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第三章 黎明と黄昏
〇二一 ラップバトルが始まるわけではない②
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竜騎兵って時点で俺の興味を惹くのに十分なんだが、竜騎兵の持っている銃がこれまた俺の中二心を鷲掴みするのだ。
所謂、古式銃のようなまろやかな流線形をしていて、全長一メートルほどの二連筒の黒鉄の銃身、ラプトルの角から削り出した銃床は飴色掛かった白、細やかな彫金の施された銀の装飾が全体を芸術品のように美しくまとめ上げていた。
弾丸は鉛玉ではなく謎の魔法技術で出来ていて、銃自体もある程度の魔力がないと撃てないらしい。
俺は以前、通信用の水晶玉を使おうとして粉々に破壊した前科があるので、試してみる気にはならないが、後で触るだけいいから触らせてくれないだろうか。
珍しいやら詳しく知りたいやらで、ちょっと失礼なくらいガン見してしまったが、エリアスはこの竜騎兵の隊長さんとは顔見知りらしく、軽い挨拶の後で何やら声を潜めて会話を交わしている。
「彼は困った人を見ると放っておけない性質で我が身を顧みず飛び出してしまう癖がある。警護に当たっては周辺の問題も排除して貰えると助かる」
「それはまた……君も難儀なことだな。わかった万全を尽くそう」
「ああ、頼む」
それって俺のことですよねー!?
ここで下手に反論すれば、エビデンスを並べ立てられ論破されてしまいそうで、ぐうの音も出ない。
それからルヴァ魔導帝国の皇帝陛下との謁見となったわけだけど、陛下はなんとルートヴィヒ殿下にそっくりだった。
殿下が歳を取ったらこんなかんじだろう。
エリアスに聞いたところによると、ルートヴィヒ殿下の父君は皇帝陛下の弟君にあたる公爵閣下なんだそうで道理で似ているわけだ。
専制君主制国家は血統崇拝みたいなのがあるから、どうしても顔が似通ってくるんだよな。
「そちらが噂の聖者殿だね。これはなんとも……絹糸のごとき黒髪に、それになんと肌理の細かそうな象牙色の肌だね。よーしよし許す、近う寄れ、撫で回してみたい……おお、勇者よそんなに睨むとは情けない。ただの冗談だからね。冗談」
このクソリプ感漂う口調と雰囲気、誰かに似てる気がするんだけど誰だったっけ?
早速だけど神殿で治癒をしたいと申し出ると大層喜ばれて、陛下もご視察を望まれたので、俺たちの警備担当の竜騎兵と陛下警備担当の近衛騎士とをぞろぞろ引き連れての大所帯での大移動となった。
治癒術は消耗するからと言ってしまえば、その後の王族からのどんな誘いもお断り出来るから便利なのだ。
隻腕やら隻眼になって引退せざるを得なかった元騎士だとか元兵士だとかを、陛下は俺の来訪に合わせて呼び寄せていたらしく、ヴェイラ王国の救護院の数倍はある神殿内は人で溢れている。
よっしゃ! 単位を稼ぐぞ!
俺は繋いでいたエリアスの手を握り直し、もう片方の手で覇を構えた。
所謂、古式銃のようなまろやかな流線形をしていて、全長一メートルほどの二連筒の黒鉄の銃身、ラプトルの角から削り出した銃床は飴色掛かった白、細やかな彫金の施された銀の装飾が全体を芸術品のように美しくまとめ上げていた。
弾丸は鉛玉ではなく謎の魔法技術で出来ていて、銃自体もある程度の魔力がないと撃てないらしい。
俺は以前、通信用の水晶玉を使おうとして粉々に破壊した前科があるので、試してみる気にはならないが、後で触るだけいいから触らせてくれないだろうか。
珍しいやら詳しく知りたいやらで、ちょっと失礼なくらいガン見してしまったが、エリアスはこの竜騎兵の隊長さんとは顔見知りらしく、軽い挨拶の後で何やら声を潜めて会話を交わしている。
「彼は困った人を見ると放っておけない性質で我が身を顧みず飛び出してしまう癖がある。警護に当たっては周辺の問題も排除して貰えると助かる」
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「ああ、頼む」
それって俺のことですよねー!?
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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