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第三章 黎明と黄昏
〇〇四 擬人化の先輩②
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一方エリアスは呪いと聞いて途端に身を強張らせた。
魔王に呪いを掛けられて以来、呪いって言葉に敏感になってるんだろうな。
「その、ヴェイラ……様が、どうして俺の誕生日を祝ってくれるんですか?」
「だって、聖者君は勇者君の婚約者じゃないの。そりゃ祝うわよ」
「ナナセ、こいつにそんな敬称を付ける必要はない。こいつは呼ばれもしないのに現れて、一生に一度しかないナナセの二十歳の誕生日を台無しにした。万死に値する」
「えーと、じゃあヴェイラ先輩。そもそもエリーとどういう関係なんですか?」
俺がそう訊ねると、エリアスは藪蛇だったという顔をした。
「あら、私のこと何も話してくれてないのね?」
「おい、待て。それなら私から……」
エリアスの制止を振り切ってヴェイラは楽しそうに続ける。
「そこの勇者君が勢い余って『神でも悪魔でもいいから教えてくれ』って、うっかり無差別に召喚術使っちゃったから、変なものに先を越されないうちに、この私が召喚に応じてあげたのよ」
マ!?
また俺が何かしちゃったかと思って内心ビクビクしてたんだが、今回ばかりはエリアスの仕業だった。
しかも何か凄いことをさらっと言ってないか?
エリアスお前、うっかり神や悪魔を召喚しそうになったのかよ。
それうっかりじゃすまないだろ。
多分、転移と治癒を除いて大した力もない俺とかが同じように神や悪魔を召喚しようとしても何も起こらないんだろうが、術者が四大精霊のご贔屓であり勇者であるエリアスだからな。
何に興味を持たれても不思議はないし、良くないものがこれをチャンスとばかりにちょっかいを出してくる可能性だってある。
俺の今までのやらかしとは次元が違い過ぎて比較にならないし、万が一神や悪魔の召喚が実現しちゃってたら洒落にならない事態に陥っていただろう。
「……仕方がないだろう。感情が昂って暴発してしまったんだ」
魔法は強く念じることさえできれば、呪文の詠唱なんて本来いらない。
エリアスは普段は魔法を暴発させることなんてないが、魔王城でガチギレしてたときなんか勝手にバンバン魔法出ちゃってるみたいだったし、その後、呪いを掛けられてからちょっと不安定みたいだ。
一度なんか風呂入ってるときに水滴をパキパキ凍らせちゃってた。
恐らくそれと似たようなことが起こったのだろう。
魔法が暴発する原理はわかる。
だがそれよりも、エリアスがそこまで感情を昂らせてまで教えて欲しかったことって何だよ。
俺には寧ろそっちの方が気になる。
だってどうせ、俺がらみなのは想像に難くないからな。
「……で、エリーは何を教えて欲しかったんだ?」
「それは……」
言い難いようなことなのか、珍しく返答に窮しているエリアスの隙をついて、ヴェイラが割り込んできて言葉を被せる。
「でもねー、勇者君、私の教えてあげた答えが気に入らなくて、このままじゃ私、戻れないのよねえ」
エリアス、やっぱりお前が全ての元凶か!
魔王に呪いを掛けられて以来、呪いって言葉に敏感になってるんだろうな。
「その、ヴェイラ……様が、どうして俺の誕生日を祝ってくれるんですか?」
「だって、聖者君は勇者君の婚約者じゃないの。そりゃ祝うわよ」
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「えーと、じゃあヴェイラ先輩。そもそもエリーとどういう関係なんですか?」
俺がそう訊ねると、エリアスは藪蛇だったという顔をした。
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エリアスの制止を振り切ってヴェイラは楽しそうに続ける。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
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📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
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※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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