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第一章 聖者降臨
〇三八 四年待って欲しい③
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もしかして日本に帰ったらこれが四年も続くのか。
ちょっと俺、甘く見ていたかも。
寂しいって感情は、対象がいて初めて成立する感情なんだ。
ずっとひとりだったら寂しいなんて感じない。
ひとりじゃなかった時期があってこそ知ることが出来る。
俺はずっとひとりだったけど、エリアスと出会ってひとりじゃなくなった。
だからもう、ひとりでいるのは寂しくて仕方がない。
エリアスの落胆ぶりも今なら納得だ。
俺はやっぱり想像力の足りない馬鹿でしかない。
でも、何度も言うがそれが俺なんだって認めろって言ったのはエリアスなんだからな。
心なしか部屋が寒々しく感じる。
見た目だけはファンシーなのにな。
早く帰って来いよエリアス。
しかし夕食の時間になって戻ってきたエリアスは、さぞや不貞腐れてご機嫌斜めにいるかと思いきや、なんと復活していた。
しかも前よりパワーアップしている。
普段は静かに上品に開け閉めする扉を、まゆたんヒーローばりの「バーン!」というオノマトペ付きで登場をかましたのだ。
「朗報だナナセ! 私は四年間の休暇を勝ち取っ……いや、違う! 四年間ナナセの出張警護任務を拝命した!」
オイ今、休暇って言わなかったか? 言ったよな?
でも、ということはエリアスと一緒に居られるってことか?
平和な日本じゃ勇者様にはイージーモード過ぎて実質有給休暇だよな。
今日のエリアスなんか壊れ気味だし本音が出ちゃったか。
三日月ソファーの上で熱烈な抱擁を受けて、労うように俺もエリアスの背中に腕を回した。
「凄いじゃないか! どうやったんだよ?」
「大したことはしていない。ナナセがいなくなることで私に及ぼすデメリットを切々と語っただけだ」
ああ……把握した。
あの腑抜けになったエリアスを見たら誰でもちょっと考えるかも。
魔王は倒されたとはいえ、ヨハネスブルグで勇者が使い物にならなくなる損失はデカイ。
だったら婚前旅行にでも出すつもりで勇者に恩を売っておいた方が、戻ったときに扱き使えるし得策というものだろう。
それに、薄々勘付いてたけど、この世界の人たちって俺たちに甘いよな。
無理だと思って諦めていたことも言ってみたら案外簡単に叶うような気がする。
「自分が言い出したことなのに呆れるかもしれないけど、実際、四年とか堪えられそうになかった。今日だってほんの半日会えなかっただけなのに俺、エリーがいなくて寂しかった……」
「私もだ、ナナセ」
寂しかったことを正直に言うと、エリアスは俺を抱き上げて三日月ソファーに座り、膝の上に乗せた。
え、一緒にここに座るのか?
エリアスが三日月に座ってるとこ結構面白くて見物だぞ、いいのか?
まあいいか。今日のエリアスちょっと壊れ気味だし、俺も一人で寂しくてこの三日月ソファーに座ってたくらいだし。
大人しくエリアスの腕の中に納まると、言い忘れていたことを思い出した。
まだ「おかえり」を言ってない。
「そうだ。おかえり、エリー」
「ただいま、ナナセ」
その夜、俺たちは前よりもっと仲良くなった。
ちょっと俺、甘く見ていたかも。
寂しいって感情は、対象がいて初めて成立する感情なんだ。
ずっとひとりだったら寂しいなんて感じない。
ひとりじゃなかった時期があってこそ知ることが出来る。
俺はずっとひとりだったけど、エリアスと出会ってひとりじゃなくなった。
だからもう、ひとりでいるのは寂しくて仕方がない。
エリアスの落胆ぶりも今なら納得だ。
俺はやっぱり想像力の足りない馬鹿でしかない。
でも、何度も言うがそれが俺なんだって認めろって言ったのはエリアスなんだからな。
心なしか部屋が寒々しく感じる。
見た目だけはファンシーなのにな。
早く帰って来いよエリアス。
しかし夕食の時間になって戻ってきたエリアスは、さぞや不貞腐れてご機嫌斜めにいるかと思いきや、なんと復活していた。
しかも前よりパワーアップしている。
普段は静かに上品に開け閉めする扉を、まゆたんヒーローばりの「バーン!」というオノマトペ付きで登場をかましたのだ。
「朗報だナナセ! 私は四年間の休暇を勝ち取っ……いや、違う! 四年間ナナセの出張警護任務を拝命した!」
オイ今、休暇って言わなかったか? 言ったよな?
でも、ということはエリアスと一緒に居られるってことか?
平和な日本じゃ勇者様にはイージーモード過ぎて実質有給休暇だよな。
今日のエリアスなんか壊れ気味だし本音が出ちゃったか。
三日月ソファーの上で熱烈な抱擁を受けて、労うように俺もエリアスの背中に腕を回した。
「凄いじゃないか! どうやったんだよ?」
「大したことはしていない。ナナセがいなくなることで私に及ぼすデメリットを切々と語っただけだ」
ああ……把握した。
あの腑抜けになったエリアスを見たら誰でもちょっと考えるかも。
魔王は倒されたとはいえ、ヨハネスブルグで勇者が使い物にならなくなる損失はデカイ。
だったら婚前旅行にでも出すつもりで勇者に恩を売っておいた方が、戻ったときに扱き使えるし得策というものだろう。
それに、薄々勘付いてたけど、この世界の人たちって俺たちに甘いよな。
無理だと思って諦めていたことも言ってみたら案外簡単に叶うような気がする。
「自分が言い出したことなのに呆れるかもしれないけど、実際、四年とか堪えられそうになかった。今日だってほんの半日会えなかっただけなのに俺、エリーがいなくて寂しかった……」
「私もだ、ナナセ」
寂しかったことを正直に言うと、エリアスは俺を抱き上げて三日月ソファーに座り、膝の上に乗せた。
え、一緒にここに座るのか?
エリアスが三日月に座ってるとこ結構面白くて見物だぞ、いいのか?
まあいいか。今日のエリアスちょっと壊れ気味だし、俺も一人で寂しくてこの三日月ソファーに座ってたくらいだし。
大人しくエリアスの腕の中に納まると、言い忘れていたことを思い出した。
まだ「おかえり」を言ってない。
「そうだ。おかえり、エリー」
「ただいま、ナナセ」
その夜、俺たちは前よりもっと仲良くなった。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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