夏休み島

つんこ

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出会い

プロローグ

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「かずくん、お父さんやお母さんと離れ離れで寂しくなぁい?」
明るい口調で叔母は話しかけてくれる。

「ううん。ボクのウチ、2人ともお仕事で1人の時が多いから平気だよ!」
そう言うと叔母は少し気まずそうな表情をしてしまった。
痩せ我慢で言ったのではない。慣れてしまったんだ。
1人は1人で楽しいと、その時のボクは思っていた。

「でもおばちゃんの家は賑やかよ!バカ息子もいるから、きっと気に入ると思うわ。楽しみにしてね!」
この人はグイグイ来る。
悪い気はしない。

「おばちゃんの息子って小学生?」

「そうよ。小学5年生。かずくんの一個上だよ」

「うーむ、それは楽しみだ」

「ウチの子は勉強苦手だから、かずくんよろしくね?」

「算数なら任せて!いんすうぶんかいまで出来るんだ!」

「え?因数分解って..中学の..?数学じゃない...?かずくんって小学4年生だよね?」

「うん!塾で習うんだ!」

せんじて飲ませてえな・・」
叔母は小さな声で呟いた。

「何を?」

「ううん、何でもない。ほら!もうすぐ島に着くよ!」
自分の言葉をなかった事にした叔母は、船から島を指差した。

「うわぁ~!すごいや!」
ボクは心の底からそう思った。

そこには広大な海の中にズッシリとたたずむ島の光景が広がっていた。
島には広大な山々が広がり、入江には細々とした集落のようなものが見える。

ボクはこの夏休みにとんでもない大冒険をする予感がして、ワクワクが止まらなかった。


「とーちゃーく!」
先に船から降りた叔母は、ボクが降りるのを催促している。

ボクはジャンプして船から降り、その未開の大地に両足を同時に着けた。

燦々さんさんと照りつける太陽、海からは爽やかな風、踊る様に揺れ動く木々...

ボクの夏休みは、ここから始まったーー
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