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鍛冶屋の兄弟と村の工房
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「よし、ガイルも加わったし、次は生産設備を整えよう。」
朝日が昇る中、村を見渡して次なる目標を掲げた。
家や防壁が整い始めても、武器や道具の生産ができなければ、いずれ成り立たなくなる。
スキルで作ることもできなくはないだろうがまず材料がない。
それにやっぱり鍛治氏が作った武器の方が性能いいと思うんだよ。
村を守り、暮らしを豊かにするためには鍛冶の腕を持つ者が必要だ。
「鍛冶屋……この辺りにいるのかな?」エリーが心配そうに尋ねる。
「少し歩くけど、森の向こうにドワーフ族が暮らしている鉱山があるって聞いたことがある。もし彼らが協力してくれるなら、村の設備が一気に整う。」
「なるほど。だったら、今のうちに確保しておくべきだよね。」
こうして、ドワーフ族の鍛冶師を求めて、新たな仲間探しの旅に出発することになったのだ。
森の中をしばらく進むと、険しい山道が見えてきた。
道中では、木の実を集めたり魔物の気配に警戒しながら、慎重に進む。
「うわぁ……森の中もけっこう大変だね。」エリーが汗をぬぐいながらつぶやく。
「少し休むか?」ガイルが気遣い、目の前の岩場で小休止を提案してくれる。
助かった、正直エリーより自分の方が限界に近い自信がある。
その時、不意に足元からガラガラという音が聞こえた。
「待て……誰かいる。」ガイルが低い声で警告する。
茂みの奥から、小柄な影が二つ、こちらに向かって歩いてきた。
片方は大きなハンマーを肩に担ぎ、もう一方は古びた金槌を腰にぶら下げている。
「なんだ、人間と獣人か?」
現れたのは…ドワーフか?本物は初めてみる。
「俺はジーク、こっちは弟のトルフだ。」
どうやら兄弟らしい。
兄のジークが不機嫌そうに言うと、弟のトルフは興味津々な様子でエリーを見つめる。
「こんなところで何してるんだい?ここは鉱山に近いから、魔物が出るぞ。」
「俺たち、村を作っているんだ。そこで鍛冶の腕を貸してくれる人を探してるんだよ。」
何度目かの村づくり宣言。また怪訝な表情をされるかと思ったが、
「村づくりか……それは面白そうだな!」
弟のトルフがかなり乗り気だ。
これはスムーズに頼めるか。
と思ったが、兄のジークは慎重な態度を崩さない。
「俺たちは鍛冶師だ。納得のいく仕事じゃなければ、無駄な手間をかけるつもりはねぇ。」
「わかってる。でも、俺たちの村はただの開拓地じゃないんだ。これからもっと人が集まって、誰もが安心して暮らせる場所になる。」
俺の言葉に、トルフが目を輝かせた。
「へぇ、それなら僕たちも協力したいな、兄貴!」
しかし、ジークは渋い顔をして考え込む。
「まず、お前たちの言う村がどれほどのもんか、確かめてからだな。それに、今は魔物の問題もある。」
「魔物?」ガイルが目を光らせた。
「鉱山の中にいるゴーレムが暴れ出してな。そいつをどうにかしないと、鉱石も掘れない。」
「だったら、俺たちがそのゴーレムを何とかしてやるよ。」
ガイルが迷いなく提案した。
”俺たち”じゃなくて”俺”の言い間違いであってほしい…
「本当か?」ジークは驚いた表情を見せる。
「まぁ見てろって。俺に倒せない魔物はそうそういねぇ。」
エリーが首を振って賛同している。
どうやら本当にゴーレム討伐をすることになりそうだ…
「ふん、いいだろう。あのゴーレムを倒してくれたら、お前たちの村に協力してやる。」
…確定してしまった。
鉱山の奥へ進むと、巨大な石の巨人――ゴーレムが待ち構えていた。
その体は岩石でできており、周囲の壁をも砕くほどの怪力を持っている、と道中でガイルが教えてくれた。
「こいつは厄介だな……!」
ガイルが剣を構え、ゴーレムの動きに備える。
仕方ない、俺も戦うとしよう。
戦闘スキルじゃないことを悔やんでいたが、この前思いついた使い方を試してみることにする。
《罠:落とし穴》
簡易な落とし穴の罠を作った。ゴーレムをその場におびき寄せ、罠にはめる作戦だ。
「エリー、ゴーレムの足元を狙って!」
エリーは素早く動き、ゴーレムの足に石を投げつけて注意を引く。
「ガイル、今だ!」
ガイルが全力で剣を振り下ろし、ゴーレムの関節部分を攻撃。バランスを崩したゴーレムは、俺が作った罠に落ちて動けなくなった。
「よし、これで終わりだ!」
ガイルがとどめを刺し、ゴーレムは砕け散った。
「……やるじゃねぇか。」
ジークは戦いを見届け、満足げにうなずいた。
「お前たちの本気は分かった。俺たち兄弟も、その村づくりに協力しよう。」
こうして、正樹たちは鍛冶屋の兄弟を仲間に迎え、村に戻ることになった。
村に到着したドワーフ兄弟は、早速工房の設立を提案してきた。
「まずは、武器と農具だな。これがあれば村ももっと発展するだろう。」
俺が作った農具は”簡易すぎる”らしい……
ここはプロに任せよう。
「助かるよ、ジーク、トルフ!」
心から感謝し、新たな仲間を迎え入れた。
鍛冶工房が稼働し始めたことで、村の暮らしは格段に向上した。
農具や武器の生産が進み、防衛力も向上するー戦闘要員はほぼガイルだけだけど…
「これで、村も少しずつ形になってきたな。」
胸の中に湧き上がる達成感を噛みしめた。
しかし、これで終わりではない。村はまだ始まったばかりだ。
さらに多くの人々が暮らせるようにするため、次の計画を立てなければならない。
朝日が昇る中、村を見渡して次なる目標を掲げた。
家や防壁が整い始めても、武器や道具の生産ができなければ、いずれ成り立たなくなる。
スキルで作ることもできなくはないだろうがまず材料がない。
それにやっぱり鍛治氏が作った武器の方が性能いいと思うんだよ。
村を守り、暮らしを豊かにするためには鍛冶の腕を持つ者が必要だ。
「鍛冶屋……この辺りにいるのかな?」エリーが心配そうに尋ねる。
「少し歩くけど、森の向こうにドワーフ族が暮らしている鉱山があるって聞いたことがある。もし彼らが協力してくれるなら、村の設備が一気に整う。」
「なるほど。だったら、今のうちに確保しておくべきだよね。」
こうして、ドワーフ族の鍛冶師を求めて、新たな仲間探しの旅に出発することになったのだ。
森の中をしばらく進むと、険しい山道が見えてきた。
道中では、木の実を集めたり魔物の気配に警戒しながら、慎重に進む。
「うわぁ……森の中もけっこう大変だね。」エリーが汗をぬぐいながらつぶやく。
「少し休むか?」ガイルが気遣い、目の前の岩場で小休止を提案してくれる。
助かった、正直エリーより自分の方が限界に近い自信がある。
その時、不意に足元からガラガラという音が聞こえた。
「待て……誰かいる。」ガイルが低い声で警告する。
茂みの奥から、小柄な影が二つ、こちらに向かって歩いてきた。
片方は大きなハンマーを肩に担ぎ、もう一方は古びた金槌を腰にぶら下げている。
「なんだ、人間と獣人か?」
現れたのは…ドワーフか?本物は初めてみる。
「俺はジーク、こっちは弟のトルフだ。」
どうやら兄弟らしい。
兄のジークが不機嫌そうに言うと、弟のトルフは興味津々な様子でエリーを見つめる。
「こんなところで何してるんだい?ここは鉱山に近いから、魔物が出るぞ。」
「俺たち、村を作っているんだ。そこで鍛冶の腕を貸してくれる人を探してるんだよ。」
何度目かの村づくり宣言。また怪訝な表情をされるかと思ったが、
「村づくりか……それは面白そうだな!」
弟のトルフがかなり乗り気だ。
これはスムーズに頼めるか。
と思ったが、兄のジークは慎重な態度を崩さない。
「俺たちは鍛冶師だ。納得のいく仕事じゃなければ、無駄な手間をかけるつもりはねぇ。」
「わかってる。でも、俺たちの村はただの開拓地じゃないんだ。これからもっと人が集まって、誰もが安心して暮らせる場所になる。」
俺の言葉に、トルフが目を輝かせた。
「へぇ、それなら僕たちも協力したいな、兄貴!」
しかし、ジークは渋い顔をして考え込む。
「まず、お前たちの言う村がどれほどのもんか、確かめてからだな。それに、今は魔物の問題もある。」
「魔物?」ガイルが目を光らせた。
「鉱山の中にいるゴーレムが暴れ出してな。そいつをどうにかしないと、鉱石も掘れない。」
「だったら、俺たちがそのゴーレムを何とかしてやるよ。」
ガイルが迷いなく提案した。
”俺たち”じゃなくて”俺”の言い間違いであってほしい…
「本当か?」ジークは驚いた表情を見せる。
「まぁ見てろって。俺に倒せない魔物はそうそういねぇ。」
エリーが首を振って賛同している。
どうやら本当にゴーレム討伐をすることになりそうだ…
「ふん、いいだろう。あのゴーレムを倒してくれたら、お前たちの村に協力してやる。」
…確定してしまった。
鉱山の奥へ進むと、巨大な石の巨人――ゴーレムが待ち構えていた。
その体は岩石でできており、周囲の壁をも砕くほどの怪力を持っている、と道中でガイルが教えてくれた。
「こいつは厄介だな……!」
ガイルが剣を構え、ゴーレムの動きに備える。
仕方ない、俺も戦うとしよう。
戦闘スキルじゃないことを悔やんでいたが、この前思いついた使い方を試してみることにする。
《罠:落とし穴》
簡易な落とし穴の罠を作った。ゴーレムをその場におびき寄せ、罠にはめる作戦だ。
「エリー、ゴーレムの足元を狙って!」
エリーは素早く動き、ゴーレムの足に石を投げつけて注意を引く。
「ガイル、今だ!」
ガイルが全力で剣を振り下ろし、ゴーレムの関節部分を攻撃。バランスを崩したゴーレムは、俺が作った罠に落ちて動けなくなった。
「よし、これで終わりだ!」
ガイルがとどめを刺し、ゴーレムは砕け散った。
「……やるじゃねぇか。」
ジークは戦いを見届け、満足げにうなずいた。
「お前たちの本気は分かった。俺たち兄弟も、その村づくりに協力しよう。」
こうして、正樹たちは鍛冶屋の兄弟を仲間に迎え、村に戻ることになった。
村に到着したドワーフ兄弟は、早速工房の設立を提案してきた。
「まずは、武器と農具だな。これがあれば村ももっと発展するだろう。」
俺が作った農具は”簡易すぎる”らしい……
ここはプロに任せよう。
「助かるよ、ジーク、トルフ!」
心から感謝し、新たな仲間を迎え入れた。
鍛冶工房が稼働し始めたことで、村の暮らしは格段に向上した。
農具や武器の生産が進み、防衛力も向上するー戦闘要員はほぼガイルだけだけど…
「これで、村も少しずつ形になってきたな。」
胸の中に湧き上がる達成感を噛みしめた。
しかし、これで終わりではない。村はまだ始まったばかりだ。
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