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鳥籠は開けておくから
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イオは知らない。
自分が周囲の人、特に同性にどう見られているかや、そのことで俺がずっと腹の内に抱えている、ドス黒い感情を。
イオは子どもの頃から色が白くて、小作りな顔はお人形さんみたいで、黙ってるとツンとしてるようにも見えるけど、笑うと小さな花がほころぶみたいに可憐に周りを明るくしてくれる子だった。
成長と共に手足が伸びて、モデルになれるくらい等身は高くなったけど、顔の作りはあまり変わらないまま。黙っているとクールビューティ、って感じのイオが笑うと、元々そういう嗜好がない人でもハッと息を呑んで、戸惑ったようにイオを見る。そういう瞬間を隣で何度も見てきた。
イオは知らない。自分がそこにいるだけで人を惹きつけ、時に狂わせることを。でもそんなことは知らなくていいと思う。不埒な目や手からは傍にいる俺が守るから、のびやかに、イオらしく、しあわせでいてほしい。
今でも、心からそう思っているのに。
昨日の夜、試合が終わってすぐにイオの部屋に来て、夜を一緒に過ごした。
ベッドの中でうとうとしかけたイオの髪を撫でながら「明日は?」と訊くと「さつえーはない、けどてんじかい……いかないと」とふにゃふにゃ言うので俺はオフだけど一緒にいられるのはその時間までかな、と考えて「そっか」と小さな額に触れる。
「新作の?楽しみだね。夜から?」
「昼から……めんどくさい……ごうといたい」
なんてかわいい言葉にちょっと吹き出しながら考えを改める。昼からなら夕方には帰って来るかもしれないから、その間はジムでも行って、またここに戻ってきてもいいかもしれない。
「待ってるから、頑張って行っておいで」
「いいの?」
眠そうでほとんど閉じられていた瞼がぱっちりと開いて、だらしなく頬を緩めた自分が映った。
「うん。だからもうお休み」
額を二撫でほどすると、また薄い瞼が閉じて桃色の唇からすう、という寝息が聴こえ始めた。いっぱいしちゃったもんね、疲れたよね。そう思いながら、俺も愛しい寝息に耳を澄ませながら隣で目を閉じた。
朝、ふだんほとんど使われてないっぽいキッチンを使って作ったちょっと遅めの朝食(イオは朝はそんな入んないからシリアルとスクランブルエッグとサラダといちご、俺はそれの倍の量プラス食パン)をふたりで食べて、支度するというイオをリビングでぼんやり旅番組なんかを見ながら待った。どんなカッコで行くのかな、毎年海外のショーにも出てるモデルのイオが呼ばれる展示会はプレスも入ってる結構大きめのやつが多い。俺は部屋着とか普段着(普段着って言っても充分オシャレだと思うけど)のイオを見ることが多いけど、カッコよくキめたモデルのイオを見るのも好きだ。イオがどんな姿を見せてくれるのか楽しみで、破格の値段で泊まれる秘湯の旅、を紹介しているテレビの内容にはさっきからあんまり集中できてはいない。ああでも、イオと温泉なんかも行ってみたいな、のぼせやすいからあんまり長湯できる子じゃないけど。なんて思いながらドアが開く音にパッと振り返った。
「……その格好で行くの?」
さっきまでのわくわく華やいだ気持ちが落ちるのを音にしたみたいな、低い声が出た。
イオは「え……」と戸惑うような声を出して眉を上げ、「どしたのごう」と首を傾げる。
幾何学模様が施された透け感のある黒いシアーシャツに、白い太腿を曝け出した黒いパンツ、に黒いハット。黒で統一された格好でも、素材が薄く肌見せが多いので重さはない。多分玄関にあった黒いブーツを合わせるんだろう。見慣れない靴だな、と思ったけどこのためだったのか、と考えて、一瞬でそれが誰のブランドのものが分かってしまった。
「今日、ケイさんの?」
「……やっぱわかった?」
「分かるでしょ、何で言わないの」
別に言われたからってどうするわけでもないし、何もできないけど。仕事に口を挟む気はないし、展示会にそのブランドの服を着ていくのは当然のことだ。だけどイオの身体にぴったりと馴染んで逆にその白さを際立たせるようなこのスタイリングも、きっとあの人に宛がわれたんだろう、と思うとお腹に重たいものが募って行くのを感じた。
「パンツ、短いね」
どうしても、男とは思えないほっそりして真っ直ぐ伸びた太腿に目が行ってしまう。そのしなやかさもしっとりとした肌の感触も、触れてなくても伝わるのではないかと思って、ケイさんがどうのじゃなくてもこの格好で外に出すのが心配になってしまう。
俺の視線を受けて、イオは「ケイはおれの身体なんて見慣れてるよ?」と的外れなことを言った。賢くて人の機微に敏感な子なのに、俺相手だとどうしてこんなふうに無自覚に煽るかな。それが恋愛に、こと俺との関係にまだ慣れていないイオの初心さの証だと分かっていても、苛立つ気持ちは消化されない。
「へぇ、慣れてるんだ」
「や、そういう意味じゃなくて……」
分かってる。デザイナーとモデル。服を作るために、そして作った服を最高の状態で魅せるために、イオの身体に触れたことだってあるだろう。ふと、あの画像が頭をよぎった。俺とこうなる前、ヒロに見せられた週刊誌の写真。慈しむようにそっと抱き寄せる、黒い服で身を包んだ男と、嘘みたいに大人しく腕に囲われているイオ。あれは完全にデザイナーじゃなくて男として、イオに触れてたよな。
「分かってるよ」
立ち上がって、イオに近付き腕を回す。イオは一瞬少しだけ身体を固くしたけど、俺が抱き締めると安心したように力を抜く。
ゆっくりと背中を手で撫でると、滑らかなシャツ越しに感じるイオの体温が俺をあやすみたいに心のこわばりを溶かした。
「ごめん、めんどくさいこと言って」
「思春期の娘を叱るパパみたいだったね、ごう」
いつもの調子を取り戻したイオの言葉に「パパって……」と苦笑する。
「大丈夫、ちゃんと帰ってくるからいい子で待ってて」
そう言って逆に頭を撫でられて、「ん……」華奢な肩に鼻を押し付けてグリグリするとイオは「くすぐったいよ」と風鈴が鳴るみたいな笑い声を立てた。
「今日、やっぱ迎えに行っていい?」
玄関に立つイオを見て、思わず口に出た言葉にイオが苦笑する。色の白さもだけど線の細い身体を強調するようなコーディネートは、いざ別れの時(大袈裟だよとイオは言うだろうけど)となると余計に不安を煽った。
「プレスいっぱい来るよ?」
「会場からちょっと離れたトコに車停めるから」
イオに訊いた会場周辺の道を頭に浮かべながら言う。ていうか兄弟なんだからべつに迎えに来たとこ見られてたっていいでしょ、ってしつこく粘る俺の唇に、背伸びしたイオのが軽く触れる。少しひんやりした、やわらかな感触。イオからキスされるなんてレアすぎて、一瞬何が起こったか分からなかった。
「え……イオ?」
「じゃあ……迎えに来て?」
待ってるね、ってやわらかい声と華やかなリップの香りを残して、イオは俺に背を向けた。白いうなじがみるみる赤くなっていくのを見届けて、俺は「気を付けてね」と自分でもちょっと甘すぎるな、と思うような声をかける。
「お帰り」
「ただいま、ごめんね待たせて。疲れた~~」
助手席に猫みたいに身体を滑り込ませて、ちょっとリクライニングを倒しながらイオは伸びをする。
結局落ち着かなくてジムから直接迎えに来てしまった。一時間くらい待ったけど、そんなことは助手席で寛ぐイオを見ていたら吹っ飛んでしまう。
白い脚は朝と変わらず、いや夜になったせいか狭い個室で見ているせいか朝よりちょっと艶めかしさを醸し出しつつ、すぐ手の届く場所にある。
「やっぱ気になる?」
イオの声に、自分がそれを横目でガン見してたことがわかって、頭を掻いた。
「まぁ……」
「脚フェチだったんだね、ごう。触る?」
揶揄うような声に、「今触ったら事故る」と憮然と答える。
「そこまでかよ」
「脚フェチっていうか、イオの脚が好きなの」
「……」
「イオのしか好きじゃない」
「そ……」
「イオが好き。だからイオの脚も好き」
「わかった、もうわかったから」
代わりに軽く手を握って、「家に帰っていっぱい触っていい?」と自分でも笑ってしまうくらいに熱のこもった声で訊くと、「……いーよ。いっぱい……さわって?」と恥ずかしそうに言われた。だから事故るって。
「ケイさんと話した?」
順番にシャワーを浴びて、ベッドの上に座らせた、生まれたままの姿のイオに触れるとき。
なんでこんなタイミングでそんなこと訊くかな、って自分でも思うけど、イオも思ったみたいで盛大に眉を寄せられた。
「なにを」
「服のこととか」
「そりゃ……話したけど」
「うっとりしてたでしょ、あの人」
自分の作った服を着せて、思い通りにイオを彩る。きっとそれは彼にとって一番興奮することなんじゃないだろうか。初めて会った時のイオを見る陶然とした眼差しとか、ここのエントランスでイオに触れようとしていたこととか、今でも感じたことがないくらいイライラしてしまうけど、気持ちは分かる、気はする。
顔も身体も、その中身まで、多分こんなにキレイな子はいないから。
そっと頬に触れると、少しだけ泳いだ目が、乞うように俺を見る。〝いいからキスして〟って。
もちろん俺も早くイオに触れたい、けど。
「なんて言ってた?」
ふぅ……とため息を吐いて観念したように「あと2ミリ短くしてもいいな」って。訊くんじゃなかった。愚かにも思う。頭の中に、跪いてマジマジとイオの脚を、いや見てるのは服なんだろうけど――を見つめるケイさんが浮かぶ。
「触られた?」
さっき訊くんじゃなかったと思ったはずなのに、口は勝手に動いていた。手も。やっぱりしっとりとした触感のイオの太ももが、俺の掌の下でぴくりと動く。
「パンツの……裾のとこだけ……」
「そっか」
もぉいいでしょ、ってイオの唇が動く前に塞いだ。控えめに差し出された舌に自分のを絡めて、吸って、それだけでイオの目には透明の膜が張る。
「……いっぱい触らせてもらうね」
確かに、職業上人に見られない、触られないなんて無理だ。向けられる視線の種類を選ぶことも、制御することも。生まれた姿でここにいる、こんなイオだけは一生誰にも見せたくないし、触わるのは俺だけがいい。俺の情念みたいな独占欲を感じ取ったように、唇から甘い声を漏らしてイオの身体が小さく震えた。
「や……っ、ぁも……そこばっか……」
「いっぱい触ってもいい、って言ったよね?」
「……ったけどぉ……んぁっ!」
もう、結構な時間イオの太ももを撫で、舌を這わせ、時々痕の残らない程度に吸う、ということを繰り返している。弱々しく閉じようとする太ももを開いて内腿を軽く甘噛みすると、高い声が閉じられない唇から溢れて下半身に熱が積み上がっていく。イオのやわい、しっとりした肌はいつまでも口に含んでいたいと思えるそれで、自分でも変態みたいだな、と呆れるけどやめられない。
「ひゃ……っ、ご……ぉ、おねが……」
イオの中心は触れらないまま勃ち上がりトロトロと透明の先走りを零して、それが鼠蹊部に垂れてく様子が脚を開いたせいで丸見えで。その奥の桃色の蕾は、先走りが垂れる感触すら刺激になるのか、ヒク、ヒクと控えめに収縮している。
目に毒な様相を示すそれから気を逸らすように、片方の足首を掴んで足裏にも舌を這わす。足指の先のまるい爪も、指と指の間も、足の甲も裏も、どこに触れたって嘘みたいに滑らかで夢中になって舐めていると、「ばっ、どこなめ……っきたな……」信じられないものを目にしたような顔でイオが小さく叫ぶ。
「キレイだよ、イオは全部」
ほっそりとした足首に軽く歯を当てると、控えめな腹筋が震えるのが見えた。
「ココも、感じる?」
「かんじ、ない……んなとこ……っ」
「そう?でもココびしょびしょ」
「……っ!!」
ふくらはぎ、膝裏まで舌で辿りながら、ずっと触ってなかったイオ自身に手を伸ばして軽く指で先端に触れると、とぷ、と今度は白いモノが混じった液が指を濡らした。
「甘イキしちゃった?」
言いながら舌を滑らせて、やわい内腿まで帰ってくると、さっき控えめに蠢いていたところはより濡れて、物欲しげに俺を誘う。
昨日も散々這入って、突いて、味わい尽くしたところだけど、もう欲しくなってる自分に苦笑する。
「う゛~~、ごぉのばか……っんぁ、へんた……っ」
「それは否定できないね」
「ひらきなおんな……っ、ああっ」
「でもそれは半分イオのせいでもあるからね?」
責任転嫁をしながら軽く指を含ませると、ソコは熱く、充分に湿っていた。
「すご……ココ、きゅうきゅう吸い付いてくる……」
「も……いれて、よぉ……」
半泣きになったイオに、胸が痛まないでもないけど。今日イオが浴びた視線と、向けられた情欲を思うと、まだ触れたりないような気がする。
掌に垂らしたローションをイオの太腿につけると、今度は脚を閉じさせるようにして硬くなった自身を挟むようにして擦り付けた。
「もうちょっとだけ、ごめん」
「ぁあっ!んぁっ……っ、ごぉ……これ……」
「あぁ……柔らかくてヤバい……」
素股、っていうやつだろうか。俺も初めてやったけど、イオも当然初めてされたみたいで(初めてじゃなかったら大問題だ)、その独特の感触に戸惑うように眉を寄せて喘いでいる。自身に触れるもっちりとした肌の感触も当然だけど、その表情も相当ヤバい。うっかりイかないように気を付けながら、時折イオのと擦り合わせたり先端を入り口に含ませるようにして動くと、熱い内壁が強請るみたいに吸い付いてきて頭がくらくらした。
「えっちだね……イオの脚も……顔も……全部……」
「んぁっ、あぁっ、だめ……っ、イ……っ」
「どうしよう……誰にも見せたくない」
思わず零れた言葉の意味をイオの頭が理解するより前に、太腿につけたローションでぬるぬるに濡れた欲望を熱い粘膜の中にぐ、と押し込んでしまった。
「うぁっ………っ!!」
昨日の行為とお風呂で軽く準備をしてくれていたこともあってそこは抵抗なく俺を受け入れてしまった。絡みつく生の肉の感触に俺が光悦の息を吐くと同時に、イオは身体を痙攣させて触られないまま欲望を吐き出す。
「挿れただけでイっちゃった?」
「ぁ、う……っぁ………」
開いた唇と呆然と天上を見つめる目は、今は俺の言葉を上手く理解できてないみたいで、可愛そうだけどそれ以上に支配欲を煽られる。
「焦らしちゃったもんね……ごめんね、でも俺も限界」
「やぁ……っ、ちょ……まっ」
静止の言葉を聞くことができなくて、ごめん、と思いながらガツガツと貪るように腰を打ち付ける。
イったばかりでまだ痙攣が収まらないナカが、いっそう熱くどろりと溶けて、奥を突いても引き抜こうとしても健気に俺に纏わりついてくるのが堪らない。
ゴムを着けないと、と頭では思うのに、直接感じるイオの胎内の心地よさに、バカになったみたいに腰が止まらない。
「や、っ、あぁ……、っだめ……ぇ、ヘンになっ……」
「いいよ、全部見せて」
熱い息とともに言って太腿にキスすると、イオはふるふると首を振る。
「や……みないでぇ………やだ、ごぉ……」
俺だって自分の命より大事な、大好きな相手が嫌がることはしたくない。だけどイオが俺が与える快楽で〝ヘン〟になるところなんて、絶対に目に焼き付けたい。相反する感情を天秤にかけたら、あっさりと片方に傾いて、俺は一度ぎゅ、と目を閉じてから俺の下で喘ぐイオに視線を落とした。
「見せて」
「やぁ……っ、きらわれたくな……っ」
「いいから見せな、ヘンになるとこ」
見当違いなイオの言葉に、まったく余裕がなくて冷たく響いた声に焦る間もなく、イオが言葉にならない悲鳴を発して「ーー~~ぁ、でちゃ……っ」と揺さぶられながら前を押さえた。その白い、傷一つない指の隙間から、ぷしゃ、ぷしゃ、と俺が突くたびに透明の液が出るのが見えた。
「潮、噴いちゃった?……かわいい、イオ」
「ぁっ、や……なに……?わかんな……っ」
「大丈夫だよ、手、外して。もっと見たい」
力の入らない手を強引に外して、コツコツと奥をノックしながらさっきイったせいで柔らかく身を擡げた性器から透明の液が噴き出るのを眺める。真っ赤になった肌、濡れた睫毛に開きっぱなしのプルプルの唇に乱れた髪。欲に濡れた細い腰に俺を咥え込んで、引き抜こうとすると乱らに纏わりついてくるピンク色の粘膜。
この全部を、俺だけの記憶に永久保存したい。ああ忘れたくないなぁ、忘れるわけないけど、どうしたって記憶の中の映像は朧気になってしまうから……って思いながら、「ココ、入っていい?」と跳ねる腰を掴む。
精液でもおしっこでもない体液を噴き出す未知の快感に混乱しているイオは、もう何が何だかよく分かってない感じで、ただ俺の声に反応して甘えるように俺の首に腕を回した。
「きて……ぇ、ごぉ……」
「……っ、捕まってて」
綻び始めた最奥に、腹筋に力を入れてぐ、と自身を押し込むと、腹筋をびしゃ、と濡らす感触がして、俺の下でイオが言葉もなく何度も大きく痙攣する。
「すご……ダメだ出る……っ……」
「ーー~~っ゛!!ぁ、また……っ」
無意識なのか何なのか、このままナカで出すのはまずいと引こうとした腰の動きをイオの長い脚が封じて、密着したままこれ以上ないくらい最奥にドク、ドク、と欲を吐き出してしまった。
「うぁ……っぁ゛……っ」
イオは出される感覚でも小さくイってるみたいで、きゅうきゅうとキツク搾られるような感覚に出しながらまた芯が宿っていくのを感じた。甘く、痛いほどの欲望を身体の中心に感じて、俺はまた腰を使い始める。
「え……なん、………っぁ……」
「ごめ……イオ、まだ欲しい……っ」
甘い唾液で濡れた唇を貪ったあと身体を起こし、太腿をしっかりと抱えて、また動き出す。抱え直したときに俺の情念を表すみたいに柔らかな肌に紅く手の痕がついているのが見えたけど、この胸に湧いたのは罪悪感ではなく驚くほどの満足感だった。
「なめすぎ、だしすぎ……」
「ごめんなさい……」
ビショビショになったシーツを外し、ベッドに沈むイオの身体をキレイにして、ようやく隣に寝転ぶ。つるりとした桃みたいなお尻も眩しい脚も、後処理しているときは無心で接してたけど、終わった後あんまり見てるとまた変なスイッチが入りそうで、布団をかけた。結局あの後体勢を変えて二回も出してしまい、さんざん舐めて齧って触れた脚にはイオが持ってる美容クリームをたっぷり塗った。「それ高いんだけど……」って恨めしそうな声には「また買ってあげるから」と返しつつ。
「まんぞくした……?」
枕に突っ伏してそう訊くイオの顔は見えない。でもくぐもった声は微かに震えて、耳も赤くなってるから、きっと緊張してるんだろうなと思うと心の底から愛おしさがこみ上げる。
「満足、することはないよね」
「…………え」
「俺多分いつまでもイオの全部が欲しいし、ホントは独占したいもん」
だからちょっとくらいのやきもちは許してね、ってわざと軽く言って耳にキスすると、「ちょっと、じゃないだろ……」ってぶつくさ言いながらイオがごろんと転がってかわいい顔を見せてくれた。
「……ゆるす」
「やった」
「ごぉにだけだよ」
「ん。知ってる。ありがとう」
回された腕に引き寄せられるように満足げに弧を描く唇にキスを落として、「短パンはほどほどにしてね」と言うと「今はショートパンツって言うんだよ、パパ」と可愛くないことを言われたのでもう一度、今度は生意気な舌を捉えて息が上がるほどキスをした。
自分が周囲の人、特に同性にどう見られているかや、そのことで俺がずっと腹の内に抱えている、ドス黒い感情を。
イオは子どもの頃から色が白くて、小作りな顔はお人形さんみたいで、黙ってるとツンとしてるようにも見えるけど、笑うと小さな花がほころぶみたいに可憐に周りを明るくしてくれる子だった。
成長と共に手足が伸びて、モデルになれるくらい等身は高くなったけど、顔の作りはあまり変わらないまま。黙っているとクールビューティ、って感じのイオが笑うと、元々そういう嗜好がない人でもハッと息を呑んで、戸惑ったようにイオを見る。そういう瞬間を隣で何度も見てきた。
イオは知らない。自分がそこにいるだけで人を惹きつけ、時に狂わせることを。でもそんなことは知らなくていいと思う。不埒な目や手からは傍にいる俺が守るから、のびやかに、イオらしく、しあわせでいてほしい。
今でも、心からそう思っているのに。
昨日の夜、試合が終わってすぐにイオの部屋に来て、夜を一緒に過ごした。
ベッドの中でうとうとしかけたイオの髪を撫でながら「明日は?」と訊くと「さつえーはない、けどてんじかい……いかないと」とふにゃふにゃ言うので俺はオフだけど一緒にいられるのはその時間までかな、と考えて「そっか」と小さな額に触れる。
「新作の?楽しみだね。夜から?」
「昼から……めんどくさい……ごうといたい」
なんてかわいい言葉にちょっと吹き出しながら考えを改める。昼からなら夕方には帰って来るかもしれないから、その間はジムでも行って、またここに戻ってきてもいいかもしれない。
「待ってるから、頑張って行っておいで」
「いいの?」
眠そうでほとんど閉じられていた瞼がぱっちりと開いて、だらしなく頬を緩めた自分が映った。
「うん。だからもうお休み」
額を二撫でほどすると、また薄い瞼が閉じて桃色の唇からすう、という寝息が聴こえ始めた。いっぱいしちゃったもんね、疲れたよね。そう思いながら、俺も愛しい寝息に耳を澄ませながら隣で目を閉じた。
朝、ふだんほとんど使われてないっぽいキッチンを使って作ったちょっと遅めの朝食(イオは朝はそんな入んないからシリアルとスクランブルエッグとサラダといちご、俺はそれの倍の量プラス食パン)をふたりで食べて、支度するというイオをリビングでぼんやり旅番組なんかを見ながら待った。どんなカッコで行くのかな、毎年海外のショーにも出てるモデルのイオが呼ばれる展示会はプレスも入ってる結構大きめのやつが多い。俺は部屋着とか普段着(普段着って言っても充分オシャレだと思うけど)のイオを見ることが多いけど、カッコよくキめたモデルのイオを見るのも好きだ。イオがどんな姿を見せてくれるのか楽しみで、破格の値段で泊まれる秘湯の旅、を紹介しているテレビの内容にはさっきからあんまり集中できてはいない。ああでも、イオと温泉なんかも行ってみたいな、のぼせやすいからあんまり長湯できる子じゃないけど。なんて思いながらドアが開く音にパッと振り返った。
「……その格好で行くの?」
さっきまでのわくわく華やいだ気持ちが落ちるのを音にしたみたいな、低い声が出た。
イオは「え……」と戸惑うような声を出して眉を上げ、「どしたのごう」と首を傾げる。
幾何学模様が施された透け感のある黒いシアーシャツに、白い太腿を曝け出した黒いパンツ、に黒いハット。黒で統一された格好でも、素材が薄く肌見せが多いので重さはない。多分玄関にあった黒いブーツを合わせるんだろう。見慣れない靴だな、と思ったけどこのためだったのか、と考えて、一瞬でそれが誰のブランドのものが分かってしまった。
「今日、ケイさんの?」
「……やっぱわかった?」
「分かるでしょ、何で言わないの」
別に言われたからってどうするわけでもないし、何もできないけど。仕事に口を挟む気はないし、展示会にそのブランドの服を着ていくのは当然のことだ。だけどイオの身体にぴったりと馴染んで逆にその白さを際立たせるようなこのスタイリングも、きっとあの人に宛がわれたんだろう、と思うとお腹に重たいものが募って行くのを感じた。
「パンツ、短いね」
どうしても、男とは思えないほっそりして真っ直ぐ伸びた太腿に目が行ってしまう。そのしなやかさもしっとりとした肌の感触も、触れてなくても伝わるのではないかと思って、ケイさんがどうのじゃなくてもこの格好で外に出すのが心配になってしまう。
俺の視線を受けて、イオは「ケイはおれの身体なんて見慣れてるよ?」と的外れなことを言った。賢くて人の機微に敏感な子なのに、俺相手だとどうしてこんなふうに無自覚に煽るかな。それが恋愛に、こと俺との関係にまだ慣れていないイオの初心さの証だと分かっていても、苛立つ気持ちは消化されない。
「へぇ、慣れてるんだ」
「や、そういう意味じゃなくて……」
分かってる。デザイナーとモデル。服を作るために、そして作った服を最高の状態で魅せるために、イオの身体に触れたことだってあるだろう。ふと、あの画像が頭をよぎった。俺とこうなる前、ヒロに見せられた週刊誌の写真。慈しむようにそっと抱き寄せる、黒い服で身を包んだ男と、嘘みたいに大人しく腕に囲われているイオ。あれは完全にデザイナーじゃなくて男として、イオに触れてたよな。
「分かってるよ」
立ち上がって、イオに近付き腕を回す。イオは一瞬少しだけ身体を固くしたけど、俺が抱き締めると安心したように力を抜く。
ゆっくりと背中を手で撫でると、滑らかなシャツ越しに感じるイオの体温が俺をあやすみたいに心のこわばりを溶かした。
「ごめん、めんどくさいこと言って」
「思春期の娘を叱るパパみたいだったね、ごう」
いつもの調子を取り戻したイオの言葉に「パパって……」と苦笑する。
「大丈夫、ちゃんと帰ってくるからいい子で待ってて」
そう言って逆に頭を撫でられて、「ん……」華奢な肩に鼻を押し付けてグリグリするとイオは「くすぐったいよ」と風鈴が鳴るみたいな笑い声を立てた。
「今日、やっぱ迎えに行っていい?」
玄関に立つイオを見て、思わず口に出た言葉にイオが苦笑する。色の白さもだけど線の細い身体を強調するようなコーディネートは、いざ別れの時(大袈裟だよとイオは言うだろうけど)となると余計に不安を煽った。
「プレスいっぱい来るよ?」
「会場からちょっと離れたトコに車停めるから」
イオに訊いた会場周辺の道を頭に浮かべながら言う。ていうか兄弟なんだからべつに迎えに来たとこ見られてたっていいでしょ、ってしつこく粘る俺の唇に、背伸びしたイオのが軽く触れる。少しひんやりした、やわらかな感触。イオからキスされるなんてレアすぎて、一瞬何が起こったか分からなかった。
「え……イオ?」
「じゃあ……迎えに来て?」
待ってるね、ってやわらかい声と華やかなリップの香りを残して、イオは俺に背を向けた。白いうなじがみるみる赤くなっていくのを見届けて、俺は「気を付けてね」と自分でもちょっと甘すぎるな、と思うような声をかける。
「お帰り」
「ただいま、ごめんね待たせて。疲れた~~」
助手席に猫みたいに身体を滑り込ませて、ちょっとリクライニングを倒しながらイオは伸びをする。
結局落ち着かなくてジムから直接迎えに来てしまった。一時間くらい待ったけど、そんなことは助手席で寛ぐイオを見ていたら吹っ飛んでしまう。
白い脚は朝と変わらず、いや夜になったせいか狭い個室で見ているせいか朝よりちょっと艶めかしさを醸し出しつつ、すぐ手の届く場所にある。
「やっぱ気になる?」
イオの声に、自分がそれを横目でガン見してたことがわかって、頭を掻いた。
「まぁ……」
「脚フェチだったんだね、ごう。触る?」
揶揄うような声に、「今触ったら事故る」と憮然と答える。
「そこまでかよ」
「脚フェチっていうか、イオの脚が好きなの」
「……」
「イオのしか好きじゃない」
「そ……」
「イオが好き。だからイオの脚も好き」
「わかった、もうわかったから」
代わりに軽く手を握って、「家に帰っていっぱい触っていい?」と自分でも笑ってしまうくらいに熱のこもった声で訊くと、「……いーよ。いっぱい……さわって?」と恥ずかしそうに言われた。だから事故るって。
「ケイさんと話した?」
順番にシャワーを浴びて、ベッドの上に座らせた、生まれたままの姿のイオに触れるとき。
なんでこんなタイミングでそんなこと訊くかな、って自分でも思うけど、イオも思ったみたいで盛大に眉を寄せられた。
「なにを」
「服のこととか」
「そりゃ……話したけど」
「うっとりしてたでしょ、あの人」
自分の作った服を着せて、思い通りにイオを彩る。きっとそれは彼にとって一番興奮することなんじゃないだろうか。初めて会った時のイオを見る陶然とした眼差しとか、ここのエントランスでイオに触れようとしていたこととか、今でも感じたことがないくらいイライラしてしまうけど、気持ちは分かる、気はする。
顔も身体も、その中身まで、多分こんなにキレイな子はいないから。
そっと頬に触れると、少しだけ泳いだ目が、乞うように俺を見る。〝いいからキスして〟って。
もちろん俺も早くイオに触れたい、けど。
「なんて言ってた?」
ふぅ……とため息を吐いて観念したように「あと2ミリ短くしてもいいな」って。訊くんじゃなかった。愚かにも思う。頭の中に、跪いてマジマジとイオの脚を、いや見てるのは服なんだろうけど――を見つめるケイさんが浮かぶ。
「触られた?」
さっき訊くんじゃなかったと思ったはずなのに、口は勝手に動いていた。手も。やっぱりしっとりとした触感のイオの太ももが、俺の掌の下でぴくりと動く。
「パンツの……裾のとこだけ……」
「そっか」
もぉいいでしょ、ってイオの唇が動く前に塞いだ。控えめに差し出された舌に自分のを絡めて、吸って、それだけでイオの目には透明の膜が張る。
「……いっぱい触らせてもらうね」
確かに、職業上人に見られない、触られないなんて無理だ。向けられる視線の種類を選ぶことも、制御することも。生まれた姿でここにいる、こんなイオだけは一生誰にも見せたくないし、触わるのは俺だけがいい。俺の情念みたいな独占欲を感じ取ったように、唇から甘い声を漏らしてイオの身体が小さく震えた。
「や……っ、ぁも……そこばっか……」
「いっぱい触ってもいい、って言ったよね?」
「……ったけどぉ……んぁっ!」
もう、結構な時間イオの太ももを撫で、舌を這わせ、時々痕の残らない程度に吸う、ということを繰り返している。弱々しく閉じようとする太ももを開いて内腿を軽く甘噛みすると、高い声が閉じられない唇から溢れて下半身に熱が積み上がっていく。イオのやわい、しっとりした肌はいつまでも口に含んでいたいと思えるそれで、自分でも変態みたいだな、と呆れるけどやめられない。
「ひゃ……っ、ご……ぉ、おねが……」
イオの中心は触れらないまま勃ち上がりトロトロと透明の先走りを零して、それが鼠蹊部に垂れてく様子が脚を開いたせいで丸見えで。その奥の桃色の蕾は、先走りが垂れる感触すら刺激になるのか、ヒク、ヒクと控えめに収縮している。
目に毒な様相を示すそれから気を逸らすように、片方の足首を掴んで足裏にも舌を這わす。足指の先のまるい爪も、指と指の間も、足の甲も裏も、どこに触れたって嘘みたいに滑らかで夢中になって舐めていると、「ばっ、どこなめ……っきたな……」信じられないものを目にしたような顔でイオが小さく叫ぶ。
「キレイだよ、イオは全部」
ほっそりとした足首に軽く歯を当てると、控えめな腹筋が震えるのが見えた。
「ココも、感じる?」
「かんじ、ない……んなとこ……っ」
「そう?でもココびしょびしょ」
「……っ!!」
ふくらはぎ、膝裏まで舌で辿りながら、ずっと触ってなかったイオ自身に手を伸ばして軽く指で先端に触れると、とぷ、と今度は白いモノが混じった液が指を濡らした。
「甘イキしちゃった?」
言いながら舌を滑らせて、やわい内腿まで帰ってくると、さっき控えめに蠢いていたところはより濡れて、物欲しげに俺を誘う。
昨日も散々這入って、突いて、味わい尽くしたところだけど、もう欲しくなってる自分に苦笑する。
「う゛~~、ごぉのばか……っんぁ、へんた……っ」
「それは否定できないね」
「ひらきなおんな……っ、ああっ」
「でもそれは半分イオのせいでもあるからね?」
責任転嫁をしながら軽く指を含ませると、ソコは熱く、充分に湿っていた。
「すご……ココ、きゅうきゅう吸い付いてくる……」
「も……いれて、よぉ……」
半泣きになったイオに、胸が痛まないでもないけど。今日イオが浴びた視線と、向けられた情欲を思うと、まだ触れたりないような気がする。
掌に垂らしたローションをイオの太腿につけると、今度は脚を閉じさせるようにして硬くなった自身を挟むようにして擦り付けた。
「もうちょっとだけ、ごめん」
「ぁあっ!んぁっ……っ、ごぉ……これ……」
「あぁ……柔らかくてヤバい……」
素股、っていうやつだろうか。俺も初めてやったけど、イオも当然初めてされたみたいで(初めてじゃなかったら大問題だ)、その独特の感触に戸惑うように眉を寄せて喘いでいる。自身に触れるもっちりとした肌の感触も当然だけど、その表情も相当ヤバい。うっかりイかないように気を付けながら、時折イオのと擦り合わせたり先端を入り口に含ませるようにして動くと、熱い内壁が強請るみたいに吸い付いてきて頭がくらくらした。
「えっちだね……イオの脚も……顔も……全部……」
「んぁっ、あぁっ、だめ……っ、イ……っ」
「どうしよう……誰にも見せたくない」
思わず零れた言葉の意味をイオの頭が理解するより前に、太腿につけたローションでぬるぬるに濡れた欲望を熱い粘膜の中にぐ、と押し込んでしまった。
「うぁっ………っ!!」
昨日の行為とお風呂で軽く準備をしてくれていたこともあってそこは抵抗なく俺を受け入れてしまった。絡みつく生の肉の感触に俺が光悦の息を吐くと同時に、イオは身体を痙攣させて触られないまま欲望を吐き出す。
「挿れただけでイっちゃった?」
「ぁ、う……っぁ………」
開いた唇と呆然と天上を見つめる目は、今は俺の言葉を上手く理解できてないみたいで、可愛そうだけどそれ以上に支配欲を煽られる。
「焦らしちゃったもんね……ごめんね、でも俺も限界」
「やぁ……っ、ちょ……まっ」
静止の言葉を聞くことができなくて、ごめん、と思いながらガツガツと貪るように腰を打ち付ける。
イったばかりでまだ痙攣が収まらないナカが、いっそう熱くどろりと溶けて、奥を突いても引き抜こうとしても健気に俺に纏わりついてくるのが堪らない。
ゴムを着けないと、と頭では思うのに、直接感じるイオの胎内の心地よさに、バカになったみたいに腰が止まらない。
「や、っ、あぁ……、っだめ……ぇ、ヘンになっ……」
「いいよ、全部見せて」
熱い息とともに言って太腿にキスすると、イオはふるふると首を振る。
「や……みないでぇ………やだ、ごぉ……」
俺だって自分の命より大事な、大好きな相手が嫌がることはしたくない。だけどイオが俺が与える快楽で〝ヘン〟になるところなんて、絶対に目に焼き付けたい。相反する感情を天秤にかけたら、あっさりと片方に傾いて、俺は一度ぎゅ、と目を閉じてから俺の下で喘ぐイオに視線を落とした。
「見せて」
「やぁ……っ、きらわれたくな……っ」
「いいから見せな、ヘンになるとこ」
見当違いなイオの言葉に、まったく余裕がなくて冷たく響いた声に焦る間もなく、イオが言葉にならない悲鳴を発して「ーー~~ぁ、でちゃ……っ」と揺さぶられながら前を押さえた。その白い、傷一つない指の隙間から、ぷしゃ、ぷしゃ、と俺が突くたびに透明の液が出るのが見えた。
「潮、噴いちゃった?……かわいい、イオ」
「ぁっ、や……なに……?わかんな……っ」
「大丈夫だよ、手、外して。もっと見たい」
力の入らない手を強引に外して、コツコツと奥をノックしながらさっきイったせいで柔らかく身を擡げた性器から透明の液が噴き出るのを眺める。真っ赤になった肌、濡れた睫毛に開きっぱなしのプルプルの唇に乱れた髪。欲に濡れた細い腰に俺を咥え込んで、引き抜こうとすると乱らに纏わりついてくるピンク色の粘膜。
この全部を、俺だけの記憶に永久保存したい。ああ忘れたくないなぁ、忘れるわけないけど、どうしたって記憶の中の映像は朧気になってしまうから……って思いながら、「ココ、入っていい?」と跳ねる腰を掴む。
精液でもおしっこでもない体液を噴き出す未知の快感に混乱しているイオは、もう何が何だかよく分かってない感じで、ただ俺の声に反応して甘えるように俺の首に腕を回した。
「きて……ぇ、ごぉ……」
「……っ、捕まってて」
綻び始めた最奥に、腹筋に力を入れてぐ、と自身を押し込むと、腹筋をびしゃ、と濡らす感触がして、俺の下でイオが言葉もなく何度も大きく痙攣する。
「すご……ダメだ出る……っ……」
「ーー~~っ゛!!ぁ、また……っ」
無意識なのか何なのか、このままナカで出すのはまずいと引こうとした腰の動きをイオの長い脚が封じて、密着したままこれ以上ないくらい最奥にドク、ドク、と欲を吐き出してしまった。
「うぁ……っぁ゛……っ」
イオは出される感覚でも小さくイってるみたいで、きゅうきゅうとキツク搾られるような感覚に出しながらまた芯が宿っていくのを感じた。甘く、痛いほどの欲望を身体の中心に感じて、俺はまた腰を使い始める。
「え……なん、………っぁ……」
「ごめ……イオ、まだ欲しい……っ」
甘い唾液で濡れた唇を貪ったあと身体を起こし、太腿をしっかりと抱えて、また動き出す。抱え直したときに俺の情念を表すみたいに柔らかな肌に紅く手の痕がついているのが見えたけど、この胸に湧いたのは罪悪感ではなく驚くほどの満足感だった。
「なめすぎ、だしすぎ……」
「ごめんなさい……」
ビショビショになったシーツを外し、ベッドに沈むイオの身体をキレイにして、ようやく隣に寝転ぶ。つるりとした桃みたいなお尻も眩しい脚も、後処理しているときは無心で接してたけど、終わった後あんまり見てるとまた変なスイッチが入りそうで、布団をかけた。結局あの後体勢を変えて二回も出してしまい、さんざん舐めて齧って触れた脚にはイオが持ってる美容クリームをたっぷり塗った。「それ高いんだけど……」って恨めしそうな声には「また買ってあげるから」と返しつつ。
「まんぞくした……?」
枕に突っ伏してそう訊くイオの顔は見えない。でもくぐもった声は微かに震えて、耳も赤くなってるから、きっと緊張してるんだろうなと思うと心の底から愛おしさがこみ上げる。
「満足、することはないよね」
「…………え」
「俺多分いつまでもイオの全部が欲しいし、ホントは独占したいもん」
だからちょっとくらいのやきもちは許してね、ってわざと軽く言って耳にキスすると、「ちょっと、じゃないだろ……」ってぶつくさ言いながらイオがごろんと転がってかわいい顔を見せてくれた。
「……ゆるす」
「やった」
「ごぉにだけだよ」
「ん。知ってる。ありがとう」
回された腕に引き寄せられるように満足げに弧を描く唇にキスを落として、「短パンはほどほどにしてね」と言うと「今はショートパンツって言うんだよ、パパ」と可愛くないことを言われたのでもう一度、今度は生意気な舌を捉えて息が上がるほどキスをした。
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