133 / 266
第三章 黎明と黄昏
〇〇六 光が強くなれば闇も深くなる①
しおりを挟む
俺が四大属性の魔法がひとつも使えないのは、四大精霊に嫌われているせいではなく、寧ろ好かれているが、俺が元いた世界の精霊とすでに契約を交わしているから、この世界の精霊は俺に力を貸せないのだとヴェイラは言う。
更に、その精霊とは金属か鉱物ではないかと言うのだ。
「えっと、金属か鉱物……? 五行の金属性……とか?」
精霊に心当たりはないけど金属性ということなら思いつくのは五行思想だろう。
西洋のエンペドクレスの四元素説やパラケルススの四大精霊と並び、東洋には五行説、または五行思想という自然哲学の思想がある。
日本の年表に照らし合わせれば戦国時代辺りに中国で発生した比較的新しい思想だが、陰陽道に取り入れられ、陰陽五行説となり広まった。
五行という言葉自体に馴染みがなくても、「青春、朱夏、白秋、玄冬」という言葉は聞いたことがあるだろう。それらは五行を起源とする言葉だ。
そんな風に、五行思想は日本人の文化の中に自然に入り込んでいる。
具体的に五行とはどのようなものかざっくり説明すると、万物は火・水・木・金・土の五種類の元素から成るという思想だ。
ここで中二病的に面白いのは、五つの属性が五芒星の形に配置され、それぞれ「相生」「相剋」「比和」「相乗」「相侮」という相関図で表される点だ。
例えば「相生」で言えば、木は燃えて火を生むという意味の「木生火」などがそうだ。
四大精霊の相関図と違って複雑なんだが、この俺が履修してない訳がない。
五行の話は語り出すときりがないので話を戻して、ヴェイラは、俺がすでにアルビオンの金属の精霊と契約しているのだという。
確かに俺は金属が異常に好きだが、本当に覚えがない。
それよりもここで重要なのは、俺が四大精霊ではなく五行に属しているから、四大精霊の力を貸して貰えないのではないかという点なのだ。
それならば四大属性の魔法が使えなかった理由に得心が行く。
「ゴギョウ? アルビオンの精霊はそう言うのね? それにこの宇宙はルヴァの金属から作られていることもあって、そのゴギョウの金属の精霊と契約している聖者君に精霊たちは干渉できないようなのよ」
ユリゼンがルヴァを炉に放り込んで、燃え滓の金属からこの宇宙が作られたっていう例のハートフルボッコサイコパスストーリーっすね。
金属好きな俺としては、それがどんな金属だったのか気になるところではある。
「尤も、聖者君の場合は精霊どころか、この世界が誕生するよりもっと古くから存在する『闇』そのものと契約した一族の血が流れているから、精霊の力なんて必要ないと言えば必要ないのだけれどね」
ゾアともなれば俺が闇魔法を使えることくらいお見通しなのか、ヴェイラはさらりと言ってのけた。
「ということは『闇』は精霊ではないんですか?」
「その通り。精霊ではないわ。『闇』は総ての始まりであり、終わりでもある。世界の始まりは、ただ闇があるばかり。『光』が生まれたのだってその後よ。一番新しいのは異世界から持ち込まれた『聖』かしら」
まさかの光!?
そんでもって聖!?
始まりの終わりで、終わりの始まり!?
更に、その精霊とは金属か鉱物ではないかと言うのだ。
「えっと、金属か鉱物……? 五行の金属性……とか?」
精霊に心当たりはないけど金属性ということなら思いつくのは五行思想だろう。
西洋のエンペドクレスの四元素説やパラケルススの四大精霊と並び、東洋には五行説、または五行思想という自然哲学の思想がある。
日本の年表に照らし合わせれば戦国時代辺りに中国で発生した比較的新しい思想だが、陰陽道に取り入れられ、陰陽五行説となり広まった。
五行という言葉自体に馴染みがなくても、「青春、朱夏、白秋、玄冬」という言葉は聞いたことがあるだろう。それらは五行を起源とする言葉だ。
そんな風に、五行思想は日本人の文化の中に自然に入り込んでいる。
具体的に五行とはどのようなものかざっくり説明すると、万物は火・水・木・金・土の五種類の元素から成るという思想だ。
ここで中二病的に面白いのは、五つの属性が五芒星の形に配置され、それぞれ「相生」「相剋」「比和」「相乗」「相侮」という相関図で表される点だ。
例えば「相生」で言えば、木は燃えて火を生むという意味の「木生火」などがそうだ。
四大精霊の相関図と違って複雑なんだが、この俺が履修してない訳がない。
五行の話は語り出すときりがないので話を戻して、ヴェイラは、俺がすでにアルビオンの金属の精霊と契約しているのだという。
確かに俺は金属が異常に好きだが、本当に覚えがない。
それよりもここで重要なのは、俺が四大精霊ではなく五行に属しているから、四大精霊の力を貸して貰えないのではないかという点なのだ。
それならば四大属性の魔法が使えなかった理由に得心が行く。
「ゴギョウ? アルビオンの精霊はそう言うのね? それにこの宇宙はルヴァの金属から作られていることもあって、そのゴギョウの金属の精霊と契約している聖者君に精霊たちは干渉できないようなのよ」
ユリゼンがルヴァを炉に放り込んで、燃え滓の金属からこの宇宙が作られたっていう例のハートフルボッコサイコパスストーリーっすね。
金属好きな俺としては、それがどんな金属だったのか気になるところではある。
「尤も、聖者君の場合は精霊どころか、この世界が誕生するよりもっと古くから存在する『闇』そのものと契約した一族の血が流れているから、精霊の力なんて必要ないと言えば必要ないのだけれどね」
ゾアともなれば俺が闇魔法を使えることくらいお見通しなのか、ヴェイラはさらりと言ってのけた。
「ということは『闇』は精霊ではないんですか?」
「その通り。精霊ではないわ。『闇』は総ての始まりであり、終わりでもある。世界の始まりは、ただ闇があるばかり。『光』が生まれたのだってその後よ。一番新しいのは異世界から持ち込まれた『聖』かしら」
まさかの光!?
そんでもって聖!?
始まりの終わりで、終わりの始まり!?
0
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
お気に入りに追加
1,326
あなたにおすすめの小説


アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。


身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる