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最終章 砂漠の薔薇
〇〇五 俺の異世界奴隷生活①
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身形を綺麗に整えられた俺は、また壁にレリーフのある廊下を通り、今度は使用人用の食堂のような部屋へ連れて行かれた。
「お疲れ様。いいじゃないか。見違えたよ」
そこで待ち構えていた仲買人の男は俺の仕上がりを見てご満悦のようで、俺の顎を取って角度を変えて眺めている。
随分と機嫌が良さそうだし今ならいけるだろうか。
「あの、質問してもいいですか?」
「いいとも。私が答えられることであればね」
男は機嫌よく言うと、メイドに俺の食事を持ってくるように言いつけた。
「ここはどこですか? 俺はこれからどうなるんですか?」
「君は競りに掛けられる。ここは競売所で私はここの元締めだからね」
これは俺の質問の仕方が悪かった。
俺はこの世界は何なのか訊いたつもりだったし、競りに掛けられた後どうなるのかを訊いたつもりだったのだ。
しかしこの男、単なる仲買人かと思ったら競売所の元締めだったのか。
だったらかなりの権力者だよな。
まあ、あんな奴隷商と付き合いがあるようじゃ程度が知れるが、裏社会の顔であることはほぼ間違いないだろう。
でもそういうことなら質問の仕方を変えなければ。
「何で俺だけ特別扱いなんですか?」
俺はよく考えながら今度は慎重に口を開いた。
「それは君がアルビオン人だからだよ。アルビオン人は総じて小柄で成人しても然して大きくならないからね。しかも黒髪に象牙色の肌のアルビオン人は実年齢より若く見えるから長く楽しめると人気が高い。言葉を覚えさせるのが難儀なんだが君は既に話せるようだし、間違いなく高額で競り落とされるだろう」
やっぱりここは異世界なのか。
つまりこの世界では俺の方が異世界人で、アルビオン人と呼ばれているらしい。
他の檻に入れられていた他の奴隷たちはこの世界の人間なのか。
だがな、俺が小さいんじゃなくお前らがデカイんだろう!?
「不安なのはわかる。だが、君は私の大事な商品だ。つまり私が君に危害を加えることは決してない。ここにいる間は君の身の安全は保障しよう。だから安心して食事にするといい。腹が減っているだろう。食べたらちゃんと歯を磨いて今日はぐっすり寝るんだよ?」
新しい情報はほとんど何も引き出せなかったが、俺が考え込んでいるうちに食事が運ばれてきて質問時間は打ち切られてしまった。
仲買人改め元締めは後をメイドに任せて去って行き、テーブルの上にピエロギとビーツのスープとクスクスと銀のカトラリーが並べられる。
どうやらここは東欧と中東の文化が混ざり合ったような地域のようだ。
「お疲れ様。いいじゃないか。見違えたよ」
そこで待ち構えていた仲買人の男は俺の仕上がりを見てご満悦のようで、俺の顎を取って角度を変えて眺めている。
随分と機嫌が良さそうだし今ならいけるだろうか。
「あの、質問してもいいですか?」
「いいとも。私が答えられることであればね」
男は機嫌よく言うと、メイドに俺の食事を持ってくるように言いつけた。
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でもそういうことなら質問の仕方を変えなければ。
「何で俺だけ特別扱いなんですか?」
俺はよく考えながら今度は慎重に口を開いた。
「それは君がアルビオン人だからだよ。アルビオン人は総じて小柄で成人しても然して大きくならないからね。しかも黒髪に象牙色の肌のアルビオン人は実年齢より若く見えるから長く楽しめると人気が高い。言葉を覚えさせるのが難儀なんだが君は既に話せるようだし、間違いなく高額で競り落とされるだろう」
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次章続巻も順次刊行予定
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※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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