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最終章 砂漠の薔薇
〇一二 勇者シコい②
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思うにこの邸はウィンチェスター・ハウスみたいに増改築を繰り返して造られたんじゃないだろうか。
ウィンチェスター・ハウスとは銃の製造メーカーで有名なあのウィンチェスター家の屋敷のことで、ウィンチェスター家は銃の製造で成功を収めたものの、二代目当主とその娘が立て続けに亡くなり、ウィンチェスター銃で殺された人たちの霊に呪われていると信じた夫人が、霊障を避けるために隠し部屋や秘密の通路を三十八年間に渡り三百六十五日造り続けていたっていうサイコなエピソード付きのミステリースポットだ。
今は観光名所としてハロウィンや十三日の金曜日には肝試しツアーが組まれている。
だが「砂漠の薔薇」の場合は、霊障除けなどではなくまず間違いなく足抜け除けだ。
俺もダンジョン攻略という冒険心疼かなくはないが、この邸内の複雑さと来たら迷子になったら発見して貰うまでにガチで飢え死にもあり得るだろう。
だから俺は知ってる道しか通らないし、ぼんやり歩いていて横道に逸れないように気を付けている。
ナズーリンにせがまれて新聞を読んでやって以来、俺は毎朝皆に新聞を読んでやるようになった。
その代わりに俺は皆からこの世界のことを教えて貰う。
それが切欠でスーリとショシャンナとも徐々に打ち解けてきた気がする。
ギャレットはあれから毎朝ずっと新聞を食堂のテーブルに置き忘れて行く。
ナズーリンが言うには今までそんなことはなかったそうだから、最初にナズーリンたちの興味のある記事が掲載された新聞を置き忘れたのもギャレットの計算だったのかという疑惑が浮上する。
どうも食えない奴なんだよな、ギャレットって。
朝食後は芸能人の楽屋みたいな化粧室でメイドに髪や爪を整えてムダ毛の処理をして貰う。
ナズーリンは化粧もして貰ってるな。
俺はおかっぱは手入れが面倒臭いと愚痴をこぼしたら、ボブカットだって訂正された。
ボブ!
ボブって言ったら絵画教室のアフロヘアーのおじさんだろ。
俺の知ってるボブと違う。
甘皮を切って爪を艶々に磨いて貰ったら、ナズーリンたちはその日の最初の客の相手をしに行くが、まだ水揚げ前の俺はサンルームへ昼寝しに行く。
客に絡まれたくなかったら邸内を無闇にうろつくなと言われているからだ。
外は砂漠で日中は気温が相当高いと思うんだが、この邸の中は涼しくて身体を動かしていないと肌寒いくらいだからサンルームは温かくて眠気を誘う。
サンルームは畳に換算すると十畳くらいの部屋で、扉の向かい側の一面が床から天井まで嵌め殺しの硝子張りになっていてその向こうには、様々な花が咲き乱れるイングリッシュガーデン風に整えられた庭園が見える。
こんな砂漠の中に緑の庭園があるなんて凄い。
中央には猫足のカウチソファーとサイドテーブルに水差しとグラスがある。
大人しく昼寝していればおやつを持って来てくれるという。
ウィンチェスター・ハウスとは銃の製造メーカーで有名なあのウィンチェスター家の屋敷のことで、ウィンチェスター家は銃の製造で成功を収めたものの、二代目当主とその娘が立て続けに亡くなり、ウィンチェスター銃で殺された人たちの霊に呪われていると信じた夫人が、霊障を避けるために隠し部屋や秘密の通路を三十八年間に渡り三百六十五日造り続けていたっていうサイコなエピソード付きのミステリースポットだ。
今は観光名所としてハロウィンや十三日の金曜日には肝試しツアーが組まれている。
だが「砂漠の薔薇」の場合は、霊障除けなどではなくまず間違いなく足抜け除けだ。
俺もダンジョン攻略という冒険心疼かなくはないが、この邸内の複雑さと来たら迷子になったら発見して貰うまでにガチで飢え死にもあり得るだろう。
だから俺は知ってる道しか通らないし、ぼんやり歩いていて横道に逸れないように気を付けている。
ナズーリンにせがまれて新聞を読んでやって以来、俺は毎朝皆に新聞を読んでやるようになった。
その代わりに俺は皆からこの世界のことを教えて貰う。
それが切欠でスーリとショシャンナとも徐々に打ち解けてきた気がする。
ギャレットはあれから毎朝ずっと新聞を食堂のテーブルに置き忘れて行く。
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どうも食えない奴なんだよな、ギャレットって。
朝食後は芸能人の楽屋みたいな化粧室でメイドに髪や爪を整えてムダ毛の処理をして貰う。
ナズーリンは化粧もして貰ってるな。
俺はおかっぱは手入れが面倒臭いと愚痴をこぼしたら、ボブカットだって訂正された。
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ボブって言ったら絵画教室のアフロヘアーのおじさんだろ。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
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次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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