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第二章 魔王復活
〇一六 真・お清めセックスは若干延期された①
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俺が以前送った手紙で、エリアスに掛けられていた魔王の呪いが解けた。
それは漢字に興味を持ったエリアスの名前を当て字で「襟明日」って書いただけのたった三文字の手紙だったのだけど、あのとき俺はそうとは知らずにエリアスに新しい名を授けてしまっていたらしい。
エリアスの新しい名を知る由もない魔王は「道連れにしてやる」とか喚いていたにも拘わらず、エリアスが死ぬような事態には至らなかった。
俺の雑な当て字がエリアスの命を救ったことになる。
ただし、その呪いは魔王が選りに選って俺の名前を呪文に使用したため、エリアスは俺の記憶だけ失ってしまうという形で発動してしまったのだ。
俺の治癒を単位に変えてくれる錬金術師のあしながおじさんが、「君しかできない」とか「君はもうその術を持っている」って意味深なことを言っていたのは、そういうことだったのか。
おじさんのヒントわかりづらっ!
そこまで知ってるなら、いっそはっきり言ってくれたらいいのに!
てか、あのおじさんホント何者なんだよ!
手紙は開封された形跡なんてなかったし、なんで俺がエリアスに授けた名前のこと知ってたんだ?
ともあれ、おじさんから出された「勇者に掛けられた魔王の呪いを解く」という課題はあっさり終わってしまったので、レポートを出すついでに、おじさんの正体について探りを入れるしかないようだ。
知らないことは、いくら考えても分かることじゃない。
「――さて、それでは今度は私からの質問だ」
俺が首を傾げていると、エリアスはちょっと身体を離しながら俺を覗き込むように今日一良い笑顔を向ける。
「魔王に何をされた?」
待って♡
遂に俺が恐れていた瞬間が来た。
そうだよ。呪いが解けたってことはエリアスの、真・お清めセックスタイムが始まっちゃうんだよ。
魔王にやられた以上のことを今度はエリアスにされるのだ。
俺は恐怖で竦み上がりながら、必死でこの場をやり過ごす方法を考える。
「エリー、落ち着こう? そうだ、報告! 呪いが解けたことを陛下に報告しないと!」
「魔王の首を見て、陛下はご気分が優れないようだったから明日にした方がいいだろう」
「えっとじゃあ、治癒! 俺ここんとこ治癒サボってたから救護院が怪我人や病人で溢れてるかも!」
「ああ、そうだな。それがいい。私の方は何時でも贄を捧げる準備は出来ている」
しまった! 墓穴掘った!
そうだった!
俺の治癒には生贄にエリアスの子種が必要なんだった!
治癒イコールセックスなんだった!
「そうと決まれば、すぐに行くとしよう。救護院には先日のナナセの救出作戦で負傷した者もいるからな。きっとまた皆に感謝されるだろう」
俺の救出作戦で負傷した人がいるなんて初耳だ。
魔物と戦ったんだから、負傷者が出るのは当たり前のことなのに、自分の至らなさにかなり凹む。
それすぐに俺が治さないと駄目なやつじゃん。
何やってんだ俺。
エリアスはさっき自分で途中まで脱がせた俺の服を今度は着せ始めて、さっさと準備を整え終えてしまった。
とあえず、真・お清めセックスは若干延期されたからよしとするか。
それは漢字に興味を持ったエリアスの名前を当て字で「襟明日」って書いただけのたった三文字の手紙だったのだけど、あのとき俺はそうとは知らずにエリアスに新しい名を授けてしまっていたらしい。
エリアスの新しい名を知る由もない魔王は「道連れにしてやる」とか喚いていたにも拘わらず、エリアスが死ぬような事態には至らなかった。
俺の雑な当て字がエリアスの命を救ったことになる。
ただし、その呪いは魔王が選りに選って俺の名前を呪文に使用したため、エリアスは俺の記憶だけ失ってしまうという形で発動してしまったのだ。
俺の治癒を単位に変えてくれる錬金術師のあしながおじさんが、「君しかできない」とか「君はもうその術を持っている」って意味深なことを言っていたのは、そういうことだったのか。
おじさんのヒントわかりづらっ!
そこまで知ってるなら、いっそはっきり言ってくれたらいいのに!
てか、あのおじさんホント何者なんだよ!
手紙は開封された形跡なんてなかったし、なんで俺がエリアスに授けた名前のこと知ってたんだ?
ともあれ、おじさんから出された「勇者に掛けられた魔王の呪いを解く」という課題はあっさり終わってしまったので、レポートを出すついでに、おじさんの正体について探りを入れるしかないようだ。
知らないことは、いくら考えても分かることじゃない。
「――さて、それでは今度は私からの質問だ」
俺が首を傾げていると、エリアスはちょっと身体を離しながら俺を覗き込むように今日一良い笑顔を向ける。
「魔王に何をされた?」
待って♡
遂に俺が恐れていた瞬間が来た。
そうだよ。呪いが解けたってことはエリアスの、真・お清めセックスタイムが始まっちゃうんだよ。
魔王にやられた以上のことを今度はエリアスにされるのだ。
俺は恐怖で竦み上がりながら、必死でこの場をやり過ごす方法を考える。
「エリー、落ち着こう? そうだ、報告! 呪いが解けたことを陛下に報告しないと!」
「魔王の首を見て、陛下はご気分が優れないようだったから明日にした方がいいだろう」
「えっとじゃあ、治癒! 俺ここんとこ治癒サボってたから救護院が怪我人や病人で溢れてるかも!」
「ああ、そうだな。それがいい。私の方は何時でも贄を捧げる準備は出来ている」
しまった! 墓穴掘った!
そうだった!
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異世界で聖者やってたら勇者に求婚されたんだが
第一章 聖者降臨
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次章続巻も順次刊行予定
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※この作品の出版権は作者本人に帰属しています。詳しくはこちらを参照してください。
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