夏休み島

つんこ

文字の大きさ
上 下
3 / 8
出会い

初めまして

しおりを挟む
叔母さんは入江に一番近い古家の玄関を開けた。
どうやらココが叔母さんの家らしい。


「たっだいまー!かずくん来たわよー!」
家中に広がるぐらいの大きな声で叫んだ。
すると、奥の方からアロハシャツにグラサン、短髪の背の高い男が現れた。

「おぉ、来たかボウズ」
その男はぶっきらぼうな口ぶりで話しかけて来た。
この時のボクは、正直に言うとちょービビっていた。

「アンタこの子怖がってるわよ」

「おりゃあ何もしてねーべや!」

「大丈夫よかずくん!あの見た目がこわ~い人は私の旦那のひろ叔父ちゃんよ」
それを聞いて驚いた。優しそうな叔母さんに、こんな怖そうな叔父さんが夫婦だなんて・・

「おじさん・・よろしくお願いします・・」

「あははは!アンタ見た目怖すぎるのよ!」

「う、うるせー!生まれつきだコンチクショウ!」
2人仲良く談笑してる。叔父は案外優しい人なのかもしれない。

「あれ?そういえばたくやは?」
思い出したかのように呟いた。

「ここだよ」
叔父の大きな体に隠れて、ボクよりちょっとだけ背の高い男の子が現れた。

「アンタは何照れてんのよ。早く自己紹介なさい」

「照れてねーよ!」
顔を赤らめながらその男の子は叫んだ。

「俺はたくや。小学5年生・・」

「そのー、なんだ。当分ここに住むんだろ?」

ボクは「うん」と言って頷いた。

「じゃあ今日からお前は俺の弟分ってこった!いいな!」
一体どんな理屈なのだろうか。

「なーに言ってんだかこの子は・・」
「へへ、いいから見てろって」
叔父と叔母は傍観に回った。


反応に困ってしまったが、一人っ子であるボクに兄弟が出来た気がして、
「弟分ってことは、お兄ちゃんって呼んでいいの?」
と聞いてみた。

たくやは笑いながら応えた。
「なんかちげーけど、まぁいいや!」

「よろしくな!かず!」

「うん!よろしくねお兄ちゃん!」
どうやらボクは無事に舎弟になれたらしい。

すると、お兄ちゃんは手の平を握りながら「グー出せグー✊」と催促して来た。
「グー?」
「いいからホラ」
ボクは言われた通りに拳を握ってかざした。

するとお兄ちゃんは""と拳と拳を合わせて言った。
「今日から兄弟!男の誓いな!」

ちょっと痛かったけど、なんだか心の奥底から熱いものが溢れて来るような気持ちになった。

「な?これが友情って奴だ」
「男ってこういうのが好きなの?」
「女にゃあ分かんねーかなぁ~。ロマンだよロマン‼︎」
「アンタほど暑苦しいロマンはないわよ」
「それ、ちゃんと褒めてんのか?」

「さっ、かずくん。晩御飯まで自由行動の時間よ」
「はーい!」
「おい公園行こうぜ」
「うん!」


「なぁ?褒め言葉だよなぁ?」
「~♩~♩~🎵」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

Cutie Skip ★

月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。 自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。 高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。 学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。 どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。 一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。 こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。 表紙:むにさん

フットサル、しよ♪

本郷むつみ
青春
1人の女子高生がフットサル部を作り、全国大会を目指す青春コメディです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・  黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に  儚くも露と消えていく』 ある朝、 目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。 小学校六年生に戻った俺を取り巻く 懐かしい顔ぶれ。 優しい先生。 いじめっ子のグループ。 クラスで一番美しい少女。 そして。 密かに想い続けていた初恋の少女。 この世界は嘘と欺瞞に満ちている。 愛を語るには幼過ぎる少女達と 愛を語るには汚れ過ぎた大人。 少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、 大人は平然と他人を騙す。 ある時、 俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。 そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。 夕日に少女の涙が落ちる時、 俺は彼女達の笑顔と 失われた真実を 取り戻すことができるのだろうか。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

僕は 彼女の彼氏のはずなんだ

すんのはじめ
青春
昔、つぶれていった父のレストランを復活させるために その娘は 僕等4人の仲好しグループは同じ小学校を出て、中学校も同じで、地域では有名な進学高校を目指していた。中でも、中道美鈴には特別な想いがあったが、中学を卒業する時、彼女の消息が突然消えてしまった。僕は、彼女のことを忘れることが出来なくて、大学3年になって、ようやく探し出せた。それからの彼女は、高校進学を犠牲にしてまでも、昔、つぶされた様な形になった父のレストランを復活させるため、その思いを秘め、色々と奮闘してゆく

処理中です...