異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが

マハラメリノ

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最終章 砂漠の薔薇

〇〇二 俺氏と四〇人の奴隷商②

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そもそもアルビオン人ってなんだ?
何で俺はそう呼ばれてるんだ?
公用語と言っていたが、そういえば日本語じゃないのに分かる。
そうだ、俺は日本人で、でも自分の名前も家族も住んでたところも思い出せない。
なのに俺、何で外国の言葉が分かるんだ?
もしかしてこれが噂に聞く異世界転移の言語チートってやつか?

「何か身元の分かるものを付けていなかったか?」
「指輪があったな」
「見せてみろ」
「何だこの虹色の金属は? 見たことねえな」
「銀でもプラチナでもねえが、魔法抵抗なんてどえれェもんがついてるな」
「魔法抵抗ついた指輪してんのに淫紋つけられんのか?」
「淫紋は魔法じゃなくて呪術だからな。魔法抵抗は魔法にしか反応しねえ」
「へえ、そういうもんなのか。それにしても一体どこの御貴族様に飼われてたんだよ」
「魔法抵抗の付いた指輪ってそんな値打ちもんなのか?」
「ばっかお前ェ、それ一個で王都に邸が買えるぜ!」
「そんなに!?」
「まあ、庶民の俺たちにとっちゃ滅多にお目に掛かれるもんじゃねえから知らなくても無理ねえか」
「だがその指輪は売れねえな。市場に出回れば即、足がつく。第一そんなもんを適正価格で即金で買い取れるほどの金持ちはこの国に数えるほどしかいねえ」
「指輪の裏に何か書いてあるぞ。えーと、なになに……『エリアスより愛を込めて』か。ヤベエな、このエリアスって奴は今頃死に物狂いで探してるだろうが、こいつァ初物なんだよな?」
「そういやこいつ、婚礼衣装みたいなの着てなかったか?」
「この下着も絹だぜ。すげえエロい匂いがする」
「そこが解せない……。確かにとびきりの上物だが、こんな年端も行かない餓鬼の性奴隷と婚礼ごっこした上にそんなメッセージ付きの高価な指輪なんかくれてやるか?」
「餓鬼にしかおっ勃たたねえ変態ジェントルなんざ掃いて捨てるほどいるだろうが。それにこの器量だ。歳は関係ねえ。寧ろ育つまで長く楽しめるだろ」
「服も指輪もこいつが逃走資金にするために盗んだのかも知れねえぜ」

ふざけんな!
俺は他人の物なんて盗まないぞ!
知らんけど!

「服はともかく、こんな細っせえ指にぴったりのサイズの指輪が偶々あったとでもいうのか?」

結論の出ないまま話し合いは終了して、俺は岩場の奥の掘っ建て小屋へ連れて行かれ大きな檻の中に放り込まれた。
なんとかバックバージンは護れたようだが、安心するにはまだ早い。
この小屋の中には他にも同じような檻が幾つかあって、俺の入れられた檻は俺一人だったが、他の檻は年齢も人種も様々な少年や少女がやはり裸のままぎゅう詰めにされていたのだ。

――【悲報】俺氏と四〇人の盗賊じゃなくて俺氏と四〇人の奴隷商だった。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨


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次章続巻も順次刊行予定
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