ー竜の民ー 

assult

文字の大きさ
上 下
23 / 40

決着

しおりを挟む
陸上部隊が動き出したのが見えた。
(あとは頼んだぞ!)

すると突然要塞の中から竜の民の飛行隊が出てきたのだ。

「警戒しろ!」

竜の民の飛行隊は小型の竜にのり、銃を構えて突っ込んできた。
対空砲がやられた今、飛行隊を倒せるのは飛行隊のみと言うわけか。

カチッ
銃口がサニーの方を向く。
サニーは別の奴に気をとられて気づいていない。

(助けなければ!)

しかし、距離がある。

(以前やったように…俺にしか使えないこの魔法で、サニーを助ける!)

ビュン!

クルクルクルクル、パァン!

盾が回転しながら飛んでいき、上手く敵の攻撃と相殺された。

「ありがとう、レイン…」

「まさか、お前のそれが人を救う時が来るとはな…」
ヴィルゴが驚く。俺自身もだ。

「いくぞ!」

「背後を取られるな!」

竜の民とのドッグファイトは、なかなかの激戦だった。敵の銃弾とこちらの魔法が飛び交ったが、こちらの方が経験が上で、竜よりも鳥の方が速かった。

空中戦はスピードと旋回能力がものを言う。
竜の民の飛行隊は結果全滅した。

「空中戦で俺たちに勝とうなんて100年早いんだよ!」

陸上部隊の砲撃が始まった。

三国協同開発の新兵器「魔導大砲」の威力は凄まじい。射程距離は短いのだが。

大砲を近づけまいと竜の民は城壁の上で射撃を行うが、それを俺たち飛行隊が上空から撃ち抜いた。

陸上部隊の一斉攻撃で城壁が崩れ落ちた。

「突撃‼」
陸上部隊隊長の声が響きわたる。

陸上部隊が要塞に侵入していった。

銃声が響きわたるが、きっとこちらの勝ちだろう。

そして俺は陸上部隊が突撃したのとは反対側の城壁から一人の敵兵がとび出して来るのを見た。気づいたのは俺だけだ。

遠くへ逃げようと走っていく。

俺は全速力で降下して、そいつに体当たりした。

「グワッ!」
そいつは地面を転がって倒れた。

俺は鳥から下りて走った。

そして俺はそいつに股がり喉元に刀を突きつけた。

俺は怒りと正義の心で一杯だ。

「お前がここの防衛隊長か?」
 
「………」

「答えろっつってんだろうが‼」

「ソウダ…」
訛ってはいるが言葉は通じるようだ。

「名前は?」

「ドラコ…」

「ナゼ、貴様等ハ私達ヲ襲ウ…」

「なぜ?てめぇらが俺たちの街を襲ったからだろうが‼」

「違ウ…貴様等ハ間違ッテイル…」
「頼ム…助ケテクレ…」

「今さら命乞いか、情けない奴め。」
喉元に刀を当てる。

「ヤメテクレ…」

「俺たちはな、てめぇらのせいで仲間を沢山失ったんだ。悪いが、お前には死んでもらう。」

「じゃあな。」

グサッ…

要塞も陥落したようだ。

俺たちは遂に勝った…

俺たちは正義感に充ち溢れていた。
「正義は勝つんだ。」

手に残る、人を刺した嫌な感覚をはねのけて、俺は勝利の喜びに浸った。

周りの兵士も安心した表情をしている。

『勝ったぞぉぉお‼』
司令が珍しく大声を出す。それに続いて兵士たちも歓声をあげた。

今までの残酷な戦いの記憶をはねのけるように、兵士たちは必死に喜んだ。

死体の散らばる戦場を俺たちはゆっくりと去っていった。

奴らに地獄を見せてやった。
正義の心が悪をくじいた瞬間であった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 15歳になった男子は、冒険者になる。それが当たり前の世界。だがクテュールは、冒険者になるつもりはなかった。男だけど裁縫が好きで、道具屋とかに勤めたいと思っていた。 クテュールは、15歳になる前日に、幼馴染のエジンに稽古すると連れ出され殺されかけた!いや、偶然魔物の上に落ち助かったのだ!それが『レッドアイの森』のボス、キュイだった!

蛮族女王の娘 第2部【共和国編】

枕崎 純之助
ファンタジー
女戦士ばかりの蛮族ダニア。 その女王ブリジットの娘として生まれたプリシラ。 外出先の街で彼女がほんのイタズラ心で弟のエミルを連れ出したことが全ての始まりだった。 2人は悪漢にさらわれ、紆余曲折を経て追われる身となったのだ。 追ってくるのは若干16歳にして王国軍の将軍となったチェルシー。 同じダニアの女王の系譜であるチェルシーとの激しい戦いの結果、プリシラは弟のエミルを連れ去られてしまう。 女王である母と合流した失意のプリシラは、エミル奪還作戦の捜索隊に参加するべく名乗りを上げるのだった。 蛮族女王の娘が繰り広げる次世代の物語。 大河ファンタジー第二幕。 若さゆえの未熟さに苦しみながらも、多くの人との出会いを経て成長していく少女と少年の行く末やいかに……。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...