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第三章 黎明と黄昏
〇〇八 今日というこの日が良い①
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ヴェイラは嵐のように去っていった。
杖がこの宇宙を創造した金属と同じ、ルヴァの燃え滓であるというとんでもない情報だけを後に残して。
「消えた!」
まだまだ訊きたいことがたくさんあったのに!
まあでも、結果を見れば収穫は上々だ。
そもそもヴェイラはエリアスが質問するために召喚したはずなのに、エリアスが答えを貰う前に、俺の方がいっぱい質問して答えを貰ってしまった気がするが、今日は俺の誕生日だから許して欲しい。
しかも凄い誕生日プレゼントまで貰っちゃったしな。
この杖、ルヴァの燃え滓だってとこがちょっとアレだけど、マジ格好良いし最高。
明日からこの杖で治癒も頑張ろう。
そんなことを考えながら、俺が杖を抱えてニマニマとほくそ笑んでベッド上に座ると、同じく隣に座ったエリアスに頬を抓られた。
「いって! 何すんだよ!」
じゃれ合い程度に軽く抓られただけだったが、文句を言って見上げれば、何時になく不機嫌な顔のエリアスがじろりと俺を見下ろしている。
それで俺はエリアスが不機嫌な理由を瞬時に察した。
ヤベェ、これはあれだ。
エリアスの前で他の人から貰ったプレゼントを喜び過ぎたからだ、多分。
「エリー、これは違うんだよ? 俺はエリーから貰った指輪が一番嬉しいんだからな? 信じてくれよ?」
それは本心だ。
でも、その気持ちをなんて言っていいか分からなくて、変な疑問形になりながらしどろもどろに説明していると途中でエリアスが遮った。
「それは別に怒ることではない。精霊やゾアのような存在に何かを貰ったら大袈裟なくらい喜んで感謝しないと恨みを買う。しかもその感謝が本心かどうか簡単に見抜かれてしまうからな。ナナセの対応はあれで正解だった。ヴェイラも随分と満足していたようだから暫く出てこないだろうから、私も正直助かった」
「そうなのか……」
それは確かにエリアスでは手に負えないだろう。
俺がヴェイラから貰った杖は控えめに言って最高だったけど、勝手に授けといて喜ばなかったら恨むって、精霊もゾアも大概酷いし傍迷惑だな。
「私が怒っているのは、私の聖剣より先にその杖に名を付けたことだ」
「あ、そっち!?」
まったく思いも寄らなかったという俺の素直なリアクションに、エリアスは再び俺の頬を抓った。
「いってーって! てか実はさ、エリーの聖剣の名前も前から考えてあったんだけど、もっとちゃんとした機会に命名したくて黙っていたというか……」
名前は以前から本当に考えてあった。
杖がこの宇宙を創造した金属と同じ、ルヴァの燃え滓であるというとんでもない情報だけを後に残して。
「消えた!」
まだまだ訊きたいことがたくさんあったのに!
まあでも、結果を見れば収穫は上々だ。
そもそもヴェイラはエリアスが質問するために召喚したはずなのに、エリアスが答えを貰う前に、俺の方がいっぱい質問して答えを貰ってしまった気がするが、今日は俺の誕生日だから許して欲しい。
しかも凄い誕生日プレゼントまで貰っちゃったしな。
この杖、ルヴァの燃え滓だってとこがちょっとアレだけど、マジ格好良いし最高。
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そんなことを考えながら、俺が杖を抱えてニマニマとほくそ笑んでベッド上に座ると、同じく隣に座ったエリアスに頬を抓られた。
「いって! 何すんだよ!」
じゃれ合い程度に軽く抓られただけだったが、文句を言って見上げれば、何時になく不機嫌な顔のエリアスがじろりと俺を見下ろしている。
それで俺はエリアスが不機嫌な理由を瞬時に察した。
ヤベェ、これはあれだ。
エリアスの前で他の人から貰ったプレゼントを喜び過ぎたからだ、多分。
「エリー、これは違うんだよ? 俺はエリーから貰った指輪が一番嬉しいんだからな? 信じてくれよ?」
それは本心だ。
でも、その気持ちをなんて言っていいか分からなくて、変な疑問形になりながらしどろもどろに説明していると途中でエリアスが遮った。
「それは別に怒ることではない。精霊やゾアのような存在に何かを貰ったら大袈裟なくらい喜んで感謝しないと恨みを買う。しかもその感謝が本心かどうか簡単に見抜かれてしまうからな。ナナセの対応はあれで正解だった。ヴェイラも随分と満足していたようだから暫く出てこないだろうから、私も正直助かった」
「そうなのか……」
それは確かにエリアスでは手に負えないだろう。
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名前は以前から本当に考えてあった。
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※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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