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第三章 黎明と黄昏
〇三〇 音速の貴公子①
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永遠の死の国の森を抜けた天体観測所で待ち構えていたのはルヴァその人で、けれどルヴァは俺たち二人を残して階下へと消えた。
「遅すぎた」とか「心を決めろ」とか不穏なことを言い残して――。
遅すぎたってどういうことだよ。
心を決めるってなんなんだよ。
嘘だ。嫌だ。駄目だ。止めろ。
様々な感情が渦巻き、湧き上がっては消えていく。
言いたいことはたくさんあるはずなのに、俺もエリアスも無言だった。
何か言って、すべてが台無しになってしまうのが怖かったのだ。
月明かりの下で俺たちはどちらからともなく抱き合って目を瞑り、暫く鼻を擦り合わせていた。
エリアスが口を開く気配がしたので俺は慌てて伸び上がって自分からキスをしてエリアスの口を塞いだ。
そしたらもう止まらなかった。
互いの衣服を結合するのに最低限必要なだけ脱がすと、立ったまま片脚を抱え上げられる格好で性急に繋がり、そして性急に種付けされた。
いつもなら、俺を散々イかせてからでないと種付けしてくれないのに、こんなに早いのは最速記録かも知れない。
音速の貴公子を名乗れるぜ。
それでも一回では終われない俺たちはセックスしながらもどかしく服を脱ぎ捨て、漸く二人とも全裸になる。
それから床に敷かれた白い毛皮の上に押し倒されて、今置かれている状況も何もかも忘れて、箍が外れたようにセックスをした。
バツッバツッバツッと絶え間ないピストンの度に、俺の腹の中の子種が溢れて飛び散り、俺たちの下半身は子種でドロドロの酷い状態だ。
けれど俺はエリアスが欲しくて、エリアスも俺が欲しくて止められない。
エリアスは男の俺を本気で孕ませようとでもしているかのように、結腸に雁首を埋めるほどの勢いで俺を深く貫いて種付けをした。
中にたくさん出されて、早くも俺の腹は孕まされたみたいにエリアスの子種によってぽこりと膨れ始めている。
俺たちが今しているセックスは、闇魔法の贄を捧げるためのセックスでもなく、いつもの気持ち良くなるためのセックスでもなく、生殖本能でしているセックスだった。
戦場へ赴く兵士が死ぬ前に子孫を残そうとして絶倫になるみたいなやつだろう。
そんな感じで本気で俺を孕ませるようとしてくるエリアスに何度も種付けされて、俺の腹はエリアスの子種でもうはち切れそうだ。
俺の上に覆い被さっているエリアスの肩越しに硝子ドームの天井を振り仰ぐと、夜空に月が出ているのが見えた。
刹那。
――ナナセ!
そう呼んだのがエリアスだったのか例の声だったのか俺には分からない。
だが、そのとき俺は、理解した。
ただ、そこにある月を指さすように。
「遅すぎた」とか「心を決めろ」とか不穏なことを言い残して――。
遅すぎたってどういうことだよ。
心を決めるってなんなんだよ。
嘘だ。嫌だ。駄目だ。止めろ。
様々な感情が渦巻き、湧き上がっては消えていく。
言いたいことはたくさんあるはずなのに、俺もエリアスも無言だった。
何か言って、すべてが台無しになってしまうのが怖かったのだ。
月明かりの下で俺たちはどちらからともなく抱き合って目を瞑り、暫く鼻を擦り合わせていた。
エリアスが口を開く気配がしたので俺は慌てて伸び上がって自分からキスをしてエリアスの口を塞いだ。
そしたらもう止まらなかった。
互いの衣服を結合するのに最低限必要なだけ脱がすと、立ったまま片脚を抱え上げられる格好で性急に繋がり、そして性急に種付けされた。
いつもなら、俺を散々イかせてからでないと種付けしてくれないのに、こんなに早いのは最速記録かも知れない。
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それから床に敷かれた白い毛皮の上に押し倒されて、今置かれている状況も何もかも忘れて、箍が外れたようにセックスをした。
バツッバツッバツッと絶え間ないピストンの度に、俺の腹の中の子種が溢れて飛び散り、俺たちの下半身は子種でドロドロの酷い状態だ。
けれど俺はエリアスが欲しくて、エリアスも俺が欲しくて止められない。
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だが、そのとき俺は、理解した。
ただ、そこにある月を指さすように。
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