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新たな仲間、元傭兵ガイル
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翌朝、朝食を済ませると、さらに村を作るのに必要な資源を集めるために森へ向かった。
今日は家の建築に必要な木材や、さらなる食料を確保することが目標だ。
「もっと効率よくやるには、人手が欲しいな……。」
村の将来を見据えると、仲間集めも急務だ。
その時、森の奥から何かが割れる音が聞こえた。
「なんだ……?」
エリーと顔を見合わせてから音のする方へ慎重に進む。
茂みを抜けると、そこには筋骨隆々の男が立っていた。
大柄な男が、大剣を振り回し、魔物をあっさりと両断している。
「すげぇ……強すぎだろ。」
あっけに取られた。さすが異世界だ。
倒した魔物の血を払うその男は、無骨な表情を浮かべ、何事もなかったかのように剣を肩に乗せた。
「……誰だ、お前ら?」
大剣を片手に、男は冷たく睨みつけてきた。
「えっと、俺は正樹。村を作ろうと思ってて……仲間を探してるんだ。」
「……仲間?」
男はしばらく黙った後、ため息をつきながら剣を地面に突き立てた。
「俺はガイル。元傭兵だ。今はもう、居場所なんてねぇけどな。」
この男も訳ありらしい。
しかし、うん。この戦力は欲しい。
「そうか……。だったら、うちの村に来ないか?」
できるだけ誠実に誘ったつもりだが、ガイルは疑わしげに眉をひそめている。
「……お前ら、何のあてもなく荒野で村を作ろうなんて、正気か?」
「まあな。でも、俺たちは本気だ。この場所をみんなが安心して暮らせる村にする。」
エリーも一歩前に出て、真剣な眼差しでガイルを見つめた。
「ガイルさん……一緒に来てくれませんか?」
その瞳には、故郷を失った者特有の切実な思いがにじんでいた。
ガイルはその目を見て、少しの間黙って考えた。
「……まあ、しばらく様子を見るだけならいいだろう。ただし、俺に役に立たない村ならすぐに出て行くからな。」
「もちろん!」
こうして頼れる傭兵ガイルが仲間に加わることとなった。
ガイルを連れて村に戻ったら、さっそく彼に村の計画を説明した。
「今は畑と簡易の井戸があるだけだけど、もっと大きな住居や倉庫を建てて、食料を貯蔵できるようにするつもりだ。」
ガイルは腕を組みながら、村の全体を見回した。
「ふん……確かに、まだ始まったばかりって感じだな。だが、素材さえあればもう少しマシな設備が作れそうだ。」
「そうなんだよな……でも、一人で木を運ぶのは限界があるから、人手が増えて本当に助かる。」
「だったら、まず防壁を作れ。村を守るものがなけりゃ、盗賊や魔物に好き放題やられる。」
「防壁か……それも必要だな。」
確かにその通りだ。村の防衛についての優先順位を見直す必要があるかもしれない。
せっかく作った村を魔物や盗賊に襲われないためにも、防御施設の整備が急務だ。
実際昨日も危なかったしな。
「よし!明日は村の周りに柵を立てよう」
次の日、三人でさっそく木材を集めて、村の周囲に簡易の柵を作り始めた。
「ガイル、力仕事は任せるぞ。」
「へっ、俺の剣の次に得意なことだからな。」
ガイルは手慣れた様子で重い木材を運び、正樹の指示通りに組み上げていく。
本当に助かるな。
エリーもそれを手伝い、三人は黙々と作業を進めた。
…女の子に力仕事はと思うけど人手が足りないから、ね。
「この調子なら、今日中には囲いが完成しそうだな。」
まだ太陽も高いというのに予定の3分の2は完了している。
「少し休憩しよう」
ガイルとエリーを呼んで昼食を取ることにする。
休憩もしっかり取らないとね。
ガイルは少しだけ笑みを浮かべながら寄ってきた。
「お前、案外リーダー向きだな。」
「そうか? まあ、できるだけ効率的にやろうとは思ってるけど。」
「それがいい。無駄なことを嫌う奴は信じられる。」
リーダー向きだなんて初めて言われたけど自信になるな。
あと仲間と一緒に作業するのは楽しいな。
以前はずっと1人で資料作ってたからね……
その夜、村の周囲に作った柵の前で、ガイルが見張りに立っていた。
「……この村、思ったよりも悪くねぇかもな。」
ガイルはぽつりと呟きながら、星空を見上げた。
彼はこれまで戦いに明け暮れる日々を過ごし、定住する場所を求めることなど考えたこともなかった。
ここなら、自分を必要としてくれるのではないだろうか。
ー何よりあいつは信頼できそうだ。
「……これが、"居場所"ってやつなのかもな。」
俺は焚き火のそばで、エリーと次の計画について話していた。
「防壁ができたし、次はちゃんとした住居を作らないとね。」
「そうだな。ガイルもいるし、もう少し大きな建物を作れるかもしれない。」
「それと……いつか、もっとたくさんの仲間がこの村に集まるといいな。」
そう呟きながら、火の灯りに照らされたエリーの笑顔を見つめた。
彼女の瞳には、ようやく安心できる場所を見つけたという安堵が浮かんでいるように見えた。
それは俺も同じだ。
エリーがいて、(暫定的だけど)ガイルがいる。
「絶対、いい村にしような。」
「うん!」
二人の言葉が、暗闇の中で静かに響いた。
次の日、目を覚ましたら柵の前にガイルが立っていた。
……あいつまさか寝てないんじゃないだろうな。
近づきながら声をかける。
「おはよう、ガイル。その…寝ずに見張っていたわけじゃないよね……?」
「見張りが寝るわけにいかんだろう、何を言っているんだ…?」
…こいつブラック企業が向いているらしい。
「何のために柵を立てたんだよ!お前は少し寝てこい!」
きょとんとした顔をしたと思ったら急に笑い出した。
「分かった、分かった。寝てくるよ。」
「…それからな、今後も村作り、手伝うことにしたよ。よろしくな、リーダー」
そう言いながらエリーがいる方へと向かっていった。
こうして、ガイルという頼もしい仲間を迎えたことで、村は少しずつ形になっていく。だが、まだまだ村とは言えないな。
「次は、もっと色んな人たちを受け入れられる村にする。人種も種族も関係なく、みんなが安心して暮らせる場所を作るんだ。」
そのためには、さらに人手と資源が必要だ――新たな仲間を見つけるため、正樹たちは次なる計画に動き出す。
今日は家の建築に必要な木材や、さらなる食料を確保することが目標だ。
「もっと効率よくやるには、人手が欲しいな……。」
村の将来を見据えると、仲間集めも急務だ。
その時、森の奥から何かが割れる音が聞こえた。
「なんだ……?」
エリーと顔を見合わせてから音のする方へ慎重に進む。
茂みを抜けると、そこには筋骨隆々の男が立っていた。
大柄な男が、大剣を振り回し、魔物をあっさりと両断している。
「すげぇ……強すぎだろ。」
あっけに取られた。さすが異世界だ。
倒した魔物の血を払うその男は、無骨な表情を浮かべ、何事もなかったかのように剣を肩に乗せた。
「……誰だ、お前ら?」
大剣を片手に、男は冷たく睨みつけてきた。
「えっと、俺は正樹。村を作ろうと思ってて……仲間を探してるんだ。」
「……仲間?」
男はしばらく黙った後、ため息をつきながら剣を地面に突き立てた。
「俺はガイル。元傭兵だ。今はもう、居場所なんてねぇけどな。」
この男も訳ありらしい。
しかし、うん。この戦力は欲しい。
「そうか……。だったら、うちの村に来ないか?」
できるだけ誠実に誘ったつもりだが、ガイルは疑わしげに眉をひそめている。
「……お前ら、何のあてもなく荒野で村を作ろうなんて、正気か?」
「まあな。でも、俺たちは本気だ。この場所をみんなが安心して暮らせる村にする。」
エリーも一歩前に出て、真剣な眼差しでガイルを見つめた。
「ガイルさん……一緒に来てくれませんか?」
その瞳には、故郷を失った者特有の切実な思いがにじんでいた。
ガイルはその目を見て、少しの間黙って考えた。
「……まあ、しばらく様子を見るだけならいいだろう。ただし、俺に役に立たない村ならすぐに出て行くからな。」
「もちろん!」
こうして頼れる傭兵ガイルが仲間に加わることとなった。
ガイルを連れて村に戻ったら、さっそく彼に村の計画を説明した。
「今は畑と簡易の井戸があるだけだけど、もっと大きな住居や倉庫を建てて、食料を貯蔵できるようにするつもりだ。」
ガイルは腕を組みながら、村の全体を見回した。
「ふん……確かに、まだ始まったばかりって感じだな。だが、素材さえあればもう少しマシな設備が作れそうだ。」
「そうなんだよな……でも、一人で木を運ぶのは限界があるから、人手が増えて本当に助かる。」
「だったら、まず防壁を作れ。村を守るものがなけりゃ、盗賊や魔物に好き放題やられる。」
「防壁か……それも必要だな。」
確かにその通りだ。村の防衛についての優先順位を見直す必要があるかもしれない。
せっかく作った村を魔物や盗賊に襲われないためにも、防御施設の整備が急務だ。
実際昨日も危なかったしな。
「よし!明日は村の周りに柵を立てよう」
次の日、三人でさっそく木材を集めて、村の周囲に簡易の柵を作り始めた。
「ガイル、力仕事は任せるぞ。」
「へっ、俺の剣の次に得意なことだからな。」
ガイルは手慣れた様子で重い木材を運び、正樹の指示通りに組み上げていく。
本当に助かるな。
エリーもそれを手伝い、三人は黙々と作業を進めた。
…女の子に力仕事はと思うけど人手が足りないから、ね。
「この調子なら、今日中には囲いが完成しそうだな。」
まだ太陽も高いというのに予定の3分の2は完了している。
「少し休憩しよう」
ガイルとエリーを呼んで昼食を取ることにする。
休憩もしっかり取らないとね。
ガイルは少しだけ笑みを浮かべながら寄ってきた。
「お前、案外リーダー向きだな。」
「そうか? まあ、できるだけ効率的にやろうとは思ってるけど。」
「それがいい。無駄なことを嫌う奴は信じられる。」
リーダー向きだなんて初めて言われたけど自信になるな。
あと仲間と一緒に作業するのは楽しいな。
以前はずっと1人で資料作ってたからね……
その夜、村の周囲に作った柵の前で、ガイルが見張りに立っていた。
「……この村、思ったよりも悪くねぇかもな。」
ガイルはぽつりと呟きながら、星空を見上げた。
彼はこれまで戦いに明け暮れる日々を過ごし、定住する場所を求めることなど考えたこともなかった。
ここなら、自分を必要としてくれるのではないだろうか。
ー何よりあいつは信頼できそうだ。
「……これが、"居場所"ってやつなのかもな。」
俺は焚き火のそばで、エリーと次の計画について話していた。
「防壁ができたし、次はちゃんとした住居を作らないとね。」
「そうだな。ガイルもいるし、もう少し大きな建物を作れるかもしれない。」
「それと……いつか、もっとたくさんの仲間がこの村に集まるといいな。」
そう呟きながら、火の灯りに照らされたエリーの笑顔を見つめた。
彼女の瞳には、ようやく安心できる場所を見つけたという安堵が浮かんでいるように見えた。
それは俺も同じだ。
エリーがいて、(暫定的だけど)ガイルがいる。
「絶対、いい村にしような。」
「うん!」
二人の言葉が、暗闇の中で静かに響いた。
次の日、目を覚ましたら柵の前にガイルが立っていた。
……あいつまさか寝てないんじゃないだろうな。
近づきながら声をかける。
「おはよう、ガイル。その…寝ずに見張っていたわけじゃないよね……?」
「見張りが寝るわけにいかんだろう、何を言っているんだ…?」
…こいつブラック企業が向いているらしい。
「何のために柵を立てたんだよ!お前は少し寝てこい!」
きょとんとした顔をしたと思ったら急に笑い出した。
「分かった、分かった。寝てくるよ。」
「…それからな、今後も村作り、手伝うことにしたよ。よろしくな、リーダー」
そう言いながらエリーがいる方へと向かっていった。
こうして、ガイルという頼もしい仲間を迎えたことで、村は少しずつ形になっていく。だが、まだまだ村とは言えないな。
「次は、もっと色んな人たちを受け入れられる村にする。人種も種族も関係なく、みんなが安心して暮らせる場所を作るんだ。」
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