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第二章 魔王復活
〇一二 お清めセックスは封印された①
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俺とエリアスが魔王の首級を携えて王宮へ戻ると、女王陛下とルートヴィヒ殿下はまず俺たちの無事を喜んだ後で、労いの言葉を掛けてくれて、首実検や魔王に受けた呪いについて詳細な報告は後日にして今日はもう休むように言われ御前を退出した。
首実検っていうのは、生首で実験するわけじゃないぞ?
実験じゃなくて実検だからな。
国の重鎮が手柄を立てた者たちを交えて首級を検証し、褒賞を決めるやりとりのことだ。
実はこのとき、数々のミラクルが働いていた。
エリアスは復活した魔王の首を今度こそ本当に討ち取ったものの、こういう場合、前回、魔王を倒したと偽って褒賞を騙し取った咎を追求される立場に追い込まれるはずだったという。
しかしその褒賞は、逃走した俺の追跡に使い、爵位や資産で受け取らなかったのが幸いして、エリアス側に騙す意図はなかったと不問に処され一切のお咎めなしとなったのだ。
あのときは折角の魔王討伐の褒賞をそんなことに使うなよと思ったものだが、どう転ぶか分からないものである。
そういえば、前回の魔王討伐のときは、首実検は行わなかったのかと訊いてみたら、前回はエリアスが破壊の限りを尽くして辺り一面を焦土にしちゃったんで不可能だったらしい。
それ、どっちが魔王だよ!?
エリアスって自分自身のことと俺のことに関してはよく気が付くし割とマメなのに、その他の人のこととなると途端に扱いが雑になるとこあるよな……。
俺がキャトられたときだって、魔物三体と対峙してて、背中に庇ってる俺がいなくなった途端に後ろの家屋ごと吹っ飛ばしてたものな。
今回は俺が人質にされてたから魔王城を吹き飛ばせなかっただけで、俺がいなかったらまた焦土になっていたんだろう。
図らずもエリアスによる環境破壊から俺がこの世界を救ってしまった事実に驚愕しながら隊舎に戻ると、律儀に部屋の前まで送ってくれたエリアスに、果たして呪いに効果があるかはわからないが治癒を申し出て部屋に誘った。
結論から言うと、エリアスに掛けられた呪いに俺の治癒は効果がなく、もう半分ヤケクソで、御伽噺でよくある「真実の愛のキス」とやらも試してみたんだが、それすら駄目だったのだ。
剣と魔法世界なんだから、キスは鉄板の解呪方法として実装しとけってんだよ。
その結果、俺があんまり熱心に繰り返し口付けていたものだから、エリアスの方が盛り上がってしまい、服を剥ぎ取りながら浴室へ雪崩れ込むに至った。
エリアスの様子は一見すると以前と変わらない。
だけど魔王に呪いを掛けられて、俺のことだけ綺麗さっぱり忘れてしまっている。
俺の治癒が闇魔法だってことも、生贄が必要だってことも、その生贄がエリアスの子種だってことも、エリアスの目の前で俺が魔王に犯されてイッたことも、今のエリアスは知らない。
さあ、どこから話そうか――。
――そして俺は話すべきことを何も話さず二人で一緒に朝を迎えた。
俺の記憶だけ喪失中のエリアスはベッドの上で矢鱈しつこくて、結局朝まで一睡もさせて貰えなかったのだ。
何度か失神したけど、当然それは睡眠には含まれない。
エリアスにしてみれば、リベンジで魔王を討ち取って捕らわれていた俺を助け出してみたら、自分の婚約者だと言われたのだから、そりゃあ朝まで抱くくらいの権利はあるだろう。
だがしかし。
エリアスがそこまでしつこく俺を抱いたのは、魔王に抱かれた俺の穢れを落とすためではなかった。
俺がうっかり、初めての相手がエリアスだったことを漏らしてから流れが変わったのだ。
エリアスは俺に残るエリアスの痕跡に対し嫉妬して、上書きしようと躍起になった。
つまりエリアスはエリアス自身に嫉妬していたのだ。
色々と面倒臭い男だとは思っていたが、まさかここまでとは思ってなかった。
俺は魔王の穢れを祓って欲しかったんであって、俺のことを忘れる以前のエリアスを祓って欲しかったわけじゃあない。
なのに、そっちを祓ってどうすんだよ!
エリアスって、ホントに馬鹿じゃないのか?
だけど、それをエリアスに言えない俺はもっと馬鹿だ。
首実検っていうのは、生首で実験するわけじゃないぞ?
実験じゃなくて実検だからな。
国の重鎮が手柄を立てた者たちを交えて首級を検証し、褒賞を決めるやりとりのことだ。
実はこのとき、数々のミラクルが働いていた。
エリアスは復活した魔王の首を今度こそ本当に討ち取ったものの、こういう場合、前回、魔王を倒したと偽って褒賞を騙し取った咎を追求される立場に追い込まれるはずだったという。
しかしその褒賞は、逃走した俺の追跡に使い、爵位や資産で受け取らなかったのが幸いして、エリアス側に騙す意図はなかったと不問に処され一切のお咎めなしとなったのだ。
あのときは折角の魔王討伐の褒賞をそんなことに使うなよと思ったものだが、どう転ぶか分からないものである。
そういえば、前回の魔王討伐のときは、首実検は行わなかったのかと訊いてみたら、前回はエリアスが破壊の限りを尽くして辺り一面を焦土にしちゃったんで不可能だったらしい。
それ、どっちが魔王だよ!?
エリアスって自分自身のことと俺のことに関してはよく気が付くし割とマメなのに、その他の人のこととなると途端に扱いが雑になるとこあるよな……。
俺がキャトられたときだって、魔物三体と対峙してて、背中に庇ってる俺がいなくなった途端に後ろの家屋ごと吹っ飛ばしてたものな。
今回は俺が人質にされてたから魔王城を吹き飛ばせなかっただけで、俺がいなかったらまた焦土になっていたんだろう。
図らずもエリアスによる環境破壊から俺がこの世界を救ってしまった事実に驚愕しながら隊舎に戻ると、律儀に部屋の前まで送ってくれたエリアスに、果たして呪いに効果があるかはわからないが治癒を申し出て部屋に誘った。
結論から言うと、エリアスに掛けられた呪いに俺の治癒は効果がなく、もう半分ヤケクソで、御伽噺でよくある「真実の愛のキス」とやらも試してみたんだが、それすら駄目だったのだ。
剣と魔法世界なんだから、キスは鉄板の解呪方法として実装しとけってんだよ。
その結果、俺があんまり熱心に繰り返し口付けていたものだから、エリアスの方が盛り上がってしまい、服を剥ぎ取りながら浴室へ雪崩れ込むに至った。
エリアスの様子は一見すると以前と変わらない。
だけど魔王に呪いを掛けられて、俺のことだけ綺麗さっぱり忘れてしまっている。
俺の治癒が闇魔法だってことも、生贄が必要だってことも、その生贄がエリアスの子種だってことも、エリアスの目の前で俺が魔王に犯されてイッたことも、今のエリアスは知らない。
さあ、どこから話そうか――。
――そして俺は話すべきことを何も話さず二人で一緒に朝を迎えた。
俺の記憶だけ喪失中のエリアスはベッドの上で矢鱈しつこくて、結局朝まで一睡もさせて貰えなかったのだ。
何度か失神したけど、当然それは睡眠には含まれない。
エリアスにしてみれば、リベンジで魔王を討ち取って捕らわれていた俺を助け出してみたら、自分の婚約者だと言われたのだから、そりゃあ朝まで抱くくらいの権利はあるだろう。
だがしかし。
エリアスがそこまでしつこく俺を抱いたのは、魔王に抱かれた俺の穢れを落とすためではなかった。
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