125 / 266
第三章 黎明と黄昏
〇〇二 住んでる部屋まで事故物件②
しおりを挟む
「ぎゃっ!!」
で、出たー!!!!!!
俺は心臓が止まるほど驚いて悲鳴を上げてエリアスにしがみつく。
「エリー! あれっ! あそこに女の霊がっ!」
俺は女の方を見ないようにして指さしながらエリアスに訴えた。
異世界にも霊っているのかよ!?
そりゃあまあ、人間がいるんだから死ねば霊になるのかも知れないけど、俺、ホラーとかそっち系は苦手なんだよ!
ここ古い建物みたいだし、ここで死んだ人がいてもおかしくはないが、エリアスだけじゃなくまさかこの部屋まで事故物件だったとはな!
やっぱ異世界にも大島てるが必要だよ!
エリアスは魔物退治が専門だけど、勇者って除霊も出来るのか!?
出来るよな!?
頼むから出来ると言ってくれ!
しかし、エリアスは俺が指さした方を見ようともしないで続きを再開しようとした。
「ナナセ、あれなら大丈夫だ。あれは何でもない。気にするな」
はァッ!?
大丈夫って、何言ってんだよ!?
何でもなくないし、気にするなって言われても気になるだろ!?
俺の寝室に女の霊がいるんだぞ!?
ベッドの天蓋の上からこっちを覗き込んでたんだぞ!?
婚約者が事故物件な上に、住んでる部屋まで事故物件なんだぞ!?
いや、もしかして、エリアスが事故物件って呼ばれてたの、もしかしてそういう意味だったのか!?
これが大丈夫なわけがあるか!?
繰り返す!
これが大丈夫なわけがあるか!?
怖えよ!!
「無理無理無理無理ッ! 怖えよッ! エリー、何とかしてくれよッ!」
半泣きっていうかもうほとんど泣きながら俺がそう訴えると、このままでは続行不能と判断したのか俺の身体を弄る手を止めて意外だとでもいうように目を丸くして俺を見る。
「……怖いのか? あれが?」
「怖いに決まってるだろ!」
生態系の頂点に君臨する最強生物の勇者様には怖いものなんてないのかも知れないけど、天蓋の上から逆さまにこっちを覗き込んでる女の霊なんて普通は誰でも怖いと思うぞ!
それに、エロいことしてると幽霊は出てこないって言うから、今出てくるってことはジェイソンとかフレディとかそっち系だろ!?
ホラー映画でエロいことおっぱじめて真っ先に殺されるタイプのバカップルになりたくない!
「怖かったのか。そうか、わかった。今追い払う」
「頼むぜエリー!」
「頼まれた」
俄然やる気を出したエリアスは必死でしがみついている俺を無情にもベリッと剥がし、ベッドに押し倒して頭からブランケットを掛ける。
しがみつくものがなくなった俺は掛けられたオフトゥンの隙間からそおっと薄目を開けて外の様子を窺う。
「おい」
エリアスはベッドを降りてはいたが剣は手にしていないので、どうやらまずは女の霊に向かって話しかけて説得するつもりのようだ。
エリアスは俺を背中に庇うように丁度射線上に立っているので、俺の位置からは女の霊は見えない。
「出てくるなと言っただろう『ヴェイラ』。ナナセが怖がっている。邪魔だ、失せろ」
――ヴェイラ?
で、出たー!!!!!!
俺は心臓が止まるほど驚いて悲鳴を上げてエリアスにしがみつく。
「エリー! あれっ! あそこに女の霊がっ!」
俺は女の方を見ないようにして指さしながらエリアスに訴えた。
異世界にも霊っているのかよ!?
そりゃあまあ、人間がいるんだから死ねば霊になるのかも知れないけど、俺、ホラーとかそっち系は苦手なんだよ!
ここ古い建物みたいだし、ここで死んだ人がいてもおかしくはないが、エリアスだけじゃなくまさかこの部屋まで事故物件だったとはな!
やっぱ異世界にも大島てるが必要だよ!
エリアスは魔物退治が専門だけど、勇者って除霊も出来るのか!?
出来るよな!?
頼むから出来ると言ってくれ!
しかし、エリアスは俺が指さした方を見ようともしないで続きを再開しようとした。
「ナナセ、あれなら大丈夫だ。あれは何でもない。気にするな」
はァッ!?
大丈夫って、何言ってんだよ!?
何でもなくないし、気にするなって言われても気になるだろ!?
俺の寝室に女の霊がいるんだぞ!?
ベッドの天蓋の上からこっちを覗き込んでたんだぞ!?
婚約者が事故物件な上に、住んでる部屋まで事故物件なんだぞ!?
いや、もしかして、エリアスが事故物件って呼ばれてたの、もしかしてそういう意味だったのか!?
これが大丈夫なわけがあるか!?
繰り返す!
これが大丈夫なわけがあるか!?
怖えよ!!
「無理無理無理無理ッ! 怖えよッ! エリー、何とかしてくれよッ!」
半泣きっていうかもうほとんど泣きながら俺がそう訴えると、このままでは続行不能と判断したのか俺の身体を弄る手を止めて意外だとでもいうように目を丸くして俺を見る。
「……怖いのか? あれが?」
「怖いに決まってるだろ!」
生態系の頂点に君臨する最強生物の勇者様には怖いものなんてないのかも知れないけど、天蓋の上から逆さまにこっちを覗き込んでる女の霊なんて普通は誰でも怖いと思うぞ!
それに、エロいことしてると幽霊は出てこないって言うから、今出てくるってことはジェイソンとかフレディとかそっち系だろ!?
ホラー映画でエロいことおっぱじめて真っ先に殺されるタイプのバカップルになりたくない!
「怖かったのか。そうか、わかった。今追い払う」
「頼むぜエリー!」
「頼まれた」
俄然やる気を出したエリアスは必死でしがみついている俺を無情にもベリッと剥がし、ベッドに押し倒して頭からブランケットを掛ける。
しがみつくものがなくなった俺は掛けられたオフトゥンの隙間からそおっと薄目を開けて外の様子を窺う。
「おい」
エリアスはベッドを降りてはいたが剣は手にしていないので、どうやらまずは女の霊に向かって話しかけて説得するつもりのようだ。
エリアスは俺を背中に庇うように丁度射線上に立っているので、俺の位置からは女の霊は見えない。
「出てくるなと言っただろう『ヴェイラ』。ナナセが怖がっている。邪魔だ、失せろ」
――ヴェイラ?
0
異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
お気に入りに追加
1,326
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる