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第二章 魔王復活
〇一四 治癒を単位に変えてくれる錬金術師①
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魔王城から一緒に救出されたヒューの処遇については、現在、白騎士団預かりとなっている。
本来ならば、農村の両親のところへ帰すところだが、俺が攫われた日、被害にあった村の生存者の中にヒューの両親も兄弟もおらず、後に残された身元確認が不可能なまでに喰い荒らされた遺体の数は、行方不明の村人の数と合致していたので絶望的だろうとのことだ。
孤児になって行く当てがないのならと、俺の身の回りの世話をしてくれないかと提案してみたところ、何よりもヒューが俺に償いたいと言うので一も二もなく決まった。
ヴェイラ王国でも屈指のエリート精鋭部隊である白騎士隊の隊員となった今の俺は高給取りなのでヒュー一人くらい余裕で雇える。
それに、これまでエリアスの従僕のエミールに俺の面倒までみて貰っていたことを常々申し訳ないと思っていたのだ。
とはいえ、郊外ののどかな農村出身のヒューに、従僕の仕事や王宮での作法や仕来りなんか分かるはずもないので、報酬を出すのでヒューに色々教えて貰えないかという旨をエリアスを通してエミールに頼んだ。
これにはエリアスにも思うところがあったのだろう、すぐに話を通してくれて快諾して貰えたのだけれど、報酬はエミール本人から断られてしまった。
だがしかし、報酬を断られることは想定の範囲内だった俺は、最終兵器の「聖者のメダイユ」をお礼としてエミールに差し出したのだ。
エミールは「報酬をお断りしたのに、代わりに国宝級のお宝を出されてしまっては、次は何が出てくるか恐ろしくて受け取るしかないじゃないですか」と大袈裟に驚いて快く受け取って貰えた。
確かに、エリアスの聖剣や、獣人領のレガリアの首飾りみたいなガチな国宝にも同じ物がついちゃってるけど、メダイユ自体はただの真鍮片でしかないのにな。
まあ、今ではそれらにくっついてるのが有名になってしまったせいで闇取引市場で価格が高騰しているらしく、売れば数年は遊んで暮らせる金額になるから、報酬額としては妥当だろう。
エリアスは聖剣に填め込まれたメダイユとエミールの持っているメダイユを見比べて複雑な顔をしていた。
もしかして、その辺の記憶もないのかよ。
どうやって説明したらいいか、頭が痛いな。
でもまあこれでヒューのことはエミールに任せておけば安心だろう。
魔王を討伐した今、白騎士隊の出動要請も滅多なことではないだろうし、うちの隊が暇なのは良いことなので遊んでいても誰にも文句は言われない。
有能な騎士を飢えさせると他所で汚れ仕事を請け負ってしまうので国で飼い殺しにするっていうのは、中東の某国のアサシンが国家公務員なのと同じ理由だな。
呪いを掛けられてからのエリアスは、相変わらず好感度MAXで振り切れてるし、魔王が俺にしたことは勿論、ルートヴィヒ殿下やフリードリヒ陛下との関係も知らない。
少々露骨な物言いをすれば、それは俺にとって都合がいいことで、いっそこのまま呪いが解けなくてもいいんじゃないかとか、後ろ暗い考えに取り憑かれそうになる。
こんなことを考えてしまうのは、今日はエリアスがいないからだ。
魔王城から救出されてからというもの、この三日間、救護院へも行かず、ずっとエリアスとベッドの上で過ごしていたが、前みたいにセックス三昧ってわけじゃなくて、話も何もせずにただ一緒にいるだけの時間が圧倒的に長くなった。
身体で深く繋がっていなくても、それで満ち足りた気分になるのだ。
そんな穏やかな日々も、流石に四日目ともなると王宮から使者が来て、エリアスは延期されていた首実検のために召喚されて行ったのだった。
呪いのオプションの頭痛はまだ続いているらしいから、俺も着いて行こうとしたんだけど、エリアスは俺に魔王の首をもう見せたくないと言って隊舎で待機を命じられて今に至る。
まあ、見て気持ちの良いものではないし、見れば記憶が蘇るのは事実だから、俺は大人しく待機命令を実行しているのだ。
因みに魔王の首には防腐魔法が掛けられているから、夏場でも腐らないのだそうだ。
本来ならば、農村の両親のところへ帰すところだが、俺が攫われた日、被害にあった村の生存者の中にヒューの両親も兄弟もおらず、後に残された身元確認が不可能なまでに喰い荒らされた遺体の数は、行方不明の村人の数と合致していたので絶望的だろうとのことだ。
孤児になって行く当てがないのならと、俺の身の回りの世話をしてくれないかと提案してみたところ、何よりもヒューが俺に償いたいと言うので一も二もなく決まった。
ヴェイラ王国でも屈指のエリート精鋭部隊である白騎士隊の隊員となった今の俺は高給取りなのでヒュー一人くらい余裕で雇える。
それに、これまでエリアスの従僕のエミールに俺の面倒までみて貰っていたことを常々申し訳ないと思っていたのだ。
とはいえ、郊外ののどかな農村出身のヒューに、従僕の仕事や王宮での作法や仕来りなんか分かるはずもないので、報酬を出すのでヒューに色々教えて貰えないかという旨をエリアスを通してエミールに頼んだ。
これにはエリアスにも思うところがあったのだろう、すぐに話を通してくれて快諾して貰えたのだけれど、報酬はエミール本人から断られてしまった。
だがしかし、報酬を断られることは想定の範囲内だった俺は、最終兵器の「聖者のメダイユ」をお礼としてエミールに差し出したのだ。
エミールは「報酬をお断りしたのに、代わりに国宝級のお宝を出されてしまっては、次は何が出てくるか恐ろしくて受け取るしかないじゃないですか」と大袈裟に驚いて快く受け取って貰えた。
確かに、エリアスの聖剣や、獣人領のレガリアの首飾りみたいなガチな国宝にも同じ物がついちゃってるけど、メダイユ自体はただの真鍮片でしかないのにな。
まあ、今ではそれらにくっついてるのが有名になってしまったせいで闇取引市場で価格が高騰しているらしく、売れば数年は遊んで暮らせる金額になるから、報酬額としては妥当だろう。
エリアスは聖剣に填め込まれたメダイユとエミールの持っているメダイユを見比べて複雑な顔をしていた。
もしかして、その辺の記憶もないのかよ。
どうやって説明したらいいか、頭が痛いな。
でもまあこれでヒューのことはエミールに任せておけば安心だろう。
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有能な騎士を飢えさせると他所で汚れ仕事を請け負ってしまうので国で飼い殺しにするっていうのは、中東の某国のアサシンが国家公務員なのと同じ理由だな。
呪いを掛けられてからのエリアスは、相変わらず好感度MAXで振り切れてるし、魔王が俺にしたことは勿論、ルートヴィヒ殿下やフリードリヒ陛下との関係も知らない。
少々露骨な物言いをすれば、それは俺にとって都合がいいことで、いっそこのまま呪いが解けなくてもいいんじゃないかとか、後ろ暗い考えに取り憑かれそうになる。
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