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最終章 砂漠の薔薇
〇二一 聖者ビームด็็็็็้้้้้็็็็้้้้้็็็็็้้้้้็็็็็้้้้้็็็็ ①
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神殿は祭壇の真上だけ吹き抜けで何故か天井がなくて星空が見えるので、俺は皆の話を聞きながらそれを見るとはなしに見ていた。
もうかれこれ小一時間、着衣の前を寛げて下着をギリギリまでずり下げ、封魔紋を曝け出した姿で石で造られた祭壇の上に仰向けで寝かされている。
俺の周囲を十人以上の神官とエリアスが取り囲んで何やら話し合っているが、一向に解呪の儀式が始まる気配がない。
祭壇を囲むように焚かれている篝火のお陰で石の上でも冷たくはないが、硬くて痛いのだ。
だがみんな俺のために集まってくれているので文句を言うわけにはいかない。
「通常でしたら呪詛返しを執り行い、術者に返してしまえばいいのですが、今回の場合は術者が既に他界しています故……」
神官長はビクビクと怯えつつエリアスの様子を窺いながら話を続ける。
四大精霊から愛されているエリアスが苛々すると精霊たちも反応するのか、精霊の動きに敏感な神官たちは皆一様にエリアスの一挙手一投足に恐れ慄いているのだ。
「聖者様の依代を作り、呪詛に依代の方を聖者様だと勘違いさせ、呪詛を依代に移した後に火で焼いて浄化するしかないかと」
「だったら早くその依代を作ってくれ」
エリアスが苛々しながら神官長を急かした。
「呪詛を騙すには核となる素材が必要となります。ただ依代に呪詛を一時的に移すだけなら髪の毛一本で事足りるのですが、それでは浄化する前に聖者様のお身体に戻ってしまうでしょう」
「それでは困る。禍根は残さず完全に駆逐してしまいたい」
「浄化が済むまで安定させておくには核もそれなりのものが必要なのです。これだけ強力な呪詛ですと聖者様の髪や爪をすべて使ったとしても足りないかも知れません。或いは身体の一部分を犠牲にして頂かないと……」
「なんだと!? ナナセの手足を切り落とせと言うのか!?」
「お静まり下さいませ。そこまでは言っておりません。ただ、ほんの小指の一本程……。それも解呪が成功すれば聖者様でしたらご自分の治癒で元通り……」
「貴様ッ……!」
「ヒィッ!」
【悲報】俺氏、エンコ詰められるの巻!?
マジか!?
でも元通りになるなら……いやいやいや!
無理だろ!
そもそもそんなことを過保護なエリアスが許すはずがない。
「例え元通りになるとしてもそんなことさせられるわけがないだろう! 他の手段はないのか!? ヴェイラ! 私の召喚に応えろ、ヴェイラ! 今こそその時だ!」
エリアスは前半は神官長に向かって、後半は虚空に向かって叫んでいた。
突然声を荒げたエリアスに一同が何事かと見守った刹那――。
「はいは~い♡」
この場の空気にそぐわないやけに明るい声とともに忽然と女が現れた。
さっきまで誰もいなかった場所に、最初からそこにいたかのように顕現したのだ。
女は豊かな亜麻色の髪に薄茶色の瞳とオリーブ色の肌をしていて、古代ローマのトーガのような布を巻き付けるスタイルの衣類を身に纏っている。
誰!?
エリアスの知り合い!?
ていうか「ヴェイラ」ってこの国の名前じゃなかったか!?
もうかれこれ小一時間、着衣の前を寛げて下着をギリギリまでずり下げ、封魔紋を曝け出した姿で石で造られた祭壇の上に仰向けで寝かされている。
俺の周囲を十人以上の神官とエリアスが取り囲んで何やら話し合っているが、一向に解呪の儀式が始まる気配がない。
祭壇を囲むように焚かれている篝火のお陰で石の上でも冷たくはないが、硬くて痛いのだ。
だがみんな俺のために集まってくれているので文句を言うわけにはいかない。
「通常でしたら呪詛返しを執り行い、術者に返してしまえばいいのですが、今回の場合は術者が既に他界しています故……」
神官長はビクビクと怯えつつエリアスの様子を窺いながら話を続ける。
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「聖者様の依代を作り、呪詛に依代の方を聖者様だと勘違いさせ、呪詛を依代に移した後に火で焼いて浄化するしかないかと」
「だったら早くその依代を作ってくれ」
エリアスが苛々しながら神官長を急かした。
「呪詛を騙すには核となる素材が必要となります。ただ依代に呪詛を一時的に移すだけなら髪の毛一本で事足りるのですが、それでは浄化する前に聖者様のお身体に戻ってしまうでしょう」
「それでは困る。禍根は残さず完全に駆逐してしまいたい」
「浄化が済むまで安定させておくには核もそれなりのものが必要なのです。これだけ強力な呪詛ですと聖者様の髪や爪をすべて使ったとしても足りないかも知れません。或いは身体の一部分を犠牲にして頂かないと……」
「なんだと!? ナナセの手足を切り落とせと言うのか!?」
「お静まり下さいませ。そこまでは言っておりません。ただ、ほんの小指の一本程……。それも解呪が成功すれば聖者様でしたらご自分の治癒で元通り……」
「貴様ッ……!」
「ヒィッ!」
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マジか!?
でも元通りになるなら……いやいやいや!
無理だろ!
そもそもそんなことを過保護なエリアスが許すはずがない。
「例え元通りになるとしてもそんなことさせられるわけがないだろう! 他の手段はないのか!? ヴェイラ! 私の召喚に応えろ、ヴェイラ! 今こそその時だ!」
エリアスは前半は神官長に向かって、後半は虚空に向かって叫んでいた。
突然声を荒げたエリアスに一同が何事かと見守った刹那――。
「はいは~い♡」
この場の空気にそぐわないやけに明るい声とともに忽然と女が現れた。
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