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第二章 魔王復活
〇一〇 グレイ②
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事後処理は他の連隊に任せ、白騎士隊だけ一足先に帰投するべく乗り込んだ帰りの船では、出動時にも作戦会議で使った円形の部屋で緊急対策会議が行われた。
貸して貰ったエリアスの服に着替えた俺は、エリアスのブラウスを一枚着た上にエリアスのフロックを羽織った姿で出席しているので若干浮いている。
それらは、こんなこともあろうかと持ってきてくれていたものらしいのだが、エリアスが用意したのはなんとエリアスの服だったのだ。
しかも上に着るものだけしかないという偏り方だ。
まあ、脚の長さが違うのでエリアスのパンツ類を用意されても惨めな思いをするのは俺なんだが、問題はそこじゃない。
そこまで予想していたのなら、最初から俺の服を持ってきてくれ!
その上、攫われてから俺はずっと裸足だったので救出後もエリアスに抱きかかえられての移動だったんが、当然エリアスは靴も持ってきていないので船の中でも抱っこ移動だったのが更に解せぬ。
時々思うが、エリアスって実は馬鹿なんじゃないか?
なんでこう要所要所でポンコツ化するんだよ。
だがしかし、その件については俺のことを覚えていないらしい今のエリアスを責めるわけにもいかない。
船内で簡単な事情聴取を行った結果、やはりエリアスは、魔王に呪いを掛けられて俺の記憶だけ綺麗さっぱり失っていたのだ。
「ふむ。それではこちらの聖者様が私の婚約者というのは、全世界が知る事実ということで間違いないのか?」
エリアスの事実確認に対して、船に乗り合わせていた全員が間違いないと保証した。
最初に婚約者だと聞かされたとき、エリアスは相当驚いたようで、「えっ」という顔をした後、俺の股間の辺りをチラ見していたのを俺は見逃さなかったぞ。
すぐに他の隊員に「聖者様はこう見えて十九歳だから安心してください」と言われて、あからさまにホッとしていたが、やっぱりあのとき見たんだな。
魔王城で恥ずかしそうに俺のマントの合わせを掻き寄せていたあのときだ。
エリアスは見てしまったんだな。
俺の剃毛されてつるっつるの股間を。
それでまだ下の毛も生え揃っていないガキだと思っていたんだろう。
俺の記憶を失う前のエリアスも、ガキに手を出すような変態じゃないから、そこは安心してくれていい。
それはさておき、エリアスに掛けられた呪いは、今のところ俺に関する一切の記憶を失ったということだけで、一見して命に関わるような支障はないようだ。
とはいえ、これからどんな弊害が出てくるか分からないため、放っておくことも出来ない。
呪いの治癒というのは経験がないが、俺が治せるかも知れないからやってみようと言うと、隊員たちに「移動中はやめましょう!?」「治癒を試すのは戻ってからで!」「そうです、陛下に報告が終わって隊舎に戻ってからで!」「なんなら夜になってからで!」と口々に止められた。
この執拗な止め方は、治癒の後、毎回セックスしてるのやっぱり絶対にバレてる……。
「それなのに私は魔王に呪いを掛けられて、選りに選って聖者様の記憶だけ失ってしまったと……」
「その、聖者様ってのやめてくれないか。俺、自分からそう名乗ったことないし。出来れば『ナナセ』で頼む」
そうして、ここで新たな事実が発覚することになる。
「……」
刹那、エリアスは口を開いたまま驚愕の表情で固まった。
それからエリアスは何度か俺の名前を呼ぼうとして口を開いたり閉じたりしたが、肝心の名前が出てこない。
「待ってくれ。何かおかしい。何故か、君の名を呼べない」
――エリアスは俺の記憶を失うのと同時に、俺の名前を口にすることが出来なくなっていたのだ。
貸して貰ったエリアスの服に着替えた俺は、エリアスのブラウスを一枚着た上にエリアスのフロックを羽織った姿で出席しているので若干浮いている。
それらは、こんなこともあろうかと持ってきてくれていたものらしいのだが、エリアスが用意したのはなんとエリアスの服だったのだ。
しかも上に着るものだけしかないという偏り方だ。
まあ、脚の長さが違うのでエリアスのパンツ類を用意されても惨めな思いをするのは俺なんだが、問題はそこじゃない。
そこまで予想していたのなら、最初から俺の服を持ってきてくれ!
その上、攫われてから俺はずっと裸足だったので救出後もエリアスに抱きかかえられての移動だったんが、当然エリアスは靴も持ってきていないので船の中でも抱っこ移動だったのが更に解せぬ。
時々思うが、エリアスって実は馬鹿なんじゃないか?
なんでこう要所要所でポンコツ化するんだよ。
だがしかし、その件については俺のことを覚えていないらしい今のエリアスを責めるわけにもいかない。
船内で簡単な事情聴取を行った結果、やはりエリアスは、魔王に呪いを掛けられて俺の記憶だけ綺麗さっぱり失っていたのだ。
「ふむ。それではこちらの聖者様が私の婚約者というのは、全世界が知る事実ということで間違いないのか?」
エリアスの事実確認に対して、船に乗り合わせていた全員が間違いないと保証した。
最初に婚約者だと聞かされたとき、エリアスは相当驚いたようで、「えっ」という顔をした後、俺の股間の辺りをチラ見していたのを俺は見逃さなかったぞ。
すぐに他の隊員に「聖者様はこう見えて十九歳だから安心してください」と言われて、あからさまにホッとしていたが、やっぱりあのとき見たんだな。
魔王城で恥ずかしそうに俺のマントの合わせを掻き寄せていたあのときだ。
エリアスは見てしまったんだな。
俺の剃毛されてつるっつるの股間を。
それでまだ下の毛も生え揃っていないガキだと思っていたんだろう。
俺の記憶を失う前のエリアスも、ガキに手を出すような変態じゃないから、そこは安心してくれていい。
それはさておき、エリアスに掛けられた呪いは、今のところ俺に関する一切の記憶を失ったということだけで、一見して命に関わるような支障はないようだ。
とはいえ、これからどんな弊害が出てくるか分からないため、放っておくことも出来ない。
呪いの治癒というのは経験がないが、俺が治せるかも知れないからやってみようと言うと、隊員たちに「移動中はやめましょう!?」「治癒を試すのは戻ってからで!」「そうです、陛下に報告が終わって隊舎に戻ってからで!」「なんなら夜になってからで!」と口々に止められた。
この執拗な止め方は、治癒の後、毎回セックスしてるのやっぱり絶対にバレてる……。
「それなのに私は魔王に呪いを掛けられて、選りに選って聖者様の記憶だけ失ってしまったと……」
「その、聖者様ってのやめてくれないか。俺、自分からそう名乗ったことないし。出来れば『ナナセ』で頼む」
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「……」
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――エリアスは俺の記憶を失うのと同時に、俺の名前を口にすることが出来なくなっていたのだ。
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
📖文庫版(紙の書籍)
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📖BOOK☆WALKER(電子書籍)
次章続巻も順次刊行予定
OLOLON
※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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