夏休み島

つんこ

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出会い

謎のお姉さん現る

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「昨日つかまえた虫返しちゃうんだ」
「あぁ、自然は大切にってな」
「何それ」
「でも何だか寂しいな」
「ボク自分で捕まえた虫を飼うの初めてだったんだ」
「お前んとこだって虫くらいいるだろ?」
「んーん。チョウとかはいるけど、クワガタとかカブトムシってホームセンターにしか売ってないから..」
「虫って売ってんのか?」
「うん、千円とか二千円で高いと一万くらいかな?」
「い、10000⁉︎」
「うん、外国のすごいクワガタやカブトムシなんかだとね」
「日本でも大きさによって4~5千円したりするかな」

(ちょっとたくや!そこら辺の虫とっつかまえて売ってみてみなさいよ)
(言われんでも分かってんぜ。そしたらオメー・・・)

≪Switchが買える‼︎≫

「でもやっぱり虫は自然の中で生きるのが一番だよね」
「そ...そうだよな!分かってんじゃねーか弟分よ!」
「さ、流石よ下僕!アンタ立派な島人よ!」
「そうかな?エヘヘ」
「俺は誇らしいよホント」
(アンタまだ涎垂れてるわよ)
(いっけね!)

ーーーーーーーーーーーーーーーー
僕の部屋からは夜の公園がよく見える。車や人の声などなく、暗闇の中にはただただ虫の音だけが鳴り響く。
そんな中、公園に赤いハイヒールの様な物が見えた。
アレは..人?
人が倒れてるの!?
どうしよう!助けなくっちゃ!
僕は公園まで急いで走った。
やっぱり、スーツ姿の女の人が倒れてる!
「おねーさん大丈夫!?」
「えっ?」

「どこか具合が悪いの?」
「あ、あぁ。もしかして心配してくれたの?」
「具合が悪かったわけじゃないんだ。良かった~」
「フフフ、ごめんね。私、久しぶりにこの島に帰って来たの。この公園の奥にある一軒家が私の実家..」
「ふーん。そうなんだ。所でおねーさんは何で死んだフリなんかしてたの?」
「君ってさ、ここら辺の子じゃないよね?」
「うん、僕、夏休みの間だけ叔母さんの家に住んでるの」
「そっか、出身は?」
「東京」
「あら、何区?」
「荒川区」
「結構良いとこよね。あそこら辺は」
「おねーさんはぐらかさないでよー」
「じゃあお姉さんみたいに大の字になって横になってみて」
「こう?」
「そう、じゃあ上を向いて夜空を眺めてみて。そしたら目を瞑って、ゆっくりと深呼吸するの」
す~~~はーーー。
「どう?」
「んー、分かんない」
「ありゃりゃ。そっか~。やっぱり子供には分かんないかな~」
「えー、おねーさんは何が分かるの?」
「そうねぇ...海から流れる冷たい風、生い茂る草の感触、土と木々の匂い、虫たちの囁き声...」
「それって普通じゃない?」
「そうね。普通ね。でも感じなかったのよ。匂いとか、感触とか、音とか、そんな普通の事がお姉さん感じなかったんだ。ビックリでしょ」
「それってどういう状態?」
「んー、なんだかやる気が出なくて、ボーっとしちゃって、頭の中がポワポワ~ってなっちゃってる感じかな?」
「ふーん、病気だったの?」
「そうね。病気だったみたい」
おねーさんは力なく笑った。
「でも治ったんでしょ?」
「どうだろ、治ったのかな...ひゃっ」
「うーん、熱はないみたい」
ボクは熱を出した時、お母さんがやってくれた様におねーさんとおデコを合わせて熱を測った。

「ちょっとお姉さんビックリしちゃった。歳下の子にこんなアプローチされた事なかったから..」
「ブローチ?」

「あぷろーちって?」
「フフフ、ヒ・ミ・ツ」
「えー、ズルイ教えてよー」
「今日は遅いからもう帰りなさい。お家の方が心配しちゃうわよ」
「んー、確かに。じゃあおねーさんの名前を教えて?」
「そーだねー。謎のお姉さんって事にしようかな」
「何それ。じゃあボクも謎の少年Aって名乗るよ」
「フフ、それじゃあね。謎の少年A氏」
「それじゃあね。謎のお姉さん」


フフフ、面白い子....

ミーンミンミンミンミンミン....

提出書はまだか?
仕事が遅いな
何だこの穴だらけの書類は
全てやり直せ
お前の代わりは幾らでもいるんだ
ミャンマーの山奥にでも飛んでみるか?
これだから女は


手が...
「やっぱり1人になると、まだ思い出しちゃうな...」
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