異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが

マハラメリノ

文字の大きさ
上 下
181 / 266
第三章 黎明と黄昏

〇三四 三回もセックスって言った②

しおりを挟む
ゾアは役割分担がはっきりしている。
今回の「世界の均衡を取り戻す」って役割はどっちかっていうと「大地のEarth管理者owner」の名を冠する想像力の化身、北の宇宙ウルソナの管轄だ。
創世神話の中では、ウルソナから分離したロスとルヴァは協力関係にあったが、ウルソナとルヴァはほとんどお互いに干渉していない。

「まあ望めば神や悪魔といった存在にも近付けたかも知れないんだけどね。僕は力を手に入れることよりも愛を営む者たちと共に在り続けることを選んだのさ」

ルヴァはルヴァであるが故に、力よりも愛を選んだ。
それがルヴァの本質なのだろう。
だからこそ、こう微妙に苛つくのに完全には憎みきれない。

「でも、どうして俺だったんだ?」
「強くなり過ぎた光と闇を混ぜ合わせて中和するにはどうしても闇魔法が必要だったけど、太古の昔、闇と契約した一族はこの世界ではもう途絶えてしまったから他から呼び寄せるしかなかったんだよ」
「え、じゃあ、じゃあ……ルヴァが俺をこの世界へ呼んだのか?」
「そうだよ」

これにはエリアスも僅かに動揺を見せる。
だってルヴァが呼んでくれたから俺はエリアスと出会えたんだ。

「……ナナセをこの地に呼び寄せたのは何故だ?」
「その答えは、創造都市ゴルゴヌーザが何故この地に在るかってことの答えにもなるね。全ては死から生まれるからだよ。何かを生み出すのに永遠の死の国より相応しい地はないでしょ。それにナナセくんが金属と相性が良いこともあったしね。鍛冶術士としての一面を持つウルソナの力は、ウルソナから分離したロスにも受け継がれているんだよ。だから僕からロスにお願いしてこの地を貸して貰ったってわけ」

こうしてロスに場所を提供してくれるよう頼むのがルヴァに出来る精一杯だったのだろう。
エリアスはそれきり考え込むように口を閉ざしてしまったので今度は俺が訊いてみる。

「じゃあ『遅すぎた』とか『心を決めると良い』って何だったんだよ?」
「それは訊いてくれて嬉しいね。君たちにセックスさせるためだよ。セックスしないことには君の闇魔法は使えないからね。ああ言えば恋人たちはセックスするだろう?」

こいつ、三回もセックスって言った。
一秒間に十回レイプって言うクラウザーさんには遠く及ばないが。

「こう見えて僕は恋愛のスペシャリストだからね」

ルヴァはそう言ってウインクする。
そろそろエリアスの顳顬の血管が切れそうだ。
気持ちは分かるが、駄目だエリアス。
せめて朝飯を食い終わるまで、もうちょっとの辛抱だ。
俺がエリアスの膝にそっと手を置くと、驚いたようにこっちを見た。
それを見てルヴァがニコニコして言う。

「食べ終わったら、宿泊している部屋まで僕が送り届けてあげよう」

気が利くな?
しおりを挟む
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨


📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)

次章続巻も順次刊行予定
OLOLON

※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
感想 21

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

処理中です...