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最終章 砂漠の薔薇
〇二〇 なのは完売①
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「おはよう、ナナセ」
目を覚ますと物凄いイケメンのドアップと口付けが待っていた。
口付けは唇だけじゃなく瞼や額や頬にも。
もしかしてこれ、毎朝続くのか?
これに慣れるのか俺?
大丈夫俺?
しかも勇者の逞しい腕で腕枕をされているという状態だ。
腕枕なんてゴリッとしそうだと思っていたけど、首のところにフィットして案外悪くない。
というか、いい。とてもいい。
「おはよ……」
「もう少し眠るといい。幸い私も謹慎中だ。好きなだけ付き合える」
それ幸いなのかよ!?
「俺のせいで謹慎処分食らっちまってごめんな。もしかして経歴に傷が付いたりする?」
「ナナセのせいではない。元はと言えば私への逆恨みがナナセに向いてしまったことが原因だ」
エリアスは肘をつき身を乗り出すようにして俺の上に覆い被さって顔を覗き込んでくる。
俺はその美しい筋肉の動きに見惚れた。
「それに今回の謹慎処分は寧ろ私とナナセが二人の時間を気兼ねなくゆっくり過ごせるようにという陛下のお心遣いだ。だから何も気に病むことはない」
そうなのか?
俺にはそれが裏の意味を持つ宮廷の言い回しなのか、エリアスが俺に気を遣ってそう言ってるだけなのかすら判別がつかない。
記憶を失くす前の聖者の俺なら分かったんだろうか。
分からないことが悔しい。
俺はエリアスのことをもっと知りたいと思った。
「エリーって結構偉い立場の人なのか?」
「偉いかどうかは分からないが、実家は辺境伯家だから宮廷での後ろ盾もある。ナナセが心配するようなことにはならないから安心していい。一般的な役職の肩書で言うなら東の宇宙ルヴァのヴェイラ王国騎士団白騎士隊の隊長を任されているし、聖剣に選ばれた勇者でもあるから他国にもある程度は顔が効く。それに今はナナセもいるから何があっても陛下は私を重用するしかない」
勇者とか白騎士隊とかよくわかんねえけど、何か凄いってことだけは分かった。
「そんな凄い人が何で俺なんかと結婚することになったんだ? どんな馴れ初めだったのか聞かせてくれよ」
どういう経緯でそうなったのか、そこがミステリーだ。
俺に乞われてエリアスは遠くを見るような眼をして語りだす。
「そうだな……。診療所で治癒術士をしていたナナセに私は一目で恋に落ちた」
まさかの一目惚れ!?
一層謎が深まったじゃねえか!
「求婚して初めは断られたんだが、私が諦めなかったので想いが通じて相愛になったんだ。正しく愛の勝利だな」
なるほどわからん。
「エリーって、説明するの下手?」
「……今の説明では分かり難かったか?」
「謎が深まった」
俺が眉間に皺を寄せていると、エリアスが堪え切れない笑いを漏らして俺の髪を指で梳く。
エリアスに触れられると髪の一本一本まで性感帯になってしまったんじゃないだろうかってくらい気持ちが良い。
「そういえば、髪を少し短くしたんだな」
「うん。嫌だったけど切られちまった」
今の俺は記憶を封じられているからエリアスの好みなんて知らないはずなのに、何故だかあのとき「あいつが気に入ってたのに」って思って凄くがっかりしたのを覚えている。
目を覚ますと物凄いイケメンのドアップと口付けが待っていた。
口付けは唇だけじゃなく瞼や額や頬にも。
もしかしてこれ、毎朝続くのか?
これに慣れるのか俺?
大丈夫俺?
しかも勇者の逞しい腕で腕枕をされているという状態だ。
腕枕なんてゴリッとしそうだと思っていたけど、首のところにフィットして案外悪くない。
というか、いい。とてもいい。
「おはよ……」
「もう少し眠るといい。幸い私も謹慎中だ。好きなだけ付き合える」
それ幸いなのかよ!?
「俺のせいで謹慎処分食らっちまってごめんな。もしかして経歴に傷が付いたりする?」
「ナナセのせいではない。元はと言えば私への逆恨みがナナセに向いてしまったことが原因だ」
エリアスは肘をつき身を乗り出すようにして俺の上に覆い被さって顔を覗き込んでくる。
俺はその美しい筋肉の動きに見惚れた。
「それに今回の謹慎処分は寧ろ私とナナセが二人の時間を気兼ねなくゆっくり過ごせるようにという陛下のお心遣いだ。だから何も気に病むことはない」
そうなのか?
俺にはそれが裏の意味を持つ宮廷の言い回しなのか、エリアスが俺に気を遣ってそう言ってるだけなのかすら判別がつかない。
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分からないことが悔しい。
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勇者とか白騎士隊とかよくわかんねえけど、何か凄いってことだけは分かった。
「そんな凄い人が何で俺なんかと結婚することになったんだ? どんな馴れ初めだったのか聞かせてくれよ」
どういう経緯でそうなったのか、そこがミステリーだ。
俺に乞われてエリアスは遠くを見るような眼をして語りだす。
「そうだな……。診療所で治癒術士をしていたナナセに私は一目で恋に落ちた」
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なるほどわからん。
「エリーって、説明するの下手?」
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今の俺は記憶を封じられているからエリアスの好みなんて知らないはずなのに、何故だかあのとき「あいつが気に入ってたのに」って思って凄くがっかりしたのを覚えている。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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