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最終章 砂漠の薔薇
〇二二 「至極光栄」② ※エリアス視点
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だが、こうして私の腕の中に戻って来たからには、ナナセを思い切り甘やかしてやろう。
つらいことなど夢だったのかと思うくらいに甘い現実を見せてやるのだ。
もう遠慮も手加減もしない。
覚悟していろよ、ナナセ。
私はナナセを一国の姫君のように扱うと決意した。
記憶のない今なら以前からそうしていたと何気ない風を装えば、記憶が戻った後もなし崩しに行けるかもしれない。
果たして、私の目論みは見事成功した。
一度目は自発的な失踪だったが二度目と三度目はそうではない。
これだけ短期間に二回も勾引かされたということをナナセは若干気に病んでいるようで、私はそこに付け込んだのだ。
解呪が成功し記憶が戻ってからはトイレは出禁にされてしまったが、他は大体私の要望を受け入れて大人しく姫君扱いされてくれている――と、思っていた。
「エリーは俺のことを乳幼児か介護老人だとでも思ってんのかよ?」
凡そ性交中に似つかわしくない話題である。
乳幼児とは。
介護老人とは。
私は結婚相手として姫君のように扱っているつもりだったのだが、どこでどう間違ったのだ。
この見解の違いは如何ともしがたい。
これは由々しき問題だ。
しかしナナセは更に畳みかけてくる。
「最近エリーから母性を感じると思ってさ」
「母性」
その言葉に私は少なからぬショックを受けた。
私は常にナナセを護る騎士らしく振舞っていたつもりだったのだ。
なのに母性。
ナナセにとって私は母性を感じる存在。
いや、決して母性が悪いと言っているのではないし、母性を馬鹿にするつもりもない。
だが結婚の約束をしている私たちの間柄で、私がナナセに母性を感じられいるのはまずいという話だ。
甲斐甲斐しく面倒を見過ぎたのが仇になったか。
このままではいけない。
なんとしても軌道修正しなくては。
私は気を取り直して出来るだけ平静を装って訊いてみる。
「私はナナセは姫君として扱っているつもりだったのだが。そういう扱いを受けるのは嫌か?」
「姫君ねえ……。嫌っていうか……もっと激しくしても俺は壊れねえよって言いたいんだよ。分かれよ」
拗ねているのか両脚で腰をがっちりホールドされてしまった。
ここでまさかナナセからのおねだりとは。
しかしこれは軌道修正を図る絶好の機会かも知れない。
「こら、ナナセ。これでは動けないだろう? それともナナセが上になって動いてくれるか?」
「それは無理……。俺もう足腰立たねえよ」
だがナナセは脚を解く気はないのか、更に腰を浮かせて私を奥へと深く迎え入れた。
「……俺、ウルソナにいたとき自分で抜いてたんだけど、奥のな、今エリーが突いてるとこが疼いてどうしようもなかったんだよ。でもそんなとこ自分で弄ったことねえし試すのも怖えし、どうしようもなくってもどかしかったんだ。だからそこ、いっぱい突いて欲しい」
そうだったのか。
それであの娼館の飾り窓でナナセが自慰をしているとき、新聞で見た私の姿絵を空想の相手にしてもどかしさに涙を零していたというわけか。
つらい思いをさせてしまったが、記憶を失っているにも拘わらず空想の中でも私が相手だったとしたら光栄至極だ。
「ナナセが自慰をしているところを見た。陰茎だけでは達することが出来ずに乳嘴を弄んで絶頂を迎えていたな」
「えっ!? なんで知ってんだよ!? いつ!?」
ナナセが驚いた拍子に脚が解けて腰が自由になったが、その代わりにきゅうきゅう締め付けるので堪らない。
「迎えに行く直前、あの娼館の飾り窓の外から見た。何らかの魔法が掛かっているようだったから内側からは外の様子が見えないのかも知れないが、外からは丸見えだった。ナナセは私の名前を呼んで涙を零していただろう?」
「嘘っ!? 嘘だろお!?」
「……ナナセッ、締めすぎだ。動くぞ」
「あっ……! エリー、待っ……あっ! ああっ! ああああああっ!」
ピストンを再開し、ナナセがもどかしいと言っていた個所を数回突いただけでナナセは達してしまったようだ。
挿入した私の陰茎が食い千切られるのではないかというほどきつく締めあげられる。
剣でならどんな強敵にも立ち向かい勝つ自信があるが、そんな私もナナセに陰茎を締め付けられるのだけは弱い。
つらいことなど夢だったのかと思うくらいに甘い現実を見せてやるのだ。
もう遠慮も手加減もしない。
覚悟していろよ、ナナセ。
私はナナセを一国の姫君のように扱うと決意した。
記憶のない今なら以前からそうしていたと何気ない風を装えば、記憶が戻った後もなし崩しに行けるかもしれない。
果たして、私の目論みは見事成功した。
一度目は自発的な失踪だったが二度目と三度目はそうではない。
これだけ短期間に二回も勾引かされたということをナナセは若干気に病んでいるようで、私はそこに付け込んだのだ。
解呪が成功し記憶が戻ってからはトイレは出禁にされてしまったが、他は大体私の要望を受け入れて大人しく姫君扱いされてくれている――と、思っていた。
「エリーは俺のことを乳幼児か介護老人だとでも思ってんのかよ?」
凡そ性交中に似つかわしくない話題である。
乳幼児とは。
介護老人とは。
私は結婚相手として姫君のように扱っているつもりだったのだが、どこでどう間違ったのだ。
この見解の違いは如何ともしがたい。
これは由々しき問題だ。
しかしナナセは更に畳みかけてくる。
「最近エリーから母性を感じると思ってさ」
「母性」
その言葉に私は少なからぬショックを受けた。
私は常にナナセを護る騎士らしく振舞っていたつもりだったのだ。
なのに母性。
ナナセにとって私は母性を感じる存在。
いや、決して母性が悪いと言っているのではないし、母性を馬鹿にするつもりもない。
だが結婚の約束をしている私たちの間柄で、私がナナセに母性を感じられいるのはまずいという話だ。
甲斐甲斐しく面倒を見過ぎたのが仇になったか。
このままではいけない。
なんとしても軌道修正しなくては。
私は気を取り直して出来るだけ平静を装って訊いてみる。
「私はナナセは姫君として扱っているつもりだったのだが。そういう扱いを受けるのは嫌か?」
「姫君ねえ……。嫌っていうか……もっと激しくしても俺は壊れねえよって言いたいんだよ。分かれよ」
拗ねているのか両脚で腰をがっちりホールドされてしまった。
ここでまさかナナセからのおねだりとは。
しかしこれは軌道修正を図る絶好の機会かも知れない。
「こら、ナナセ。これでは動けないだろう? それともナナセが上になって動いてくれるか?」
「それは無理……。俺もう足腰立たねえよ」
だがナナセは脚を解く気はないのか、更に腰を浮かせて私を奥へと深く迎え入れた。
「……俺、ウルソナにいたとき自分で抜いてたんだけど、奥のな、今エリーが突いてるとこが疼いてどうしようもなかったんだよ。でもそんなとこ自分で弄ったことねえし試すのも怖えし、どうしようもなくってもどかしかったんだ。だからそこ、いっぱい突いて欲しい」
そうだったのか。
それであの娼館の飾り窓でナナセが自慰をしているとき、新聞で見た私の姿絵を空想の相手にしてもどかしさに涙を零していたというわけか。
つらい思いをさせてしまったが、記憶を失っているにも拘わらず空想の中でも私が相手だったとしたら光栄至極だ。
「ナナセが自慰をしているところを見た。陰茎だけでは達することが出来ずに乳嘴を弄んで絶頂を迎えていたな」
「えっ!? なんで知ってんだよ!? いつ!?」
ナナセが驚いた拍子に脚が解けて腰が自由になったが、その代わりにきゅうきゅう締め付けるので堪らない。
「迎えに行く直前、あの娼館の飾り窓の外から見た。何らかの魔法が掛かっているようだったから内側からは外の様子が見えないのかも知れないが、外からは丸見えだった。ナナセは私の名前を呼んで涙を零していただろう?」
「嘘っ!? 嘘だろお!?」
「……ナナセッ、締めすぎだ。動くぞ」
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