ー竜の民ー 

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日帰りザギート旅行

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最近は、竜の侵攻がないからとても平和だ。

襲ってくる竜は、この前の火竜だけだったのかも。

「なぁ皆、せっかくザギートへ行けるようになったんだ、今度行ってみね?」

「そうだねヴィルゴ、僕も一回行ってみたかった。」
トリアンも賛同する。

「よし、明日の朝9時、飛行場で集合な。今居ない奴には俺から声をかけておく。」

「ありがとう、助かるよ」

ー翌日ー

「よし、全員揃ったな。」
ヴィルゴがメンバーを確認する。

「レティが居ないよ?」
フォルナが心配そうに聞く。

「誘ってはみたんだがよ、無言で首を横に振りやがってな、だから今日は来ねぇ。」

「嫌われてるんじゃない?」

「それは酷いよ、レイン」
トリアンに怒られた。

「ごめん、冗談だよ」

「しかしさ、レティていつも喋らないし、こういう時にも来てくれないんだね」
シャルドが不満そうだ。

「きっと用事でもあるんだよ、さ、そろそろ行こ!」

「そうだねサニー」
皆鳥に乗る

ー30分後ー

「やっぱ遠いな。」

「でも、竜を倒しに来たときよりは、近く感じたよ。」

「街も少しずつ復興してきたって感じだね。」
グレイが嬉しそうに言う。

ザギートの飛行場に着いた。
ザギートの警備兵が近づいてくる。

「入国するには、400ベル支払って戴きます。」

「ゲッ、同盟国だっつうのに金とんのかよ!」

「まぁまぁ、復興の為の寄付だと思ってさ、快く払っとこ。」

(サニーは常にポジティブだな)

「確かに、ケチな国民性だと思われても困るしね」
グレイが真っ先に金を渡す。

「さ、皆早く行こうぜ‼」
ヴィルゴが走り出す。

「ちょっ、待ってよ!」
(ヴィルゴ足速すぎ…)

「凄い面白い街だね!」

「あちこちに近代的な機械があるし、未来の世界に来たかんじだよ。」

雰囲気はそう、“スチームパンク”だ。

「なんか面白い物買ってこうぜ!」

俺たちは庶民的な雰囲気の雑貨屋に入った。

「見てよこれ…どれもこれも機械的だ…」
シャルドは真面目そうな顔をしているが、恐らく内心とても興奮している。

鉛筆は上にボタンがついてて、押すと黒鉛の芯がでてくる。シャープペンシルっていうそうだ。

時計もアクイラの物とは違う。設定した時間になると鈴が鳴るらしい。
(これがあればランサーさんに怒られることもなくなるだろうな…)

一つ購入。

次は食器を見に行った。

「全然デザインが違うんだね…」

「なんかすげぇシンプルだな。」

「僕はこういうの結構好き。」

「トリアンは、美的センスがなかなかだからな!」

「それ良い意味で言ってる?」

「グ~~~」

「ん?今誰かおなか鳴らした?」
俺は確実に聞いたぞ…

「私は違うよ」

「本当かフォルナ、何も隠すことじゃないんだぜ…」

「からまないでよヴィルゴくん。」

「ハハハ、さぁ、早く食べに行こ!」

(まさかサニー、お前………?)

俺たちはザギートの国民食である“鳥鍋”を食べてみることにした。

『ゴクッ……』
全員の顔がこわばる。

「なぁ…これってよ、…ロックバードの肉だよな…」

「ち、ち、ち、ち、違うんじゃない?…」

「トリアン…びび、びびりすぎだよ。ハハハ…ハハ…」

「誰から食べる?…」

全員が俺の顔を見る。

「なんで…俺…?」

「なぁレイン、こういう時はな、お前からってルールなんだよ。俺たちも、かわってやりたいんだけどよ…すまねぇ。それは出来ないことになってる。辛い立場だろうが、頼む。耐えてくれ。」

「何わけわかんないこと言ってんだよ…ヴィルゴ…」

「いいから食え‼」

「フゴッ‼」
口に無理矢理入れられた…

「…………、旨い……。」
俺はすっかり涙目だ。

「本当だ、美味しい!」
サニーは全然平気そうだ…

「レイン。良くやった。見直したぜ…」

こんなに辛い食事は始めてだ……グスッ

「前まで飛行隊が作れない程鳥が不足していたのに、今ではご飯なんだね…」

「これも、三国同盟のお陰だね。」

俺たちは何とか鳥鍋を食べきった。


「なぁ、高級店に行ってみようぜ。」

「それは良いね!」

俺たちは歩き出した。

「ザギートの人たちは、僕たちのこと嫌うんじゃないかと心配だったけどさ、皆普通に親切だよね。」

「憎みあっていたのは政府だけ。なのに、被害を受けるのは国民。世の中、そんなもんだよね…」
シャルドはいつもネガティブだ。

「着いたぜ…」

『オォォ…』
外観からすでにゴージャスだ。

「入場料とか、かからないよね…」

「まさかね…」

俺たちは勇気を出して入ってみた。

大丈夫。入場料は取られなかった。

「あ!アレ写真機じゃない?」

「本当だ!この前は遠くからしか見えなかったけど、近くで見ると大きくて立派だ。」

「ん?あそこに居るのクラウドさんじゃない?」
フォルナは相変わらず目がいいな…

「写真機を…買ったぞ‼」

「えぇぇぇえ‼」

「おい…アレいくらすると思ってんだ…?150000ベルだぞ…」

「し、しかも、一括払いだ‼」

「さすがアクイラ一の生物学者は格が違うぜ…」

俺たちはなんだかクラウドさんが怖くなって、逃げるように店を出た。

「さ、もう夕方だし、帰ろっか。」

「そうだね。」


今日はとても楽しい一日だった。仲間って良いな。

「また今度、皆でどこかに遊びにいこうよ!」

『おう!』

俺たちは、夕焼けの空をゆっくりと飛んで、家路についた。
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