない今なら以前からそうしていたと何気ない風を装えば、記憶が戻った後もなし崩しに行けるかもしれない。
果たして、私の目論みは見事成功した。
一度目は自発的な失踪だったが二度目と三度目はそうではない。
これだけ短期間に二回も勾引かされたということをナナセは若干気に病んでいるようで、私はそこに付け込んだのだ。
解呪が成功し記憶が戻ってからはトイレは出禁にされてしまったが、他は大体私の要望を受け入れて大人しく姫君扱いされてくれている――と、思っていた。
「エリーは俺のことを乳幼児か介護老人だとでも思ってんのかよ?」
凡そ性交中に似つかわしくない話題である。
乳幼児とは。
介護老人とは。
私は結婚相手として姫君のように扱っているつもりだったのだが、どこでどう間違ったのだ。
この見解の違いは如何ともしがたい。
これは由々しき問題だ。
しかしナナセは更に畳みかけてくる。
「最近エリーから母性を感じると思ってさ」
「母性」
その言葉に私は少なからぬショックを受けた。
私は常にナナセを護る騎士らしく振舞っていたつもりだったのだ。
なのに母性。
ナナセにとって私は母性を感じる存在。
いや、決して母性が悪いと言っているのではないし、母性を馬鹿にするつもりもない。
だが結婚の約束をしている私たちの間柄で、私がナナセに母性を感じられいるのはまずいという話だ。
甲斐甲斐しく面倒を見過ぎたのが仇になったか。
このままではいけない。
なんとしても軌道修正しなくては。
私は気を取り直して出来るだけ平静を装って訊いてみる。
「私はナナセは姫君として扱っているつもりだったのだが。そういう扱いを受けるのは嫌か?」
「姫君ねえ……。嫌っていうか……もっと激しくしても俺は壊れねえよって言いたいんだよ。分かれよ」
拗ねているのか両脚で腰をがっちりホールドされてしまった。
ここでまさかナナセからのおねだりとは。
しかしこれは軌道修正を図る絶好の機会かも知れない。
「こら、ナナセ。これでは動けないだろう? それともナナセが上になって動いてくれるか?」
「それは無理……。俺もう足腰立たねえよ」
だがナナセは脚を解く気はないのか、更に腰を浮かせて私を奥へと深く迎え入れた。
「……俺、ウルソナにいたとき自分で抜いてたんだけど、奥のな、今エリーが突いてるとこが疼いてどうしようもなかったんだよ。でもそんなとこ自分で弄ったことねえし試すのも怖えし、どうしようもなくってもどかしかったんだ。だからそこ、いっぱい突いて欲しい」
そうだったのか。
それであの娼館の飾り窓でナナセが自慰をしているとき、新聞で見た私の姿絵を空想の相手にしてもどかしさに涙を零していたというわけか。
つらい思いをさせてしまったが、記憶を失っているにも拘わらず空想の中でも私が相手だったとしたら光栄至極だ。
「ナナセが自慰をしているところを見た。陰茎だけでは達することが出来ずに乳嘴を弄んで絶頂を迎えていたな」
「えっ!? なんで知ってんだよ!? いつ!?」
ナナセが驚いた拍子に脚が解けて腰が自由になったが、その代わりにきゅうきゅう締め付けるので堪らない。
「迎えに行く直前、あの娼館の飾り窓の外から見た。何らかの魔法が掛かっているようだったから内側からは外の様子が見えないのかも知れないが、外からは丸見えだった。ナナセは私の名前を呼んで涙を零していただろう?」
「嘘っ!? 嘘だろお!?」
「……ナナセッ、締めすぎだ。動くぞ」
「あっ……! エリー、待っ……あっ! ああっ! ああああああっ!」
ピストンを再開し、ナナセがもどかしいと言っていた個所を数回突いただけでナナセは達してしまったようだ。
挿入した私の陰茎が食い千切られるのではないかというほどきつく締めあげられる。
剣でならどんな強敵にも立ち向かい勝つ自信があるが、そんな私もナナセに陰茎を締め付けられるのだけは弱い。
つらいことなど夢だったのかと思うくらいに甘い現実を見せてやるのだ。
もう遠慮も手加減もしない。
覚悟していろよ、ナナセ。
私はナナセを一国の姫君のように扱うと決意した。
記憶のない今なら以前からそうしていたと何気ない風を装えば、記憶が戻った後もなし崩しに行けるかもしれない。
果たして、私の目論みは見事成功した。
一度目は自発的な失踪だったが二度目と三度目はそうではない。
これだけ短期間に二回も勾引かされたということをナナセは若干気に病んでいるようで、私はそこに付け込んだのだ。
解呪が成功し記憶が戻ってからはトイレは出禁にされてしまったが、他は大体私の要望を受け入れて大人しく姫君扱いされてくれている――と、思っていた。
「エリーは俺のことを乳幼児か介護老人だとでも思ってんのかよ?」
凡そ性交中に似つかわしくない話題である。
乳幼児とは。
介護老人とは。
私は結婚相手として姫君のように扱っているつもりだったのだが、どこでどう間違ったのだ。
この見解の違いは如何ともしがたい。
これは由々しき問題だ。
しかしナナセは更に畳みかけてくる。
「最近エリーから母性を感じると思ってさ」
「母性」
その言葉に私は少なからぬショックを受けた。
私は常にナナセを護る騎士らしく振舞っていたつもりだったのだ。
なのに母性。
ナナセにとって私は母性を感じる存在。
いや、決して母性が悪いと言っているのではないし、母性を馬鹿にするつもりもない。
だが結婚の約束をしている私たちの間柄で、私がナナセに母性を感じられいるのはまずいという話だ。
甲斐甲斐しく面倒を見過ぎたのが仇になったか。
このままではいけない。
なんとしても軌道修正しなくては。
私は気を取り直して出来るだけ平静を装って訊いてみる。
「私はナナセは姫君として扱っているつもりだったのだが。そういう扱いを受けるのは嫌か?」
「姫君ねえ……。嫌っていうか……もっと激しくしても俺は壊れねえよって言いたいんだよ。分かれよ」
拗ねているのか両脚で腰をがっちりホールドされてしまった。
ここでまさかナナセからのおねだりとは。
しかしこれは軌道修正を図る絶好の機会かも知れない。
「こら、ナナセ。これでは動けないだろう? それともナナセが上になって動いてくれるか?」
「それは無理……。俺もう足腰立たねえよ」
だがナナセは脚を解く気はないのか、更に腰を浮かせて私を奥へと深く迎え入れた。
「……俺、ウルソナにいたとき自分で抜いてたんだけど、奥のな、今エリーが突いてるとこが疼いてどうしようもなかったんだよ。でもそんなとこ自分で弄ったことねえし試すのも怖えし、どうしようもなくってもどかしかったんだ。だからそこ、いっぱい突いて欲しい」
そうだったのか。
それであの娼館の飾り窓でナナセが自慰をしているとき、新聞で見た私の姿絵を空想の相手にしてもどかしさに涙を零していたというわけか。
つらい思いをさせてしまったが、記憶を失っているにも拘わらず空想の中でも私が相手だったとしたら光栄至極だ。
「ナナセが自慰をしているところを見た。陰茎だけでは達することが出来ずに乳嘴を弄んで絶頂を迎えていたな」
「えっ!? なんで知ってんだよ!? いつ!?」
ナナセが驚いた拍子に脚が解けて腰が自由になったが、その代わりにきゅうきゅう締め付けるので堪らない。
「迎えに行く直前、あの娼館の飾り窓の外から見た。何らかの魔法が掛かっているようだったから内側からは外の様子が見えないのかも知れないが、外からは丸見えだった。ナナセは私の名前を呼んで涙を零していただろう?」
「嘘っ!? 嘘だろお!?」
「……ナナセッ、締めすぎだ。動くぞ」
「あっ……! エリー、待っ……あっ! ああっ! ああああああっ!」
ピストンを再開し、ナナセがもどかしいと言っていた個所を数回突いただけでナナセは達してしまったようだ。
挿入した私の陰茎が食い千切られるのではないかというほどきつく締めあげられる。
剣でならどんな強敵にも立ち向かい勝つ自信があるが、そんな私もナナセに陰茎を締め付けられるのだけは弱い。
0
お気に入りに追加
1,326
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…


普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!


愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる