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第2章 召喚術師と黒魔術師
コルリの街
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翌朝。
俺らは朝早くからコルリの街を目指していた。
今日着くという期待感からか、何となく3人ともいつもより早い時間に出発した。
やっとこれで野宿生活から解放される。
正直、そろそろベッドで寝たい。俺の気持ちと身体がもたない。
ラルフがふと俺の隣にやってくる。
「……昨日な。なんかオレ、おかしくなってたみたいでよォ。オメェに肩揉んでもらってたことは覚えてるんだが、途中で記憶がねェんだよな」
ラルフは純粋に疑問に思ったのか、昨日の事を尋ねてきた。
「気持ち良すぎて途中で寝ちゃったんだよ」
「……そうか。そりゃァ、惜しいことをしたってもんだな、ハッハ」
そう言うと、ラルフはまた先をさっさと歩いていった。
普段の調子だったので、痛みで気絶したからなのか、どうやら本当に記憶がないようだ。
少なくとも魔女の呪いの効果はやはり解けている。
「夜中にそんなことやってたのかよ」
いつの間にか背後にいたサムに声をかけられる。
「まぁ、ちょっと労いの気持ちをさ。ラルフがいないと荷物も運べなかったし、街への道のりもわからないし」
「ふうん」
夜中だなんて言ったっけか。
なんだかサムはちょっと不服の様子だ。
―――お?まさか、これは嫉妬してくれている?
と、そんなはずもないため、自分で考えて、俺は落ち込む。
俺は昨日の事もあったため、深く突っ込まず、サムと普通に喋る事にした。
「コルリの街はサムも行くのは初めてなんだっけ」
「あぁ、エルもだよな」
この街へ初めに行こうと提案したのはラルフだった。
ラルフは以前、仕事の関係で訪れたことがあるらしい。
その時の提案は渋々という感じで、少し気乗りしない様子だった。
ラルフはコルリで何かあったのだろうか。
コルリの街はこの地方ではかなり栄えた街で、港が近いこともあり交易も盛んである。
また古くから魔術の歴史が深く、俺の呪いについても何かわかるのではないか、という算段であった。
それからサムと話をしているうちに、街が見えてきた。
*
街は思ったより大きく、そして美しかった。
まず近くにきたときから、海が近いこともあり、微かな潮の香りがしていた。
白を基調とした家々が美しい街の景観をより一層引き立てている。
途中に通った市場では沢山の人々で賑わい、活気を見せていた。
田舎の村で過ごしてきた俺にとっては、あまりに都会的な雰囲気で少し気後れがするくらいだった。
余りに俺がキョロキョロしているからなのか、街の人々からしばしば好奇の目で見られていた。
「そんなに俺らが田舎者に見えるのかな」
「……さァ、どうだかな」
俺らはまず街の宿屋を探し、しばらくの滞在である旨を告げて、ひとまずの寝る場所を確保した。
ありったけの金を村から持ってきてはいたが、思ったより高くついた。
しばらく拠点として滞在するかもしれない。
そう考えると、資金面も考えなくてはいけないかもしれないな。
宿屋を出ると、俺らは当初の計画通り、各々で情報収集にあたることにした。
この街の情報と、魔女の呪いについて詳しい人を探すためである。
「さて、どこへ行こうかな」
もちろん俺は魔女の呪いについて調査する気はない。
こんな都会に来たのだ。
やることは一つ。
新たな仲間(男)を探して、一発逆転を狙うのである。
ある意味、魔女の呪いを解くにふさわしい調査である。
「楽しみだなぁ」
俺はこの無敵の能力を使用したくてウズウズしていた。
このままだと、ラルフをいじめる事にしか使えないままになってしまう。
多分それは色々とまずいのである。
俺らは朝早くからコルリの街を目指していた。
今日着くという期待感からか、何となく3人ともいつもより早い時間に出発した。
やっとこれで野宿生活から解放される。
正直、そろそろベッドで寝たい。俺の気持ちと身体がもたない。
ラルフがふと俺の隣にやってくる。
「……昨日な。なんかオレ、おかしくなってたみたいでよォ。オメェに肩揉んでもらってたことは覚えてるんだが、途中で記憶がねェんだよな」
ラルフは純粋に疑問に思ったのか、昨日の事を尋ねてきた。
「気持ち良すぎて途中で寝ちゃったんだよ」
「……そうか。そりゃァ、惜しいことをしたってもんだな、ハッハ」
そう言うと、ラルフはまた先をさっさと歩いていった。
普段の調子だったので、痛みで気絶したからなのか、どうやら本当に記憶がないようだ。
少なくとも魔女の呪いの効果はやはり解けている。
「夜中にそんなことやってたのかよ」
いつの間にか背後にいたサムに声をかけられる。
「まぁ、ちょっと労いの気持ちをさ。ラルフがいないと荷物も運べなかったし、街への道のりもわからないし」
「ふうん」
夜中だなんて言ったっけか。
なんだかサムはちょっと不服の様子だ。
―――お?まさか、これは嫉妬してくれている?
と、そんなはずもないため、自分で考えて、俺は落ち込む。
俺は昨日の事もあったため、深く突っ込まず、サムと普通に喋る事にした。
「コルリの街はサムも行くのは初めてなんだっけ」
「あぁ、エルもだよな」
この街へ初めに行こうと提案したのはラルフだった。
ラルフは以前、仕事の関係で訪れたことがあるらしい。
その時の提案は渋々という感じで、少し気乗りしない様子だった。
ラルフはコルリで何かあったのだろうか。
コルリの街はこの地方ではかなり栄えた街で、港が近いこともあり交易も盛んである。
また古くから魔術の歴史が深く、俺の呪いについても何かわかるのではないか、という算段であった。
それからサムと話をしているうちに、街が見えてきた。
*
街は思ったより大きく、そして美しかった。
まず近くにきたときから、海が近いこともあり、微かな潮の香りがしていた。
白を基調とした家々が美しい街の景観をより一層引き立てている。
途中に通った市場では沢山の人々で賑わい、活気を見せていた。
田舎の村で過ごしてきた俺にとっては、あまりに都会的な雰囲気で少し気後れがするくらいだった。
余りに俺がキョロキョロしているからなのか、街の人々からしばしば好奇の目で見られていた。
「そんなに俺らが田舎者に見えるのかな」
「……さァ、どうだかな」
俺らはまず街の宿屋を探し、しばらくの滞在である旨を告げて、ひとまずの寝る場所を確保した。
ありったけの金を村から持ってきてはいたが、思ったより高くついた。
しばらく拠点として滞在するかもしれない。
そう考えると、資金面も考えなくてはいけないかもしれないな。
宿屋を出ると、俺らは当初の計画通り、各々で情報収集にあたることにした。
この街の情報と、魔女の呪いについて詳しい人を探すためである。
「さて、どこへ行こうかな」
もちろん俺は魔女の呪いについて調査する気はない。
こんな都会に来たのだ。
やることは一つ。
新たな仲間(男)を探して、一発逆転を狙うのである。
ある意味、魔女の呪いを解くにふさわしい調査である。
「楽しみだなぁ」
俺はこの無敵の能力を使用したくてウズウズしていた。
このままだと、ラルフをいじめる事にしか使えないままになってしまう。
多分それは色々とまずいのである。
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