212 / 266
最終章 砂漠の薔薇
〇一二 勇者シコい①
しおりを挟む
この娼館「砂漠の薔薇」で個室を与えられている男娼は俺を含めて四人。
その他にも男娼はいるらしいが、住んでる棟が違うため顔を合わせたことはない。
専ら四人の寮生活みたいな感じだ。
砂漠の中のオアシスの街だけど、俺の部屋には風呂もトイレも付いていて、お湯も使い放題だ。
外は灼熱の砂漠が広がっているにもかかわらず、表面をツルツルに磨き上げられた石造りの部屋はひんやりとしていて気持ちが良い。
内装は東欧風だけどちょっと中東要素も入っていたりでよく分からない。
歴史を調べればどうやってこういう文化が生まれたのか、成り立ちがわかるんだろうか。
家具はベッドが一台、ドレッサーが一台、姿見が一つ、嵌め殺しの窓際にソファーがあって、ウォークインクローゼットがあって、床には絨毯が一枚、その上にクッションがたくさん。
掃除も洗濯もメイドがやってくれる。
ここへ来たときは俺の持ち物は何一つなかったけど今では持ち物が増えた。
姿見の裏には新聞の切り抜きの勇者の姿絵を隠しているし、桃や杏の種子から取った薔薇の毒は香油が入っていた青い色付きの硝子壜の中に隠している。
この世界の果物はマンモスサイズなので食べるのが大変なのと、種子の殻が硬くて割るのに苦戦していて集まり具合は芳しくない。
おまけに大きな桃を素手で抱えてしまったから、腕の内側の柔らかいところに桃の表皮の産毛が刺さって痛くて堪らなかった。
皮を剥く時も手に産毛が刺さって酷い目に遭ったし、今後は桃は止めることにする。
杏子と枇杷でいいだろ。
だけど、痛がっているのをナズーリンに見られて桃の産毛だと白状すると手当をして貰えたのはいいが、ギャレットにチクられて滅茶苦茶叱られた上にすっかり食いしん坊キャラ扱いだ。
ここでの一日の始まりは、朝、メイドに起こされるところから始まる。
朝と言っても辛うじて午前中だというだけで、もう日が昇り切った時間だ。
それは一夜を共にした客を明け方に帰した男娼がひと眠りして起きてくる時間に合わせているからなのだが、それに気付いたときはなんとも言えない気分になった。
メイドはそのまま支度を手伝ってくれるが、水揚げ前にも拘わらず何故か毎日着飾らせられる。
衣装はだいたい異世界版民族衣装みたいなのばかりで、上はホルターネックの臍出しスタイルなんだが、ここで【悲報】俺氏、ブラジャーデビューする。
しかも俺こないだ気付いちゃったんだけど、乳首が超敏感で服が擦れるだけでビンビンに立ってて、ここ暑い国だから着る物みんな生地が薄いし誤魔化しようがないくらい主張しちゃってたんだよ。だけどな、それがブラジャーで解消。
もう泣いてもいいか? いいよな? ちょっと泣いた。
気を取り直して衣装の説明に戻ると、下は俺の下腹部に浮き出た淫紋がギリギリ隠れる腰の低い位置で留めた幅の広いベルトの前面と背面だけに長い布がたっぷりと付いていて足元まで垂れているものが多い。横は脚も横尻も丸見えだ。
今日はそれの水色のやつで、更にアクセサリーをたくさんつける。
王冠やサークレットのような髪飾りだとか、上腕二頭筋のところに着ける腕輪だとか、ネックレスやアンクレットもだ。
それから食堂へ降りて行って朝飯を取るんだが、この邸は構造が複雑で俺の部屋が何階に当たるのかすら分からない。
ゲームのダンジョンの中にあるような小さな石階段がついててそれを使ってるから俺の部屋は上の方にあることは確かなんだが。
その他にも男娼はいるらしいが、住んでる棟が違うため顔を合わせたことはない。
専ら四人の寮生活みたいな感じだ。
砂漠の中のオアシスの街だけど、俺の部屋には風呂もトイレも付いていて、お湯も使い放題だ。
外は灼熱の砂漠が広がっているにもかかわらず、表面をツルツルに磨き上げられた石造りの部屋はひんやりとしていて気持ちが良い。
内装は東欧風だけどちょっと中東要素も入っていたりでよく分からない。
歴史を調べればどうやってこういう文化が生まれたのか、成り立ちがわかるんだろうか。
家具はベッドが一台、ドレッサーが一台、姿見が一つ、嵌め殺しの窓際にソファーがあって、ウォークインクローゼットがあって、床には絨毯が一枚、その上にクッションがたくさん。
掃除も洗濯もメイドがやってくれる。
ここへ来たときは俺の持ち物は何一つなかったけど今では持ち物が増えた。
姿見の裏には新聞の切り抜きの勇者の姿絵を隠しているし、桃や杏の種子から取った薔薇の毒は香油が入っていた青い色付きの硝子壜の中に隠している。
この世界の果物はマンモスサイズなので食べるのが大変なのと、種子の殻が硬くて割るのに苦戦していて集まり具合は芳しくない。
おまけに大きな桃を素手で抱えてしまったから、腕の内側の柔らかいところに桃の表皮の産毛が刺さって痛くて堪らなかった。
皮を剥く時も手に産毛が刺さって酷い目に遭ったし、今後は桃は止めることにする。
杏子と枇杷でいいだろ。
だけど、痛がっているのをナズーリンに見られて桃の産毛だと白状すると手当をして貰えたのはいいが、ギャレットにチクられて滅茶苦茶叱られた上にすっかり食いしん坊キャラ扱いだ。
ここでの一日の始まりは、朝、メイドに起こされるところから始まる。
朝と言っても辛うじて午前中だというだけで、もう日が昇り切った時間だ。
それは一夜を共にした客を明け方に帰した男娼がひと眠りして起きてくる時間に合わせているからなのだが、それに気付いたときはなんとも言えない気分になった。
メイドはそのまま支度を手伝ってくれるが、水揚げ前にも拘わらず何故か毎日着飾らせられる。
衣装はだいたい異世界版民族衣装みたいなのばかりで、上はホルターネックの臍出しスタイルなんだが、ここで【悲報】俺氏、ブラジャーデビューする。
しかも俺こないだ気付いちゃったんだけど、乳首が超敏感で服が擦れるだけでビンビンに立ってて、ここ暑い国だから着る物みんな生地が薄いし誤魔化しようがないくらい主張しちゃってたんだよ。だけどな、それがブラジャーで解消。
もう泣いてもいいか? いいよな? ちょっと泣いた。
気を取り直して衣装の説明に戻ると、下は俺の下腹部に浮き出た淫紋がギリギリ隠れる腰の低い位置で留めた幅の広いベルトの前面と背面だけに長い布がたっぷりと付いていて足元まで垂れているものが多い。横は脚も横尻も丸見えだ。
今日はそれの水色のやつで、更にアクセサリーをたくさんつける。
王冠やサークレットのような髪飾りだとか、上腕二頭筋のところに着ける腕輪だとか、ネックレスやアンクレットもだ。
それから食堂へ降りて行って朝飯を取るんだが、この邸は構造が複雑で俺の部屋が何階に当たるのかすら分からない。
ゲームのダンジョンの中にあるような小さな石階段がついててそれを使ってるから俺の部屋は上の方にあることは確かなんだが。
0
お気に入りに追加
1,328
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる