ー竜の民ー 

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帰還

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俺たちは天空の島々へ帰った。
かなり兵士が減ってしまった。大事な仲間を失った。
しかし、彼らの分まで俺たちは戦って、勝ったのだ。
これで平和を取り戻せる。それは最高の戦果であった。

しばらくの休暇が与えられることになった。

俺たちは本部へ戻った。

「なんか、ここも寂しくなっちまったな…」

「そうだな…」

「でも、皆の敵は討てたよね!」

「あぁ、俺たちはやってやったぜ!」

「彼らもきっと、良くやったって褒めてくれるよ。」

「そうだな!」

俺は久しぶりに家に帰ることにした。

「ただいま。」

「おかえりなさい!良く帰ってきてくれたね!」
お母さんは泣きながら駆け寄ってきた。

「うん、心配かけてごめん。」

「お父さんも帰って来てるから、皆でご飯にしましょ!」

皆でテーブルについた。
久しぶりの我が家はやっぱり落ち着く。

「レイン。立派になったな。」

「ありがとう…」

いつもこうだ。帰ってくると必ず褒められるから照れ臭くてもう、まいっちゃうよ…

俺は家族との大事な時間を過ごし、その時だけは戦いの記憶を忘れられた。

ー夜ー

ベッドに入るがなかなか寝られない。
凄く疲れているはずなのに…

手が震える…

俺は人を殺した罪悪感と戦っていた。

仕方なかったとはいえ、人を殺し、自分が残酷な言葉をぶつけたことを悔やんだ。

その気持ちをどうにかかき消すように俺は布団に潜って息を止めた。

「プッ…ハァハァハァハァ…」

酸欠で頭がボーッとする。
俺は何度もそれを繰り返し、現実を忘れ去ろうとした。

やがて、疲れ果てて俺は眠った。

次の日、家にサニーが尋ねてきた。

「どうしたの?珍しいね」

「二人で、ご飯でも食べに行かない?」

「あぁ、…いいよ」

(二人で…?)

一緒に歩いて喫茶店へ向かったが、なんだか緊張して喋れなかった。

喫茶店について向かい合わせに座った。

(二人だけってこと今まで無かったからな…何話せばいいんだろ…)

「あの…」
先に口を開いたのはサニーだった。

「この前は、助けてくれてありがとう!」

「当然だよ、仲間なんだから」

「うん…」
何か言いたそうだったがよくわからなかった。

「あの時、盾を発射してくれてなかったら今頃私死んでたね…」

「どうだろう、サニーは強いから大丈夫だったかも」

「……」
黙ってしまった。

「あんなダサい助け方で良かったのかな?」

「いや…かっこよかったよ!」

「そ、そう?」

「うん!」

「なら良いんだけど…そうだ、何か頼もうよ、何がいい?」

「オムライスでいいかな?」

「じゃあ、俺はピザトーストで。」

「いっつもトーストじゃん」

「おぉ、良く知ってるね」

「当たり前だよ…」

「え?そうなの?」

「隊の皆知ってるよ!」
サニーはやけに元気に言った。

なんだか会話が弾んできて、結構楽しかった。

サニーよりだいぶ俺の方が早く食べ終わっちゃったな…

五分くらいして二人とも食べ終わった。

「ずいぶん綺麗にたべるんだな…」

「レインが汚なすぎるんだよ」

確かに俺の食器にはトーストのカスが一杯だ。というかテーブルまでカスだらけ…

「綺麗に食べなきゃダメだよ」

「ハイハイ。」

店を出た。

「じゃあ、俺用事あるから、またね!」

「うん…またね!」

楽しい一日になったな。

ヴィルゴが目の前に飛び出してきた。
「うわぁ!」

俺は思わず腰を抜かす。

「なぁ、お前ら付き合ってんの?」

「ち、違うよ!」

「嘘つけよ…怪しい臭いがプンプンするぜ…」

「本当だってば…」

「そうかい、そうかい、いいなー ブツブツ」
ヴィルゴは去っていった。

「な、なんなんだよいきなり…」

まぁいいか、ずっとこんな平和なら良いのにな

俺は皆のおかげで、少しずつ元気を取り戻していた。
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