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第二章 魔王復活
〇一二 お清めセックスは封印された④
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「!!」
効いてる!
流石自分自身に嫉妬する男!
最後のが一番効果が高かったな!
それにしてもエリアス、チョロすぎないか!?
これでホント大丈夫なのか!?
こんなチョロくて勇者やっていけてるのか!?
そんな俺の不安を他所に、エリアスは神妙な顔つきで両手で俺の手を取った。
「分不相応などではない。私は相応しい名だと思う。その名を私だけに教え、呼ぶことを許して貰えた幸運に感謝し、記憶が戻るまでヒジリと呼ばせて貰おう」
ミッションコンプリート!
命の保証と引き換えに、俺は大事なものを失った気がするけど、今は考えない。
その代わり、気になっていたことを聞いてみる。
「あのさ、今のエリーの中で俺の存在ってどう認識されてるんだ? 何も覚えてないってことは初対面も同然だろ? 急に婚約者って言われても、普通は戸惑うんじゃないのか?」
俺の問いに、エリアスは数回瞬きした後で、穏やかな顔で微笑んだ。
「敢えて一言で表せば、ヒジリは心奪われる存在だ。婚約者といわれて戸惑うどころか、寧ろこの感情の正体に説明がついて腑に落ちた。この気持ちを恋と呼ばずに何と呼ぶのだと」
俺それ知ってる!
マックでJKが言ってた!
「コノカンジョウノショウタイハ」って薄い本でよくあるやつだろ!
オチが恋愛未満のそれだと腐女子が怒るんだって言ってた!
今のエリアスは感情の正体に気付いたところから始まってるから、これにはマックのJKもニッコリだろう。
マックのJKの無駄知識、異世界でも地味に役に立ってるよな。
思えば、右も左も分からない異世界でその手の事案に遭遇しても、知識があるだけでパニクらずに済んだし、精神的に随分と楽だった。
「ヒジリの記憶を失っても、この気持ちだけは失わなかったのは、恐らく私の愛が魔王の呪いよりも勝っていたからだろう。まさしく愛の勝利だな」
勝ち誇ったように主張するエリアスがなんだか可愛くて、手を伸ばして頭を撫でてやると、それが気に入ったのか俺が撫でやすいように首を竦めて頭を俺の方へ向けてくる。
エリアスの旋毛を見るのは結構レアかも。
それに、いつもスカしてたエリアスがこんなに素直に甘えてくるのも珍しい。
犬猫か何かのようにいっぱい撫で回している間に食事が運ばれてきて、エリアスの侍従のエミールは、俺たちが服を着るなり何なり全く支度をしていなかったことに呆れながらも、今日ばかりは邪魔をしないように気を利かせてすぐに退室して二人きりにしてくれた。
俺は元来、寝床で物を食べるのは好きじゃなかったんだけど、この甘い雰囲気を壊したくなくて、二人してベッドで裸のままお互いに食べさせ合って食事をしたのだ。
そしてもうひとつ。
魔王の呪いには、心の底からいらないオプションが付いていた。
なんと、エリアスは呪いを掛けられて以来ずっと、酷い頭痛に苛まれているというのだ。そういうことは早く言えよと。
ところが、エリアスが俺に触れている間だけ頭痛はピタリと止むのだそうだ。
我慢できないほどの痛みではないと言うが、そんなことを聞いては放っておけない。
斯くして俺たちは、二人一緒に行動していたのは以前からだが、それに加えて常に手を繋いでいるようになったのだった。
ああそうだよ!
食事はお互いに食べさせ合って、どこへ行くにも二人でおてて繋いで、どこからどう見ても完全にバカップル爆誕だよ!
おのれ、魔王め!
――そうして、その日から俺は救護院へ行かなくなった。
効いてる!
流石自分自身に嫉妬する男!
最後のが一番効果が高かったな!
それにしてもエリアス、チョロすぎないか!?
これでホント大丈夫なのか!?
こんなチョロくて勇者やっていけてるのか!?
そんな俺の不安を他所に、エリアスは神妙な顔つきで両手で俺の手を取った。
「分不相応などではない。私は相応しい名だと思う。その名を私だけに教え、呼ぶことを許して貰えた幸運に感謝し、記憶が戻るまでヒジリと呼ばせて貰おう」
ミッションコンプリート!
命の保証と引き換えに、俺は大事なものを失った気がするけど、今は考えない。
その代わり、気になっていたことを聞いてみる。
「あのさ、今のエリーの中で俺の存在ってどう認識されてるんだ? 何も覚えてないってことは初対面も同然だろ? 急に婚約者って言われても、普通は戸惑うんじゃないのか?」
俺の問いに、エリアスは数回瞬きした後で、穏やかな顔で微笑んだ。
「敢えて一言で表せば、ヒジリは心奪われる存在だ。婚約者といわれて戸惑うどころか、寧ろこの感情の正体に説明がついて腑に落ちた。この気持ちを恋と呼ばずに何と呼ぶのだと」
俺それ知ってる!
マックでJKが言ってた!
「コノカンジョウノショウタイハ」って薄い本でよくあるやつだろ!
オチが恋愛未満のそれだと腐女子が怒るんだって言ってた!
今のエリアスは感情の正体に気付いたところから始まってるから、これにはマックのJKもニッコリだろう。
マックのJKの無駄知識、異世界でも地味に役に立ってるよな。
思えば、右も左も分からない異世界でその手の事案に遭遇しても、知識があるだけでパニクらずに済んだし、精神的に随分と楽だった。
「ヒジリの記憶を失っても、この気持ちだけは失わなかったのは、恐らく私の愛が魔王の呪いよりも勝っていたからだろう。まさしく愛の勝利だな」
勝ち誇ったように主張するエリアスがなんだか可愛くて、手を伸ばして頭を撫でてやると、それが気に入ったのか俺が撫でやすいように首を竦めて頭を俺の方へ向けてくる。
エリアスの旋毛を見るのは結構レアかも。
それに、いつもスカしてたエリアスがこんなに素直に甘えてくるのも珍しい。
犬猫か何かのようにいっぱい撫で回している間に食事が運ばれてきて、エリアスの侍従のエミールは、俺たちが服を着るなり何なり全く支度をしていなかったことに呆れながらも、今日ばかりは邪魔をしないように気を利かせてすぐに退室して二人きりにしてくれた。
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そしてもうひとつ。
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なんと、エリアスは呪いを掛けられて以来ずっと、酷い頭痛に苛まれているというのだ。そういうことは早く言えよと。
ところが、エリアスが俺に触れている間だけ頭痛はピタリと止むのだそうだ。
我慢できないほどの痛みではないと言うが、そんなことを聞いては放っておけない。
斯くして俺たちは、二人一緒に行動していたのは以前からだが、それに加えて常に手を繋いでいるようになったのだった。
ああそうだよ!
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おのれ、魔王め!
――そうして、その日から俺は救護院へ行かなくなった。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
📖Kindle(電子書籍)
📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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